【マッハ】 †
Mach.
物理学者エルンスト・マッハ博士（Ernst Mach）が定義した速度の単位。
「マッハ1」は、ある空間を振動が伝播する速度、すなわち音速に等しい。
音速は振動を伝播するのがどのような物質であるか、また密度や温度、圧力などによって変動する。
国際標準大気を想定した場合のマッハ1は秒速として約340m/s、時速にして約1,224km/hに相当する。
高空など気圧が低い場合は遅くなり、真空中ではゼロとなる（真空は振動を伝播しない）。
逆に圧力が高ければ音速は早くなる傾向にあり、ソナーなどで問題になる「水中音速」は大気中の4倍以上に達する。
特に条件の指定がない場合、マッハ1は340m/sと換算される事が多い。
音速に達する可能性がある実機・実験施設では、速度計とは別に、対気速度を実環境下での音速に換算するマッハ計が設置される。
音の壁などが機体挙動に重大な影響を与えるため、実際の音速を厳密に判断する必要があるからだ。
世界ではじめて音の壁を超えたのは、公式記録上ではアメリカのX-1?型ロケット実験機のテストパイロットであったチャールズ・イェーガー中尉（1947年10月14日にマッハ1.05を記録）である。
（第二次世界大戦末期にドイツのロケット機が音速を突破していた記録があるが、事実と公認されていない)
また、有人航空機の最高速度世界記録は1967年にウィリアム・J・ナイト米空軍大尉がX-15実験機で到達したマッハ6.70。
しかしながら、実際の運用では、最先端のジェット戦闘機であっても最高速度はマッハ2.0〜2.5程度、通常の飛行速度は亜音速程度に抑えられている。
マッハ2以上の速度に実質的な利得はなく、部品の摩耗や燃料消費を増大させるのみであると考えられている。
関連：国際標準大気
