Last-modified: 2022-01-02 (日) 10:58:36 (846d)

【可変後退翼】(かへんこうたいよく)

Variable geometry wing.

動翼の一種で、主翼全体の角度を必要に応じて後方に傾ける機構。「VG翼」とも。
エビエーターが手動操作で変形させるものだが、アビオニクスが自動で最適な形状を選択する機種もある。

1964年にF-111「アードバーグ」で初めて実用化。
冷戦中期(1960〜70年代)の航空機開発の潮流となったが、航空電子工学の発達とともに衰退し、現代では省みられていない。

速度域に応じて直線翼後退翼デルタ翼に変形し、各々の特性を使い分ける事ができる。
元々は高速巡航と短距離離着陸を兼ね備える目的で用いられたが、戦闘機運動性向上にも寄与した。
反面、機構が複雑化して整備・調達コストが高騰し、また変形機構の分だけ主翼の重量が増加する問題もある。

上記の利点は重量のかさむ変形機構を用いずともフライバイワイヤー静安定緩和を用いて実現可能である。
また、変形機構は機体形状のステルス化を困難にするため、目視外射程からの攻撃に対して不利である。
このため、フライバイワイヤー空対空ミサイルの発達によって可変後退翼は不要となっていった。

採用された機体の一例


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