Last-modified: 2022-10-13 (木) 22:48:41 (561d)

【ワゴン・ホイール】(わごん・ほいーる)

ドッグファイトで行なわれるマニューバーのひとつ。
空対空ミサイルの発達によって陳腐化したため、現代空戦では通用しなくなっている。

実施方法は、数機の編隊で輪を描くように飛ぶことである。
彼我の有効射程に大差がないと仮定した場合、敵機を撃墜して生還するためには、敵の背後に回り込む必要がある。
しかし、ワゴン・ホイール中の機体の背後に回り込もうとすると、僚機がそのさらに背後に回り込んで来る事になる。

編隊での連携を念頭に置くマニューバーであり、多くの場合に敵機に性能で劣る場合を想定した戦術である。
なお、敵が交戦以前にこれを察知していた場合には対策が簡単であることから、戦術としては確実性に欠ける。
また、敵機との運動性やエネルギーの差が極端に大きい場合、攻撃してきた敵機の離脱を許してしまうことも多い。
例えば、攻撃側が優れた旋回性能をもつ機体でワゴン・ホイールに侵入してきたり、敵機が上空からパワーダイブを仕掛てきけた場合はこの戦法が破綻する可能性は高まる。

また、目視外射程から空対空ミサイル攻撃を仕掛けてくる敵に対しては全く効果がない。
第二次世界大戦初期の大規模航空戦「バトル・オブ・ブリテン」ではドイツ空軍の双発戦闘機Bf 110 Cがより軽量、運動性に優れるイギリス空軍単発戦闘機へ対抗するべくこの戦術を実施した。

ベトナム戦争では北ベトナム空軍の第二世代ジェット戦闘機は雲や太陽で察知されることを防ぎながらワゴン・ホイールを実施、多くの米軍機を撃墜している。


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