Last-modified: 2023-08-06 (日) 11:39:55 (265d)

【機関砲】(きかんほう)

Auto cannon / Automatic cannon / Machine cannon.

手動での装填作業を行わずに連続発射が可能で、人が携帯できない大型の火砲の事。
NATOでは口径20mm以上を機関砲、それ未満を機関銃(machine gun)として区別しているが、国や時代によって正確な定義は異なる。

口径が大きいほど費用対効果・稼動率・携行弾数に劣る傾向にある。
また、砲弾が重いほど再装填の所要時間も増し、「連続発射」を成立させるのが困難になる。
このため、口径60mm程度が機関砲として運用できる実用上の限界となる。

現代においては航空機、車両、艦艇に搭載される最も一般的な武装のひとつであり、陸海空のあらゆる戦場で幅広く使用される。
しかしながら戦果の主体とは言い難く、基本的に防御・迎撃のために用いられる。
また、装甲化されていない家屋や車両を破壊する手段として用いられる事もある。

関連:ガトリングガン チェーンガン リボルバーカノン 近接信管 速射砲

航空機関砲

現代の戦闘機は、主に近距離での航空戦闘(ドッグファイト)に備えて20mm〜30mmの機関砲を標準装備する。
使用される弾丸は被害範囲の大きい榴弾焼夷弾、焼夷榴弾などが主。

初期の航空機拳銃軽機関銃でも撃墜が可能だった。
しかし、時代が進むに連れて高速化する航空機に対し、射撃の命中率は大幅に低下した。
このため、撃墜率を上げるための高い発射速度と命中時の威力が求められるようになる。
そして、機関砲はこれらを両立する手段として優れていたことから、長らく殆どの戦闘機に搭載された。
空対空ミサイルの登場時にはミサイル万能論によって機関砲を装備しない戦闘機も現れたが、ベトナム戦争を経て現状に落ち着いた。

また、攻撃機攻撃ヘリコプターに搭載されるものは口径30mm程度で、主に榴弾が用いられる。

車載機関砲

歩兵戦闘車に代表される機甲部隊の車両には、軽装甲車両を標的として徹甲弾が発射可能な口径20mm〜35mm程度の機関砲が搭載されることが多い。
なお、対人制圧用途では小口径の機関銃がよく用いられる。
大口径機関砲は人が持てないほど重いので、隠れていた敵歩兵へ素早く指向、射殺するには向かない。

口径12.7mm以上の弾丸はハーグ陸戦条約の定める「不用に苦痛を与える兵器」に該当する、とされる。
つまり「他に攻撃手段がないとき以外は人に向けて撃ってはならない」としている。

とはいえ、この条文はほぼあらゆる場面で黙殺されている。
もっと他に攻撃手段があったなら、そもそも鈍重な機関砲をあえて選んだはずがない。
逆に言えば、撃ったからにはそれが最適な攻撃手段だったのだと考えられる。

対空車両の機関砲は口径35mm〜57mm程度。
発射された榴弾焼夷弾近接信管により炸裂させ、高速で飛翔する航空機を撃破する。
また、近年の対空機関砲火器管制装置による高度な偏差射撃能力を持ち、有効射程圏内の飛翔体を正確に撃墜できる。

艦載機関砲

戦闘艦艇では、攻撃機ミサイル撃墜を目的とした口径20〜30mm程度の機関砲がCIWSに組み込まれている。
また、非戦闘用途の支援艦艇や沿岸警備隊警備船舶などは、突発的な危機に備えて機関砲を装備する。

ミサイルの普及以前は、口径25mm〜40mmの対空機関砲を多数用いて弾幕を張ることで敵の撃破を狙う場合が多かった。

また、機雷を除去する掃海作業では、水中から引き上げられた機雷に機関砲を撃ち込み爆破処理を行う場合が多い。


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