【空対空ミサイル】 †
Air to Air Missile (AAM) / Air launched Intercept Missile(AIM).
航空機が航空機を撃墜する目的のために設計された誘導弾。
ロケットエンジンにより飛翔して目標を追尾し、至近距離での爆発で被害を与える。
現代の戦闘機にとって最も重要な武装で、機関砲など従来の武装を半ば過去のものとしている。
一時期は機関砲を標準装備しない戦闘機である「ミサイリアー」も出現した。
しかしベトナム戦争などの戦訓で重大な欠陥が指摘され、現代まで戦闘機は機関砲を装備し続けている。
終端誘導にはアクティブレーダー誘導、またはセミアクティブレーダー誘導を用いるのが一般的。
短距離用ではジェットエンジンの放熱を捉える赤外線誘導方式も用いられる。
長さに応じて「長対空ミサイル」「中対空ミサイル」「短対空ミサイル」と分類される場合がある。
この場合、『長さ』とは有効射程を指し、ミサイル自体の全長ではない。
ただし、ミサイルの有効射程は燃料搭載量に依存するため、射程の長いミサイルほど大型化する傾向はある。
なお、現代の空対空ミサイルはカタログスペック上、戦闘機がどのような回避機動をとっても回避できない。
無人・小型・軽量なミサイルは、有人戦闘機の運動性の限界をはるかに超えた旋回能力を備えているからだ*1。
しかし、実戦においては戦闘機が急旋回して空対空ミサイルを振り切る事は十分可能と目されている。
十分な距離がある段階でミサイルを察知すれば、Uターンして逃走し、有効射程圏外まで逃げ切る事ができるからだ。
逆に言うと、不用意に接近してしまった場合には生還が困難になる。
戦闘機同士の交戦では敵味方双方がそうなので、いかに遠距離から敵を発見し、速やかに反転離脱するかが生死を分ける。
このため、現代空戦では敵が撃ってくるのを遅らせるためのステルス技術が絶大な威力を発揮する。
参考:ミサイル万能論 最後の有人戦闘機 戦闘機不要論 トップガン
AIM-7中距離対空ミサイルを発射したF-15E
Photo: USAF
主な短射程空対空ミサイル(世代別) †
第二次世界大戦中 †
- ドイツ
- Hs 298
- ルールシュタール X-4
第1世代空対空ミサイル(第二次世界大戦後) †
- イスラエル
- シャフリル
- 日本
- 69式空対空誘導弾(AAM-1)
- AAM-2(採用されず)
第2世代空対空ミサイル †
- アメリカ
- イスラエル
- シャフリル2
- フランス
第3世代空対空ミサイル †
- アメリカ
- イギリス
- レッドトップ
- イスラエル
- 台湾
- 南アフリカ
- V3B「ククリ」
第4世代空対空ミサイル †
- アメリカ
- イスラエル
- フランス
- ブラジル
- MAA-3
- 中国
- 南アフリカ
- V3C「ダータ」
第5世代空対空ミサイル †
- アメリカ
- イギリス
- AIM-132「ASRAAM」
- イスラエル
- 国際共同(スウェーデン・ドイツ他)
- IRIS-T
- スウェーデン
- Rb-98
- フランス
- 南アフリカ
- Uダータ
ヘリコプター用空対空ミサイル †
- アメリカ
- フランス
- ミストラル
- イギリス
- ロシア
- 日本
- 中国
- 天燕90(TY-90)
主な中射程空対空ミサイル †
- ロシア
- イギリス
- ファイアストリーク
- スカイフラッシュ
- イタリア
- 台湾
- インド
- ASTRA
- 国際共同(イギリス他)
- イスラエル
- ダービー
- 南アフリカ
主な長射程空対空ミサイル †
- アメリカ