Last-modified: 2023-02-11 (土) 13:42:29 (441d)
【Mi-24】 †
旧ソビエトのミル設計局が、1960年代に開発した強襲ヘリコプター。
NATOコードは
Mi-8「ヒップ」汎用ヘリコプターをベースに開発された。
ベトナム戦争でアメリカ陸軍がヘリボーンを多用した戦訓を踏襲し、ヘリボーンを想定して開発された。
機体後部のキャビンで兵員を輸送しつつ、近接距離から近接航空支援を行う運用が想定されている。
機体の中腹にあるスタブウィングはハードポイントの積載量が大きく、対戦車ミサイル・ロケット弾・爆弾・ガンポッドなど多数の武装を装備できる。
また、ローターはチタニウム製で12.7mm対物ライフルを受けても耐えられる耐久性能を誇る*2。
反面、それらの性能を支えるために機体が大きく鈍重になっている。
近年では、その鈍重さゆえヘリボーンでの兵員輸送からは外され、攻撃ヘリコプターとしてのみ運用される場合が多い。
東側諸国を代表する強力なヘリコプターであり、就役以来、数々の紛争や内戦に投入された。
現在でも旧共産圏をはじめ30カ国以上で使用されている。
幾度となく後継機種が開発されているが、制度上の選定が難航しており、当分は運用されつづける見通しである。
スペックデータ †
| タイプ | Mi-24A | Mi-24D | Mi-24V | Mi-24P |
| 乗員 | 3名 | 2名 | ||
| 搭載量 | 兵員8名または担架4台 または 1,500-2,400kgの積載物 または 外部に2,000kgの積載物 | 兵員8名 または 担架4台 | ||
| 全長 | 21.50m | 17.51m | ||
| 全高 | 3.97m | |||
| 翼長 | 6.66m | |||
| 主回転翼 直径 | 17.30m | |||
| テイル ローター 直径 | 3.91m | 1.50m | ||
| 円板面積 | 235.00�� | |||
| 空虚重量 | 7,675kg | 8,340kg | 8,500kg | 8,570kg |
| 通常離陸重量 | 10,500kg | 11,100kg | 11,200kg | 11,300kg |
| 最大離陸重量 | 11,000kg | 11,500kg | ||
| 発動機 | クリーモフ TV3-117ターボシャフト×2基 | |||
| エンジン出力 | 2,200馬力 | 2,225馬力 | ||
| 巡航速度 | 270km/h | 264km/h | 270km/h | |
| 超過禁止速度 | 320km/h | |||
| 限界航続距離 | 1,000km | 1,125km | 1,000km | |
| 実用航続距離 | 450km | 595km | 450km | |
| 実用上昇限度 | 4,950m | 4,500m | ||
| ホバリング 上昇限度 | 1,400m | 1,300m | 2,000m | |
| 武装搭載量 | 6箇所に対戦車ミサイル、ロケットランチャー、爆弾など | |||
| 1,275kgまで | 2,400kgまで | |||
| 固定武装 | 機関銃又は機関砲×1門 | |||
| A-12.7 12.7mm機関銃 （NUB-1可動式銃塔 に装備） （搭載弾数900発） | YakB-12.7 4銃身12.7mm機関銃 （USPU-24可動式銃塔に装備） （搭載弾数1,470発） | GSh-30K 30mm連装機関砲 | ||
| 兵装 | ||||
| ATM （4発） | 9M17P「ファーランガM」 （AT-2「スワッター」） | 9M17P「ファーランガ-PV」 | 9M114「シュトゥルム-V」 （AT-6「スパイラル」） | |
| AAM' （2発） | - | R-60 | - | |
| ロケット弾 ポッド 無誘導 ロケット （2基〜4基） | UB-32A-24 32連装 （S-5 57mmロケット弾用） | UB-32A-24 連装 （S-5 57mmロケット弾用） B-8V20A 20連装 （S-8 87mmロケット弾用） B-13L1 5連装 （S-13 137mmロケット弾用） S-24 247mmロケット弾 GUB-1 GUB-8700 | ||
| ガンポッド | - | UPK-23-250 （GSh-23Lを搭載） | ||
| 爆弾類 | OFAB-100×8 OFAB-250×4、RBK-250×4 RBK-500×2、KMGU-2×2 ODAB-500×2、3B-500×2 | |||
| その他 | - | PFM-1 対人地雷投下器 | ||
バリエーション †
Mi-24シリーズ †
- V-24：
プロトタイプ。
GSh-23 23mm機関砲を装備し、最大6基のミサイルまたはロケットを搭載できた。
12機が製造され、うち1機は速度記録用にA-10に改造された。
- Mi-24"Hind A"：
A-12.7 12.7mm機関銃を搭載する初期型。
イソトフ（後のクリーモフ）TV-2-117エンジンを搭載。
武装として9M17"Fleyta"（AT-2A『スワッターA』）?対戦車ミサイルを搭載。~
- Mi-24B"Hind A"：
試験用に開発されたMi-24Aの派生型。
USPU-24ターレットのA-12.7 12.7mm機関銃を3銃身ガトリング式のYakB-12.7 12.7mm旋回機関銃に換装している。
- Mi-24F"Hind A"：
Hind Aの改良型。
SRO-2M"Khrom"IFFアンテナの位置をキャノピーからオイルクーラーに変更した。
また、APUの排気管が延長されて下向きに角度が付けられている。
- Mi-24U"Hind C"：
A型の練習機型。
固定武装を撤去し、操縦系統が二重化され、前部座席にも操縦装置を追加している。
少数のみの生産であったが、ヴェトナムでは現在も運用中である。
- A-10：
記録飛行用に開発された派生型。
- Mi-24BMT：
A型の機雷掃海型。少数改修。
- Mi-24B"Hind A"：
- Mi-24A"Hind B"：
三座で大型の胴体をもつ初期改良型。
クリーモフTV-3-117エンジンを搭載し、テイルローターの取り付け向きにより、前期型と後期型に分けられる。
1972年から引渡しがされた後、、9M17「ファラーンガ」（AT-2B『スワッターB』）?対戦車ミサイルを搭載できるよう翼端の設計が変更されるなど、順次改良が加えられており、上記の改修の他に2,200馬力のクリーモフ製 TV3-117ターボシャフトエンジンを装備したものもある。
しかし、まもなくD型の生産に切り替えられ、一部はヴェトナム、エチオピア、リビア、アフガニスタン、アルジェリアなどへの輸出に回された。
現在でもヴェトナムで運用中である。
- Mi-24D"Hind D"：
中期改良型。
コックピットを視界のよいタンデム複座とし、細身の胴体になり、初期型の欠点を改善した。
コックピットは防弾ガラスや防弾板で防御され、生存性も高い。
機首にFLIRや低光度テレビカメラを搭載しているため、悪天候下や夜間での飛行が可能。
固定武装はUSPU-24ターレットに搭載されたYakB-12.7 4銃身12.7mm旋回機関銃。
しかしながら、動力等は根本的に改善はされなかったため、より全面的な改修型であるMi-24Vまでの繋ぎとして扱われた。
V型の戦力化後は練習機として扱われ、一部機体はDU型に改修された。
1970年代に350機程度が生産された。
- Mi-24V"Hind E"：
後期改良型。
D型を改良し、クリーモフ製 TV3-117ターボシャフトエンジンへの換装やシステム更新を行い9M114「シュトゥールム-V（AT-6）」?やR-60を搭載可能とした。
赤外線妨害装置が搭載され、航法装置やチャフ・フレアなどにも改良が加えられた。
1970年代後半から80年代前半にかけて1,000機程度が生産された。
なお、ポーランドではポーランド語の言語上の理由からMi-24Wと表記される。
- Mi-24K"Hind G2"：
Mi-24Vの砲撃観測機型。
弾着確認用のカメラや、新型のセンサーユニットが搭載されている。
ソ連軍のみで使用。現在は、ロシア、ウクライナ、ベラルーシで運用されている。
- Mi-24VK-2：
Mi-24Vの発展型。輸出名称Mi-35VN。
- Mi-24K"Hind G2"：
- Mi-24KhR"Hind G1"：
Mi-24DおよびMi-24Vの機体から製作された、NBC兵器の探知・偵察を行う化学・放射能偵察型（電波科学偵察型）。
Mi-24RやMi-24RKh、Mi-24RRとも呼ばれる。
土壌や大気のサンプルを採取し、分析する能力を持つ。
コックピット・キャビンの気密性が向上され巨大なエアフィルターを装備してはいるが、搭乗員は防護服を着用する。
ソ連軍のみで使用。現在は、ロシア、ウクライナなどで運用されている。
- Mi-24P"Hind F"：
アフガニスタンでの戦闘経験により、E型から威力が不足しているYaKB-12.7mm旋回機関銃を取り外し、2砲身固定式GSh-30K 30mm機関砲を装備した型。
80年代に600機程度が生産されたようである。
- Mi-24TECh-24：
実験機型。
- Mi-24PK-2：
Mi-24Pの発展型。輸出名称Mi-35PN。
- Mi-24PN：
Mi-24Pの夜間攻撃能力等改良型。1999年に初飛行。
- Mi-24TECh-24：
- Mi-24VP"Hind-E Mod"：
YaKB-12.7mm機関銃の代わりに、機首のNPPU-23ターレットにGSh-23-2 23mm連装機関砲を装備した型。
一部にはフェネストロンやX字型の新型テイルローターを装備した機体もある。
新型機銃の不良と冷戦の終結もあって少数生産に終わり、ロシア空軍とウクライナ陸軍航空隊で運用されている。
- Mi-24VM：
Mi-24VPの改良型。1999年に初飛行。
固定武装にGSh-23L 23mm連装機関砲を搭載し、新型の9M120「アターカ-V」対戦車ミサイルを運用する。
- Mi-24VM：
- Mi-24PS：
1997年初飛行の警察仕様。
機関砲のかわりに大型のサーチライトや拡声器、FLIRなどを装備する。
ロシア内務省にて使用されている。
- Mi-24E：
環境調査型。
海洋や大気の汚染、洪水などの監視を行う。
収集したデータを処理する機器や地上局へのデータリンクが装備されている。
機体はE型と同じだが、非武装化されている。
Mi-25シリーズ †
- Mi-25：
Mi-24Dの輸出型。1972年に初飛行。
新しいMi-24Vが開発されたことから相対的に旧型となったMi-24Dが輸出可能となったため、輸出専用機として開発された。
Mi-35シリーズ †
- Mi-35"Hind D"：
V型の輸出型。非ワルシャワ条約機構加盟国用にスペックダウンされている。
アフガニスタン、アンゴラ、インドに輸出された。
- Mi-35U：
Mi-35を複操縦化した機体。インド等で運用されている。
- Mi-35M：
Mi-24VPの輸出型。
夜間戦闘能力が向上しており、チタニウムや複合材料を使用したローターを装備し、ランディングギアを固定脚にして軽量化が図られている。
エンジンやトランスミッションはMi-28と同じものを使用する。
機関砲は、Mi-24VPに準じ、NPPU-24ターレットにGSh-23L 23mm連装機関砲を装備する。
X字型テイルローターやフェネストロンを採用した機体も僅かに存在する。
- Mi-35P"Hind F"：
F型の輸出仕様。固定脚にして軽量化を図った。
アフガニスタン、アンゴラ、イラク、キプロスに輸出された。
Mi-35Mと同じく、X字型テイルローターやフェネストロンを採用した機体も僅かに存在する。
- Mi-35P：
近代化改修型。
最新の第3世代長波型赤外線映像装置、高性能TVカメラやレーザー測距儀を備えた新型の視察装置「OPS-24N-1L」を装備。
S-8ロケット弾のほか、「ヴィーフリ」対戦車ミサイルや9M127-1「アターカ-VM」対戦車ミサイルを装備可能。
2020年より量産が開始されている。
- Mi-24「スーパーハインドMk.�供廖�
南アフリカで運用されていたMi-24を改修する際に作られた試作機。
Mi-24Rベース。
- Mi-24「スーパーハインド Mk.�掘廖�
南アフリカで開発された改修型。
武器、航空電子工学および対抗手段をアップグレードした。
アルジェリアで使用されている。
- Mi-24「スーパーハインドMk.�検廖�
Mk.�靴離▲奪廛哀譟璽彪拭２�修の規模はMk.�靴茲蠍堕蠅気譴討い襦�
エンジンの吸気口にポールボルテックスエンジン空気粒子分離システムを備える。
機首にデネルG12 単砲身20mm機関砲（弾数840発）を装備。
アルジェリアで運用されている。
- Mi-24「スーパーハインドMk.�后廖�
完全に再設計された前部胴体とコックピットを備えた型。モックアップのみ。
- Mi-24-2000：
イスラエルで開発された改修型。
Mi-24P.jpg
