Last-modified: 2023-08-14 (月) 18:59:28 (256d)

【ソ連軍】(それんぐん)

第二次世界大戦後の1946年から1992年まで存在した、ソビエト社会主義共和国連邦の正規軍。

本項では、ソ連軍の前身である「労働者・農民赤軍」、通称「赤軍」についても解説する。

労働者・農民赤軍(ロシア革命〜第二次世界大戦)

露:Рабоче-крестьянская Красная армия
英:Workers' and Peasants' Red Army

第一次世界大戦中の1917年10月に発生した十月革命以降、本格的に台頭しはじめたソビエト共産党の軍隊として1918年1月に設立された「労働者・農民赤軍」は、ロシア帝国側の正規軍である白軍との勢力争いに勝利し、ソビエト連邦誕生に大きな役割を果たした。

戦間期には、世界恐慌によって縮小された各国の軍隊に比べ、大規模な機械化に成功した一方、当時の最高指導者であるスターリンの方針によって優秀な将校の多くが処刑された。
このため、1930年代には世界最大の陸軍国家となったにもかかわらず、効果的な運用能力には障害を抱えていた。

これが仇となり、第二次世界大戦初期、圧倒的な数的優位、兵器の性能的優位を以て侵攻したフィンランドの制圧に失敗(冬戦争)。
さらに、バルバロッサ作戦によってドイツがソビエトに侵攻した独ソ戦開戦の際は、大きな混乱によって防衛線構築に遅延をきたした。
しかし、ドイツ軍最大の目標であった首都モスクワへの侵攻は、スターリングラードの戦いや連合国の支援、ウラル山脈以東に疎開した軍需工場群の本格稼働によって未然に防いだ。

その後、赤軍はドイツ軍に対して立て続けに攻勢を実施、ドイツの支配を受ける東ヨーロッパの各国を解放しつつドイツ本国へ侵攻、首都ベルリンを制圧することで、第二次世界大戦のヨーロッパの戦いを終結させた。
また、1945年8月7日には太平洋戦争に参戦、満州地域及び日本北方の島嶼部へ侵攻した。
この侵攻により、北方領土は今日に至るまでソビエト→ロシアの支配下となっている。

ソビエト社会主義共和国連邦軍(戦後〜ソ連崩壊)

露:Вооруженные силы Союза Советских Социалистических Республик
英:Armed Forces of the Union of Soviet Socialist Republics

1946年、赤軍は「ソビエト社会主義共和国連邦軍」へ改称された。
また、組織構成は地上軍海軍空軍防空軍戦略ロケット軍に変更され、指揮系統の効率化が図られた。
その後の冷戦期には社会主義勢力の頂点に君臨するソビエトの軍隊として、アメリカ軍に対抗しながら大規模な軍拡を展開していたが、経済力に不相応な軍拡であったことからソ連崩壊の原因の一つとなった。
しかし、その強大な軍事力は周辺国に影響を与えるには十分で、冷戦期の代理戦争では度々その軍事力を間接的に行使していた。
また、日本でも「自衛隊の育ての親」とも言われる程、安全保障に於いて重要な位置を占める仮想敵国であった。

また冷戦当時、東欧の共産主義国にはソ連軍部隊が駐留しており、現地で叛乱・暴動などが発生したら駐留先の国軍と共に鎮圧にあたるなど、ソ連の影響力を東欧諸国に及ぼすためにも使われた。

ソ連の崩壊の後、残された兵器や組織体系のほとんどはロシア軍へ移行したが、一部は旧ソ連を構成した独立国の正規軍となった。

関連:赤軍 ロシア軍

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