Last-modified: 2023-02-26 (日) 10:55:43 (211d)
【慣性航法装置】 †
Inertial Navigation System. (INS)
航法支援装置のひとつ。
物理学における「慣性の法則」を利用して現在位置を割り出すもの。
高精度のジャイロと加速度計で機体の加速度を感知し、それを2回積分して位置情報を算出する。
外部との通信を必要としないため、長距離を航行する航空機、通信に制約のある潜水艦などに採用されている。
また、GPSの受信機も、通信途絶時の補助として慣性航法による現在位置推定が可能(ただし、精度は著しく低い)。
原理上、相対的な位置情報しか算出できないため、出発前に現在位置の情報を設定しておく必要がある。
ある程度以上の規模を持つ飛行場のスポットには、INSを設定するための経度・緯度情報が掲示されている。
時間経過に応じて誤差が拡大するため、長時間の航行では他の航法装置による誤差修正を必要とする。
1983年に起きた「大韓航空007便撃墜事件」では、この誤差が事件の原因の一つと指摘された。
誘導爆弾やミサイルなどに用いられる事も多く、この場合は「慣性誘導装置」と呼ばれる。
主に長射程の弾道ミサイル・巡航ミサイルや対艦ミサイルの中間誘導に用いられることが多い。