Last-modified: 2020-09-18 (金) 21:09:15 (7d)

【B-17】(びーじゅうなな)

Boeing B-17 "Flying Fortress(フライング フォートレス)".

アメリカのボーイング社が、1930〜1940年代に開発・生産し、アメリカ陸軍航空隊で使用していた四発重爆撃機戦略爆撃機)。

当初、本機は「沿岸防御用*1」として、哨戒や対艦攻撃のために計画されたが、後に「敵国の軍隊よりもさらに重要である、その国の工業組織を目標」にする「護衛なしでやっていける*2」爆撃機として開発された。

第二次世界大戦では、初期の太平洋戦線や欧州での偵察戦術爆撃、後期の1943年からはドイツ本土への戦略爆撃に活用された。
特にドイツでの戦いでは、排気タービン過給器による優れた高高度性能と豊富な防御火器(加えてコンバットボックスと呼ばれた密集編隊戦術)によってドイツ空軍を大いに苦しめ、ドイツの工業力を空から破壊することに成功した。

一方、太平洋戦線では本機よりも航続距離ペイロードに優れるB-24「リベレーター」が主軸となり、更に末期の日本本土空襲ではB-29「スーパーフォートレス」が主軸となったため、偵察救難といった支援任務に回ることが多かった。

それでも日本軍航空部隊にとっては脅威であり、本機の撃墜は困難を極めた。

本機は各型合わせて12,731機が生産され、ボーイング本体の他、ダグラスやベガ・エアクラフト社(ロッキード傘下)でも生産された。
最後の機体はブラジル空軍で1968年まで用いられていた。

スペックデータ(B-17G)

乗員10名
機長副機長航法士爆撃手?機首砲手航空機関士兼上部砲塔砲手、通信士
胴体部砲手2名、ボールターレット砲手、尾部砲手)
全長22.66m
全高5.82m
翼幅31.62m
翼面積132
翼型NACA 0018/NACA 0010
空虚重量16,391kg
総重量24,494kg
最大離陸重量29,710kg
発動機ライトR-1820-97「サイクロン9」空冷星型9気筒×4基(出力1,200hp(890kW))
(XB-17〜YB-17AはP&W R-1690「ホーネット」?空冷星型9気筒)
最高速度462km/h(高度7,620m)
巡航速度293km/h
航続距離5,800km(最大)/3,219km(2,700kgまでの爆弾搭載時)
上昇限度10,900m
上昇率4.6m/s
翼面荷重186kg/
パワー/マス150W/kg
武装ブローニングM2 12.7mm重機関銃×13挺
爆弾搭載量短距離ミッション(<400mi):3,600kg
長距離ミッション(〜800mi):2,000kg
過負荷:7,800kg


バリエーション

  • ボーイング モデル299(XB-17):
    最初の試作機。エンジンP&W R-1690「ホーネット」?を搭載。

  • YB-17:
    原型および生産前機の呼称。後にY1B-17と改称。
    エンジンはライト R-1820「サイクロン9」?を搭載。

  • Y1B-17A:
    生産前14号機。
    元々はY1B-17の静的試験のテストヘッドとして使用するはずだった機体で、エンジンのテストヘッドとして使用された。
    エンジンナセル下部にターボチャージャーを追加装備した。試験終了後にB-17Aと改称。

  • B-17B:
    最初の生産型。A型と比べてラダーフラップが大型化している。
    エンジンはR-1820-51(1,000hp)を搭載。武装は12.7mm機関銃×5挺。

    • RB-17B:
      訓練・輸送・連絡任務型。「R」はrestrictedの制限という意味。

  • B-17C:
    出力強化および細部の改修(銃塔やセルフシーリング式の燃料タンク等)が行われた型。
    エンジンはR-1820-65(1,200hp)を搭載。武装は12.7mm機関銃×7挺。

    • Fortress Mk.機
      英国空軍に供給されたB-17Cの呼称。

  • B-17D:
    C型の改修型。
    カウルフラップや電気系統等の変更、外部爆弾架の廃止、防弾版の追加や防御機銃の強化などが行われた。

  • B-17E:
    最初の本格量産型。
    ボーイング307に基づいた新しい垂直尾翼を装備し、尾部の防御機銃が追加された。
    胴体下部の銃塔は、生産機の最初の5分の1はB-25の胴体上部銃塔とよく似たものが装備され、後のB-17Eはボールターレットが装備された。

    • Fortress A:
      英国空軍に供給されたB-17Eの呼称。

  • B-17F:
    E型に近い機体。
    機首の防御機銃が増設され、機体の強化により爆弾搭載量が3,600kgに増加したが、巡航速度が110km/hに低下している。
    また、燃料タンクの増設により航続距離を1,400kmに延長している。

    • Fortress 供
      英国空軍に供給されたB-17Fの呼称。

  • B-17G:
    最多生産型かつ最終生産型。
    機首下部の「あご」に12.7mm機関銃2挺の動力砲塔を装備した。
    後期生産分はR-1820-97エンジンを装備。

    • CB-17G:
      空挺輸送型。空挺兵64名搭乗可能。

    • DB-17G:
      無人機(ドローン)指令機に改装された機体。

    • JB-17G:
      機首にアリソン T-56ターボプロップエンジンを装備したテストヘッド型。

    • MB-17G:
      ミサイル発射試験の母機。

    • QB-17L:
      無人標的機に改修された機体。同様の機体にQB-17Nもある。

    • RB-17G:
      偵察機型の派生。

    • SB-17G(B-17H):
      G型改修の海上救難機型。
      捜索レーダー、ボート投下装置を装備。後にB-17Hと改称。

    • TB-17G:
      特務訓練機型。

    • VB-17G:
      要人輸送型。

  • XB-38:
    R-1820エンジンが不足した場合に備えて、代用機としてアリソンV-1710-89液冷V型12気筒に換装した型。
    試作のみ。

  • YB-40:
    編隊を敵機から掩護するために銃座を増設した護衛爆撃機(援護戦闘機)。
    日本軍の翼端援護機に相当する。
    機首下面に「チン・ターレット」と呼ばれる連装銃塔を装備し、胴体上面中央の銃座を動力銃塔に変更、側面銃座を油圧駆動の2挺に強化し、機銃弾を多めに搭載した。
    機体重量や空気抵抗の増加で飛行性能が劣っていたことや護衛戦闘機の航続距離に目処がついたために、試作のみで量産には至らず、大半の機体は元のB-17Fに戻された。

    • XB-40:
      F型の1機をベガ社で改造したもの。

    • TB-40:
      YB-40を改装した練習機型。

  • PB-1:
    米海軍の各種試験用として使用された機体(B-17FおよびB-17G)の呼称。

  • F-9:
    写真偵察型。後にFB-17、RB-17と呼称。

  • BQ-7:
    「アフロディーテ作戦」によって開発された無線誘導飛行爆弾型。
    コックピットにテレビカメラを計器盤と外を見るための計2台を設置して無線操縦できるようにされていた。
    途中までは有人操縦で、イギリス領空内で誘導母機と合流し炸薬の安全装置を解除してから操縦士は脱出する。

  • CQ-4:
    BQ-7の誘導母機。

  • C-108:
    輸送機型。試作のみ。

    • XC-108:
      ダグラス・マッカーサー将軍用のVIP輸送機(バターン号)としてE型を改装したもの。
      防弾板を除去し、側面などの防御機関銃を降ろし、機首と尾端のみに機関銃を装備している。
      機内には、執務室や調理場が設けられ、窓も設置された。
      また、ステップ付の搭乗口に改装されている。

    • YC-108:
      XC-108と同等。F型ベース。

    • XC-108A:
      E型をベースに、全武装および防弾板を降ろし、胴体後部左側面に貨物扉を設けたもの。
      インドからヒマラヤ山脈越えによる中華民国への物資輸送に用いられたものの、エンジン性能不足により、1944年末には用いられなくなった。

    • XC-108B:
      F型をベースに、全武装および防弾板を降ろし、燃料輸送目的に胴体内を大型燃料タンクとしたもの。
      XC-108Aと同様にインドからヒマラヤ山脈越えによる中華民国への物資輸送に用いられた。

  • ドルニエ Do 200:
    ドイツ空軍輸送機として捕獲運用していたB-17に与えた秘匿名称。

  • ボーイング307:
    B-17の主翼・尾翼を流用して開発された旅客機
    世界で最初に客室を与圧した機体として有名。10機のみ製造された。

  • C-75:
    ボーイング307の軍用型。


*1 当時のアメリカは孤立主義的傾向が強く、議会や納税者の批判をかわすため「列車砲の代替として、アメリカの長大な海岸線で敵上陸侵攻軍を撃破する」ことを目標としたという。
*2 しかし実際には、改良を重ねても「護衛なし」という点は達成できなかった。

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