Last-modified: 2017-02-01 (水) 22:38:37 (196d)

【F-22】(えふにじゅうに)

Lockheed Martin F-22"Raptor(ラプター)".

ロッキード・マーチンF-15の後継として開発した戦闘機
2002年に型式を「F/A-22」に改められたが、2005年12月に「F-22」へ戻されている。

F-15の設計思想を継承し、「あらゆる状況下であらゆる敵を圧倒する世界最強の戦闘機」を目指して開発された。
同時期に開発が始まったグリペンラファールタイフーン多用途化を念頭におく機体と比べて、この目標は明らかに異質と言える。
その妥協のない設計ゆえ、「航空支配戦闘機(Air Dominance Fighter)」の異名を取った。

開発計画であるATF計画は1981年にスタートし、メーカー7社が競争試作に参加した。
ここで国防総省から示された要求項目は「高い運動性超音速巡航ステルスSTOL」。
このうちSTOLについては実現困難と目され、後に取り下げられた。
1991年、ロッキード(ゼネラル・ダイナミクス、ボーイングが協力)の試作機YF-22が採用された。

ミリタリー推力でも10,000kgを越える推力をもって超音速巡航を実現。
またベクタードノズルを装備し、高い運動性も同時に確保している。
レーダー反射面積も非常に小さく、レーダー被発見距離は従来機の1/10とも言われる*1
アビオニクスは旧来独立していた飛行制御・電子戦・エアデータ全てを統合したフライバイライト

ステルス性維持のため武装は全てウェポンベイに収納されるものの、対空兵装の搭載能力は前世代と遜色ない。
ただし爆弾の搭載量は低く、攻撃機としての打撃力の少なさは否めない。
ステルスを要求されない作戦での対地攻撃は主翼下ハードポイントを増設して対処する事とされている。
また、戦闘爆撃機としての改修モデルとしてFB-22「ストライクラプター」が提案・計画されている。

制空戦闘機としての性能は強力無比であったが、その性能ゆえ開発費は高騰。
また、機密保持を優先して輸出禁止措置を採ったために量産性が損なわれ、さらなるコスト高騰を招いた*2
最終的な導入コストは生産費・開発費を併せて1機辺り3億6,100万ドル(約420億円)という常軌を逸した金額に達している。
このコスト・パフォーマンスの悪さから、当初計画の750機のうち実際に実際に生産されたのは187機に留まった。

2005年12月15日に、米空軍ラングレー基地の第1戦闘航空団第27戦闘飛行隊(1FW 27FS)に初めて実戦配備されている。
演習においては圧倒的な優越性を示している*3が、実戦における成果はない。
撃墜された事もないが、実戦配備された機体のうち1機のみ離陸時の事故で喪失している。

スペックデータ

YF-22
乗員1名
全長19.56m
全高5.41m
翼幅13.11m
翼面積78.04
空虚重量14,062kg
最大離陸重量26,309kg
エンジンアフターバーナー付きターボファン×2基
GE YF120-GE-100(1号機)
P&W YF119-PW-100(2号機)
エンジン推力156kN(A/B使用時)
最大速度M2.0
実用上昇限度15,240m


F-22
乗員1名
全長18.92m
全高5.08m
翼幅13.56m
翼面積78.04
空虚重量14,379kg
運用時重量25,107kg
最大離陸重量36,288kg
エンジンP&W F119-PW-100ターボファン×2基
エンジン推力156kN(A/B使用時)
最大速度M2.25(A/B使用時)/M1.82(超音速巡航)/M1.40(A/B使用時、海面高度)
航続距離2,775km
実用上昇限度15,240m
上昇率機密(非公表)
戦闘行動半径450nm(無給油)
固定武装M61A2 20mm機関砲×1門(弾数480発)
兵装
AAM胴体下ウェポンベイ
AIM-120C「AMRAAM」AAM×6発(AIM-120Aの場合4発)

空気取り入れ口側面ウェポンベイ:
AIM-9L/M「サイドワインダー」 ×2発
AIM-9X「サイドワインダー2000」×2発(JHMCS対応機の場合)
爆弾胴体下ウェポンベイ(以下の二つから選択):
GBU-32「JDAM」(1,000ポンドGPS/INS誘導爆弾)×2発
GBU-39「SDB」(285ポンドGPS/INS誘導爆弾)×8発
アビオニクスAN/APG-77レーダー
AN/ALR-94レーダー警報受信機
AN/AAR-56ミサイル警報装置
AN/ALE-52チャフフレアディスペンサー

バリエーション

  • YF-22:
    ATF計画で開発された試作機。量産機とは主翼後退角等の細部が異なる。2機製造された。
    エンジンは1号機ではジェネラル・エレクトリック社の「YF120-GE-100」を、2号機ではプラット&ホイットニー社の「YF119-PW-100」がそれぞれ搭載されており、選考の結果2号機が採用され基本型となる。

  • F-22(F-22A,F/A-22):
    基本型。総計187機が製造された。
    「F-22A」は複座型であるF-22Bの開発を予定していた頃の名残であるが、現在でもF-22Aと表記される場合がある。
    「F/A-22」は空対地攻撃能力の比重の増大を受けて2002年9月に攻撃機という意味のA(Attacker)が付け加えられた名称。
    しかし、2005年12月に初度作戦能力を得る際に再度名称をF-22(A)へと戻している。

    • Block 1:
      初期量産型。EMD試験機でもある1号機、及び2号機の2機が製造された。
      現在は第43戦闘飛行隊(ティンダル空軍基地(フロリダ州))にて2号機と共にGF-22として使用中。

    • Block 2:
      EMD試験機。3号機の1機が製造された。
      現在はアメリカ空軍博物館に展示されている。

    • Block 10:
      4号機から9号機(EMD試験機)、及び第1期量産準備試験機である10号機から11号機、第2期量産準備試験機である12号機から40号機までの37機が製造された。

    • Block 20:
      本格的な量産仕様。41号機から83号機まで43機製造。

    • Block 30:
      84号機から150号機が適用。

    • Block 35:
      現在の最新仕様。151号機から適応。

  • F-22B:
    機種転換訓練などに用いられる複座型。
    冷戦の終結に伴う軍備・予算縮小や開発費の高騰、シミュレータでの代用が可能となったために1996年に開発中止。

  • F-22J-Ex:
    海外(主に日本)への輸出仕様として構想された型。
    連邦政府の海外輸出禁止政策に対処するためダウングレードして生産することとしていた。
    原案は、2006年2月にロッキード社がF-22の対日輸出に関してアメリカ空軍高官との協議を持った際に作成された。

  • FB-22「ストライクラプター」:
    ロッキード・マーティン社がアメリカ空軍に提案していた戦闘爆撃機型。
    計画中止。

  • F-22N:
    アメリカ海軍向けの艦上戦闘機型。
    元々はNATF(Naval Advanced Tactical Fighter)計画として開発が進められたが、後にATFと計画を一本化した。
    F-22と機体部品を共通させ、可変翼を有するとされた。
    546機の受注が見込まれていたが、1991年に計画中止。

    IMG_4502.jpg


*1 非公式ながら、演習において目視内射程に入ってさえレーダーには全く反応が無かったとも噂される。
*2 日本など一部の国が導入を検討したが、禁輸措置と価格高騰ゆえ見送られた。
*3 アラスカで行われた「ノーザンエッジ2006」演習で、Su-27Su-30を演ずるアグレッサーに対して118対0のキルレシオを達成している。

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