Last-modified: 2024-05-02 (木) 12:36:32 (14d)

【威嚇射撃】(いかくしゃげき)

抑止力を期待して殺傷能力を誇示し、実際に人間を殺傷する事なく逮捕・停戦・強盗などを達成するための銃撃。
主に警察官・治安維持活動・自衛・単なる犯罪など、殺傷行為を法的に正当化できない状況で行われる。

威嚇射撃で押し留める事ができなければ射殺が決断されたり、誤射で偶発的に殺傷に至る場合がある。
ただし、文民統制に基づく法の執行という前提があってもなお、全ての状況で射殺が免責されるとは限らない。

実際の事例報告を見るに、威嚇射撃によって人間を服従させ動きを止める事が可能であるかは疑わしい。
特に双方とも武装した状態で対峙した場合、発砲という行為は高い蓋然性で銃撃戦を引き起こす。
このため、法体系によっては明示的に威嚇射撃が禁止されていたり、威嚇射撃という行為に法的な定義が存在しない場合もある。

特筆すべき法令・判例がない場合、威嚇射撃は「殺すつもりで撃ったが命中しなかった」と解釈されるのが典型的。

関連:礼砲 曳光弾

実際の手法

威嚇射撃の正しい実施方法については、倫理・思想・司法における恣意の余地が大きく、信頼できる定見はない。
実務上の問題を招くため威嚇射撃を明示的に禁止する規定が設けられている場合もある。
だとしても、威嚇射撃において禁忌すべき注意点についてはいくつかの明確な指針がある。

人体に命中させてはならない
手を撃ちぬいて凶器を取り落とさせる、あるいは足を傷つけて逃走を封じるなどと企図してはならない。
適切な医療器具(特に抗生剤)を利用できる場合でさえ、人体のどこに生じた銃創でも出血や感染症で死に至る可能性がある。
死に至らなかったとしても銃創に起因する障害は一生残るのだから殺傷行為である事は変わらない。
乗物を壊してはならない
交戦規定において射殺が許容される場合も含め、走行中の車両を停止させる目的での銃撃は禁止されている事例が多い。
銃撃で車を止めるには車両を故障させるか運転手を殺傷する必要があり、いずれも重大な交通事故を引き起こす危険性がある。
空に向けて撃ってはならない
90度真上に向けて撃った場合でさえ、銃弾が自然落下する位置エネルギーだけで人間の頭蓋骨を貫通し得る。
斜め上に撃った場合は初活力の一部が残存したまま落下するため、さらに危険である。
また、こうした予期せぬ被害は射手が認知できない視界外で発生する可能性が高い。最大射程の長いライフルはこの点で特に危険である。
実弾を使用しなければならない
あらかじめ空包を装填しておけば、威嚇射撃に伴う上記の問題は全て回避できる。
しかしそのような想定は戦闘において致命的な間隙であり、殺傷力の欠如は射手の敗死に直結する。
突発的な白兵戦において敵味方が同時に銃撃し、味方だけ空包であったとすれば、何が起こるかは想像に難くない。

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