Last-modified: 2022-10-27 (木) 08:25:41 (35d)

【An-12】(えーえぬいちに)

Antonov An-12"Cub".

ソ連(現在のウクライナ)のアントノフ設計局が1950年代に開発した四発ターボプロップ輸送機
NATOコードでは「Cub(カブ)」と呼ばれた。

本機は、同じアントノフ設計局の開発したAn-10(NATOコード:キャット)旅客機貨物機型として開発された。
An-10シリーズの欠点だった横安定性不良の改善のため、垂直尾翼を大型のものに変更している。
また、機体サイズ・レイアウトや飛行性能はアメリカのロッキードC-130とよく似ている。

1957年に原型機が初飛行、1959年にはソ連空軍に実戦配備された。
1972年までに1,243機が生産され、東側諸国だけではなく、一部の西側諸国でも運用された。

また、対潜哨戒機型などの派生型も生産されたほか、生産機数のうち900機近くが民間向けとして生産された。
中国でも運輸8(Y-8)としてライセンス生産されているほか、Y-8F-600をベースとして運輸9(Y-9)?が開発されている。

運用国

  • 民間型
    • アエロフロート
    • アントノフ航空
    • イラク航空
    • エジプト航空
    • エアギニア
    • 中国民航
    • バルカン・ブルガリア航空
    • スリランカカーゴ

  • 軍用型
    • アフガニスタン:1981〜2001年まで12機を運用。
    • アルジェリア
    • アンゴラ
    • バングラデシュ
    • ベラルーシ
    • 中国:派生型のY-8Y-9?も運用。
    • チェコ:チェコスロバキア時代から運用。国家分裂によってスロバキアには移管されず。
    • エジプト
    • エチオピア
    • インド:1961〜1990年代まで現役であった。
    • インドネシア
    • イラク
    • イラン
    • カザフスタン
    • ミャンマー
    • ポーランド
    • ロシア:2030年代まで運用予定。
    • ソビエト連邦:崩壊後は各国に分散した。
    • スリランカ
    • スーダン
    • シリア
    • ウクライナ
    • ウズベキスタン
    • イエメン
    • ユーゴスラビア

スペックデータ

乗員5名(機長副機長航空機関士航法士通信士
容量ペイロード20,000kg/空挺部隊60名/BMD-1×2台
全長33.1m
全高10.53m
翼幅38m
翼面積121.7
空虚重量28,000kg
最大離陸重量61,000kg
エンジンイーフチェンコ=プログレース AI-20LまたはAI-20Mターボプロップ×4基
(出力4,000shp(3,000kW))
プロペラ4枚翅定速プロペラ
最高速度660km/h
巡航速度570km/h
航続距離5,700km(最大燃料時)
3,600km(最大ペイロード時)
上昇限度10,200m
上昇率10.2m/s
武装尾部砲塔にNR-23 23mm機関砲×2基を装備可能


バリエーション

  • An-12:
    初期生産型。エンジンはイーフチェンコAI-20A(4,000hp(3,000kW))を搭載。

  • An-12A:
    改良型。
    エンジンをAI-20K(4,170hp(3,170kW))に換装し、内翼パネルに燃料電池4個を追加した。

    • An-12AD:
      タシケントで製造・納入された1機に付けられた呼称。

    • An-12AP:
      A型にP型の床下燃料タンクを2基増設した改造機。

  • An-12B:
    改良型。
    主翼の強化やTG-16 APUの搭載などの改良が行われた。
    エンジンは信頼性が向上したイーフチェンコAI-20Mを搭載。

    • An-12B-30:
      ペイロードを30トンに増加させた型。計画のみ。
      エンジンはAI-20DK(5,180hp(3,860kW))を搭載予定だった。

    • AN-12B-I:
      "Fasol"アクティブジャミングシステムを搭載する電子妨害機型。少数生産。

    • An-12BK:
      An-12BPの改良型。
      ペイロードを30トンに増加させ、アビオニクスやTG-16M APUの改良、貨物ドアを拡大した。
      軍用輸送航空団司令部(VTA*1)に配備された。

    • An-12BK-IS:
      電子妨害機型。
      前部胴体下部と砲手席の両側にあるパイロンに吊り下げられた4基のポッドに"Fasol"と"Sirena"ミッションシステムを搭載する。
      1974年からは105機が"Bar'yer"と"Silen"ミッションシステムや赤外線ジャマーを搭載する改造を受けた。

    • An-12BK-PPS:
      An-12PPから発展した電子妨害機型。
      4基のポッドに"Sirena"システム、"Booket"ジャマーシステム、尾翼チャフディスペンサーを搭載する。
      後期生産型ではチャフディスペンサーは貨物ドアに移設されている。

    • An-12BKK:
      VIP輸送機型。

    • An-12BKSh:
      航法訓練機型。10台の訓練用ワークステーションを搭載。

    • An-12BKT:
      空中給油機型。
      19,500L(4,300 imp gal; 5,200 US gal)の積載量があり、一度に2機に給油する事が可能だった。

    • An-12BKV:
      貨物室のドアから爆弾地雷を投下するためのコンベアベルトを常設した型。
      精度が低かったため開発中止となった。

    • An-12BL:
      Kh-28(AS-9)対レーダーミサイルのテストベッド機。
      前部胴体の両側のパイロンに2発、外翼の下のパイロンに2発のミサイルを装備可能。

    • An-12BM:
      SATCOM中継機に改造した型。
      通信衛星「モルニヤ1号」との通信を試験的に中継している。

    • An-12BP:
      B型にAn-12Pの床下燃料タンクを2基増設し、NAS-1B1-28自動航法システムとRSKM-2無線座標監視システムを装備した型。
      後期生産型では貨物室ドア幅が広くなり、座席配置が変更されている。

    • An-12BPTs:
      気象研究機型。
      測定装置、データ記録装置、雲霧散布装置を搭載。
      その後、ミッション機器を取り外されて輸送任務に戻された。

    • An-12BSh:
      航法訓練機型。

    • An-12BSM:
      標準化された貨物パレットを搭載することを目的とした改良型。

    • An-12BZ-1:
      空中給油機型。給油ホース/ドローグユニットを1つのポッドに搭載した。

    • An-12BZ-2:
      コックピット上部に固定プローブを装備した型。

  • An-12D:
    新型の足回りやAn-24?同様の尾部、完全与圧式の胴体、貨物室ドアに搭載用ランプを組み込んだ積載量増加型。
    開発中止になったが、An-40STOL輸送機につながった。

    • An-12DK:
      イーフチェンコAI-30ターボプロップ(5,500hp(4,100kW))を搭載した型。
      計画のみ。

    • An-12D-UPS:
      An-12DのBLC仕様機。主翼中央上部に2基のターボ圧縮機を備える。提案のみ。

  • An-12M:
    イーフチェンコAI-20DMターボプロップを搭載した型。
    性能は向上したがエンジンの製造中止により生産中止。

  • An-12P:
    An-12の貨物室床下に2基の増加燃料タンクを装備した型。

    • An-12PL:
      An-12BP"Polar"と同様の改造が施された極地輸送型。

    • An-12PP:
      電子妨害機型。

    • AN-12PS:
      捜索救難型。

  • An-12R:
    主翼と尾翼を改良し、ロタレフD-36高バイパスターボファン4基を搭載した型。
    この計画は後にAn-112へと発展した。

    • An-12RR:
      NBC偵察機型。
      前部胴体両側にエアサンプリングポッドを装備。

    • An-12RU:
      JATO仕様。計画のみ。
      胴体後部左右にPRD-63固体燃料ロケットブースターを装着される予定だった。

  • An-12SN:
    T-54戦車の空輸を可能にするため、貨物室幅を3.45mに拡大した型。
    An-22?が空輸に適していることが判明したため開発中止になった。

  • An-12T:
    燃料輸送機型。必要に応じて貨物室に特殊なタンクを装備した。

    • An-12TP-2:
      南極での長距離輸送や探査任務に使用された機体。
      長い機首レドームや砲手席から延びるMADブーム、断熱キャビン内のミッション機器などが装備された。

  • An-12U:
    BLC仕様機。計画のみ。
    圧縮空気は翼下ポッドのDK1-26圧縮機2基から供給された。
    JATOを使用することで、現場での性能を飛躍的に向上させることが想定されていた。

  • An-12UD:
    暫定的な航続距離延長型。
    ミヤシュチェフM-4爆撃機補助タンクを2基を貨物室内に搭載している。

    • An-12UD-3:
      搭載するミヤシュチェフM-4爆撃機の補助タンクを3基にした型。


*1 Komandovaniye voyenno-transportnoy aviatsii.

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