Last-modified: 2017-02-26 (日) 18:34:54 (31d)

【F-15】(えふじゅうご)

McDonnell? Douglas F-15 Eagle(イーグル)
マクダネル・ダグラス社が1970年代に開発した大型の制空戦闘機
アメリカ空軍ではF-86以来の純粋な制空戦闘機となった。

本機の開発に当たっては、コストは度外視され、「あらゆる状況下で」「どんな敵機にも勝利できる」能力を備えた、完璧なる制空戦闘機(Air Superiority Fighter)となることが目指された*1

1973年に初飛行し、ミサイル万能時代に失われた空中戦機動能力と、当時としては飛びぬけた目視外射程戦闘能力をもってデビューした。
また、世界で初めて推力重量比が1を超える強力なエンジンを装備、記録挑戦用のストリークイーグルは数々の世界記録を打ち立てた。

現在ではやや旧式化した感があるものの、近代化改修が続けられており、最新のマルチロールファイターに比べても同等以上に渡り合える能力を備えている。
1999年には実用戦闘機として初めてアクティブフェイズドアレイレーダーであるAPG-63 (V) 2 AESAやAPG-63 (V) 3を搭載した。
その能力は実戦で遺憾なく発揮されており、2003年現在で101機の航空機撃墜し、空対空戦闘における損害はゼロであると言われている。
ある戦闘機が、訓練において「F-15を『撃墜』した」という話が良く出回るが、逆を返せば、これは本機を「撃墜」したこと自体が自慢になるという事であり、ある意味、本機にとっての勲章といえるエピソードであろう。

また、その大きな機体に秘められた大きな発展性は、空中戦能力を大きく削ぐことなく対地攻撃能力を持たせたマルチロールファイターF-15Eに発展した。

関連:ストリークイーグル F-15E

参照
http://www.masdf.com/crm/eaglekilllist.html (F-15全撃墜機リスト)
http://www.masdf.com/eagle/ (F-15イーグル全般)

欠点

名実共に20世紀最高の戦闘機である本機だが、大きな欠点が一つだけある。
それは現代の戦闘機に最も必要とされる要素の一つ、「コスト・パフォーマンス」である。
強力なエンジンと高性能のレーダーを装備、機体の25%以上に高額なチタニウムを使用した結果、コストの増大を招き、ローンチカスタマーとなったアメリカ空軍ですら、必要な数を揃えることが不可能という事態に陥ってしまった。*2

アメリカ空軍以外で本機を採用できたのは、当時防衛費世界3位の航空自衛隊、(周辺国との戦争状態が半恒久的に続き)最新鋭の装備が必要なイスラエル軍、オイルマネーに潤うサウジアラビア軍*3など、ごく一部の国の空軍だけであった。*4
しかし、採用国は少ないものの、2004年現在で既に1,500機以上が生産されており、量産効果におけるコストダウンも実現していることから、後に韓国(F-15K)・シンガポール(F-15SG)にも採用されることになった。

F-15.jpg
Photo: USAF  F-15E

スペックデータ

F-15A/B/C/D
乗員1名(A型・C型)/2名(B型・D型)
全長19.43m
全高5.63m
全幅13.05m
翼面積56.5
空虚重量12,790kg
離陸重量20,245kg(増槽なし、AAM×4)/30,157kg(最大)
最大兵装搭載量10,705kg
エンジンP&W F100-PW-220ターボファン×2基
エンジン推力64.9kN/105.7kN(A/B使用時)
速度
(最大/巡航)
マッハ2.5/マッハ0.9
海面上昇率15,240m/min+
実用上昇限度19,800m
フェリー航続距離3,100nm(CFT+増槽使用時)
戦闘行動半径955nm(Hi-Hi-Hi、制空ミッション時)
固定武装M61A1 20mmバルカン砲×1門(装弾数940発)
兵装
AAMAIM-7「スパロー」AIM-9「サイドワインダー」AIM-120「AMRAAM」
爆弾類※以下、2、5、8ステーション(増槽搭載用)あたりの搭載数を記載。
Mk.80シリーズ(Mk.81、Mk.82×6発、Mk.83、Mk.84×1発)
Mk.84誘導爆弾レーザー、EO、IR)×1発
BLU-27B/B焼夷弾(フィンあり/なし)×3発
クラスター爆弾各種:
CBU-24B/B
CBU-42/A×3発
CBU-49/A・CBU-57B/B・CBU-58/B・CBU-2471/B・Mk.20「ロックアイ」×各4発
その他兵装AN/ALQ-131?ECMポッド
610Gal(2309L)増槽


F-15J/DJ
乗員1名(J型)/2名(DJ型)
全長19.4m
全高5.6m
翼幅13.1m
翼面積56.5
空虚重量12,973kg
最大離陸重量30,845kg
エンジンP&W/石川島播磨 F100-IHI-100(及びF100-IHI-220E)ターボファン×2基
推力ドライ推力:6,620kg(14,600lb)
アフターバーナー使用時:10,800kg(23,800lb)
速度
(最大/巡航)
M2.5/M0.9
航続距離
(フェリー/増槽)
3,450km/4,630km
実用上昇限度19,000m
戦闘行動半径1,900km
固定武装JM61A1 20mmバルカン砲×1門(装弾数940発)
兵装
短射程AAMAIM-9L「サイドワインダー」
90式空対空誘導弾(AAM-3)
04式空対空誘導弾(AAM-5)(改修機対応)
中射程AAMAIM-7F/M「スパロー」
AIM-120「AMRAAM」(改修機対応(試験運用))
99式空対空誘導弾(AAM-4)/99式空対空誘導弾(B)(AAM-4B)(改修機対応)
爆弾類Mk.82 500lb通常爆弾
アビオニクス
HUDAN/AVQ-20 ヘッドアップディスプレイ
レーダーAN/APG-63 火器管制レーダー
AN/APG-63(V)1 火器管制レーダー(改修機)
無線・航法装置AN/ARC-182 UHF/VHF無線機
AN/ARN-118(V) 戦術航法装置?
AN/ASN-109? 慣性航法装置
データリンクJ/ASW-10?データリンク装置
IFFAN/APX-101(V) IFF応答装置
AN/APX-76A(V) IFF質問装置
火器管制セットAN/AWG-20 プログラム可能兵装制御セット(PACS)(J-MSIP機)
AN/AWG-27 PACS(改修機)
電子戦装備J/TEWS
J/APR-4/-4A/-4B レーダー警戒装置
J/ALQ-8 機上電波妨害装置
AN/ALE-45J チャフフレアディスペンサー
J/APQ-1 後方警戒装置

統合電子戦システム(改修機)
J/APR-4A/-4B レーダー警戒装置
J/ALQ-8B 機上電波妨害装置
J/APQ-1 後方警戒装置
AN/ALE-47 チャフ・フレアディスペンサー

バリエーション

F-15E系列については該当項目を参照。

  • YF-15A カテゴリーI:
    F-15試作機。

  • YF-15A カテゴリーII:
    F-15全規模開発(FSD)機。

  • ストリークイーグル
    原型機を改修した記録挑戦用の特別仕様機。詳しくは項を参照。

  • TF-15A(→F-15B):
    F-15試作機の複座型。

  • F-15A(384機):
    初期単座型。
    C/D型導入後は戦術訓練航空団等の教育・訓練部隊に配備されている。

  • F-15B(TF-15A)(61機):
    A型の複座量産型。
    主に機種転換訓練用だが実戦にも対応している。
    内蔵電子妨害装置を省略し、内部燃料タンクを小型化して後部座席を設置。
    操縦システムはそれぞれに独立した系統を持っているため、後席からの操縦も可能。
    ただし、レーダーエンジン始動関連のパネル、兵装操作パネルなどは無い。

  • F-15A/B「バズ」(38機(A型)/6機(B型)):
    ピースフォックス計画で導入されたイスラエル向けA/B型。
    C/D型相当に改修され、CFTや国産AAMであるパイソン3の運用能力が追加されている。
    また、TEWSの輸出を認められなかったため、AN/ALQ-119(V)?およびエルタAL/L-8202ジャミングポッドAN/ALQ-132?フレアポッドを装備している。

    • F-15「バズ2000(バズメショパー)」:
      1995年に開始された近代化改修プログラム。C/D型(アケフ)にも適用されている。
      INS/GPS航法装置や新型電子戦システムが追加されたほか、AIM-120及びダービー、パイソン4/5AAMへの対応、DASHヘルメットキューイングシステムの装備、F-15Iと同じセントラルコンピュータに換装するなどの改修を行っている。
      レーダーもAN/APG-63(V)1へと換装されている。
      また、空対地攻撃能力が拡大されており、JDAMGBU-15?ポップアイ?誘導爆弾及びスパイス?空対地ミサイルの運用能力が付加されている。

  • F-15C(483機):
    燃料搭載量などが向上した改良型で現在の主力モデル。
    機内燃料の増加やコンフォーマル・パレット搭載のための内部配管の追加、重量増対策としてのタイヤとブレーキの強化が行われている。
    アビオニクスも改良が行われ、セントラルコンピュータが換装され、AN/APG-63?レーダーにプログラム可能デジタルシグナルプロセッサ(PSP)が組み込まれ、TWS能力がサポートされた。
    また、過荷重警報システムの搭載により9Gでの機動が可能となった*5

  • F-15D(92機):
    F-15Cの複座型。
    B型同様教育・訓練用だが、実戦にも対応し、FAST PACK搭載能力を持つ。

  • F-15C/D「アケフ」(16機(C型)/11機(D型)):
    イスラエル向けC/D型。
    仕様はA/B型と同様である。

  • F-15G:
    ギリシャ提案型。
    同国はタイフーンを採用したため実現せず。

  • F-15J(165機):
    C型の日本向けモデル。三菱重工業によるライセンス生産
    戦術電子戦システム(TEWS)が貿易規制により提供されなかったため、当該機器は「J/TEWS」として日本で独自開発された。
    J/TEWSは国産のJ/ALQ-8電波妨害装置とJ/APR-4レーダー警戒受信機、ライセンス生産のAN/ALE-45J射出型妨害装置(チャフフレアディスペンサー)で構成されている。
    独自装備の一つとして、日立製作所製の「J/ASW-10?」と呼ばれるBADGEシステムに連接して時分割データを受信する専用通信システムを持つ。

  • F-15DJ(48機):
    F-15Jの複座型。
    主に教育訓練用に使用している他、飛行教導群でもアグレッサーとして運用している。

  • RF-15:
    プロトタイプF-15E(複座型原型2号機:71-0291)の機体を改修した偵察機型デモンストレーター。
    偵察用のFAST PACKを装備する。

  • F-15N「シーイーグル(Sea Eagle)」:
    アメリカ海軍向けとして提案されたモデル。
    F-14の空軍型に対抗する艦上戦闘機として海軍に提案された。
    AIM-54の運用能力を持ち、主翼の折り畳み機構や着艦フックを有する。
    F-14が試験飛行段階であった事により構想のみに終わった。

  • F-15S/MTD:
    「アジャイル・イーグル・プロジェクト」という滑走路が破壊された場合を想定しての、STOL研究実験機。
    S/MTDとは「Short take-off and landing/Maneuvering Technology Demonstrator*6」の略である。
    F-15BにF/A-18の水平尾翼をカナードとして取り付けたもので、後にスラストリバーサー、二次元推力偏向ノズルも装備された。
    計画終了後、本機は1993年にNASAへと移管された。

  • F-15B ACTIVE:
    主に超音速時における推力偏向の研究用として、NASAで運用されている機体。
    ACTIVEとは「Advanced Control Technology for Integrated Vehicles(先進制御技術統合航空機)」の略である。
    F-15S/MTDのエンジンをF100-PW-229に換装し、Su-37のような新型の三次元推力偏向ノズル(PYBBN)を搭載、制御ソフトウェア等も一新されている。

  • F-15 IFCS:
    F-15B ACTIVEに「IFCS*7」を搭載した機体。
    2005年より改修したF-15にシステムを搭載して実験を行っている。

  • F-15 MANX:
    F-15 ACTIVEから尾翼を取り外したタイプ。実際に製作される事はなかった。

  • F-15X:
    ATFの代替案として提案された型。計画のみ。
    機体を空力的に若干洗練し、搭載する電子機器類を最新のものにするとされていた。

  • F-15XX:
    前述のF-15Xを更に洗練したもの。計画のみ。
    低観測性技術を取り入れ、主翼面積を増積(62.2〜63.2屐砲靴撞‘粟の向上を図り、電子機器は通信・航法・識別電子機器(ICNIA*8)と統合電子戦システム(INEWS*9)を搭載した。
    搭載エンジンはYF119-PW-100またはGE F100の改良型にするとした。

  • F-15 2040C:
    米空軍がF-15を2040年代まで延長使用する場合の改修プランとして、ボーイング社が提案したミサイルキャリアー仕様。
    APG-63(V)3 AESAレーダーやIRSTの搭載、コンフォーマル燃料タンク(CFT)の標準装備化や機体寿命の延長等の措置を施し、CFT装備で空白になるドロップタンクのハードポイントやCFTのハードポイントを利用して、ミサイル発射装置を改良することで空対空ミサイル搭載数を16発まで増加させる。


*1 開発チームには「1ドルたりとも制空以外の能力に金をかけてはならない」という指示が出ていた、という話も伝わっている。
*2 後に本機を数の面で補完するために「低価格戦闘機計画(LCF)」が立案され、F-16が開発された。
  また、このコンペティションでF-16に敗れたYF-17は、その後、海軍航空隊F/A-18として採用された。

*3 三カ国ともF-4を採用しており、マクダネル・ダグラス社は実績があった。
*4 ちなみに、同時期に登場したF-14にいたっては、アメリカ海軍及び帝政イラン空軍にしか採用されなかった。
*5 それまでは7.3Gに制限されていた。
*6 短距離離着陸/機動技術デモンストレーター。
*7 Intelligent Flight Control System:知的飛行制御システム。
*8 Integrated Communication Navigation and Identification Avionics.
*9 Integrated Electronics Warfare System.

添付ファイル: fileF-15.jpg 40150件 [詳細]

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