Last-modified: 2023-01-12 (木) 17:55:55 (147d)

【紫電改】(しでんかい)

川西 N1K2-J「紫電改」。

大東亜戦争(太平洋戦争)中、日本海軍が運用した局地戦闘機迎撃戦闘機)。

「紫電改」という呼称は「紫電」の初期型である紫電一一型(N1K1-J)から大規模な改設計のなされた紫電二一型(N1K2-J)系列機のものである。
連合国軍側のコードネームは"George(ジョージ)"*1*2

1942年12月に初飛行した紫電一一型は水上戦闘機強風」から設計の大部分を受け継いだ機体であったが、陸上で運用する戦闘機としては様々な問題点が存在した。
そこで、1943年1月には「仮称一号局地戦闘機改 N1K2-J」試作指示が川西に下った。

  • 主翼を中翼配置から低翼配置とすることで視界不良と主脚にまつわる不具合を解消。
  • 胴体を延長、「」の直径に合わせて絞り、垂直尾翼を大型化、飛行安定性の向上と抗力の軽減を図る。
  • 生産性向上の為に部品数を紫電のものから2/3に減ずる。

などの改設計が加えられた「試製紫電改」は1944年1月に試験飛行を実施、紫電一一型の問題点が解消されたことを証明した。
その後の試験飛行でも良好な結果を示し続けた本機は1945年1月に制式採用された。

その性能は旧式化しながらも未だ主力戦闘機であった零式艦上戦闘機に総合的に勝るもので、海軍は本機を局地戦闘機としてではなく、零戦や増産計画のあった雷電に替わる主力戦闘機としての運用を決定、本機は集中生産の対象となったが、物資の欠乏によって終戦までの生産数は約400機に留まった。

大戦末期、本機や紫電雷電を装備、優秀な搭乗員及び整備員を集めて編成された「第343海軍航空隊(三四三空・通称『剣部隊』)」は有名である。

余談だが、有名な養毛剤「薬用紫電改」の名前の由来は、まさに本機であり、単に開発者が本機のファンであったことから命名されたと言う逸話がある。

性能諸元

形式名紫電二一型(紫電改)
機体略号N1K2-J
全長9.376m
全高3.96m
全幅11.99m
翼面積23.5
自重2,897kg
全備重量3,900kg
発動機中島/海軍空技廠 誉二一型 空冷星型複列18気筒×1基
(離昇2,000馬力)
最高速度610km/h(高度6,000m)
実用上昇限度12,760m
航続距離
(正規/過荷)
1,715km/2,392km
武装九九式二号20mm機銃四型×4挺
(翼内・携行弾数内側各200発、外側各250発:計900発)
爆装60kg爆弾×2発、250kg爆弾×2発


バリエーション

  • 仮称一号局地戦闘機改/紫電二一型(N1K2-J):
    紫電改。
    胴体を誉に合わせて細く再設計し、主翼配置を低翼式に変更した改修型。
    51号機以降は機銃取り付け角度を3度上向きに変更しているほか、後期生産型では垂直尾翼面積を縮小している。

  • 紫電二一型甲(N1K2-Ja):
    紫電改甲。
    二一型の爆装を60kg爆弾4発または250kg爆弾2発に強化した戦闘爆撃機型。
    垂直安定板前縁を削り面積を13%減積、過大な安定性が改善された。
    生産機101〜200号機が該当。

  • 紫電二一練習戦闘機型(N1K2-K):
    二一型を複座練習機としたもの。
    少数生産。

  • 紫電三一型(N1K3-J):
    試製紫電改一。
    機首に三式13mm機銃×2挺を追加した武装強化型。
    武装強化による重心移動に伴い、発動機架が二一型甲と比べて前方に150mm延長されている。
    爆弾投下器は手動式から電気投下式に変更された。
    生産201号機以降に該当するものの、試作2機のみ。

  • 紫電四一型(N1K3-A):
    試製紫電改二。
    三一型に着艦フックなどを追加し、尾部を強化した艦上戦闘機型。試作2機のみ。
    試作機が航空母艦信濃」での着艦試験を実施、成功した。

  • 紫電三二型(N1K4-J):
    試製紫電改三。
    三一型の発動機を低圧燃料噴射装置付きの誉二三型(NK9H-S)に変更した型。
    試作2機(鳴尾517、520号機)のみ。

  • 紫電四二型(N1K4-A):
    試製紫電改四。
    三二型に着艦フックなどを追加した艦上戦闘機型。試作機のみ製作されたとされる。

  • 紫電五三型(N1K5-J):
    試製紫電改五。
    発動機を烈風に搭載されたハ43-11(離昇2,200馬力)に変更した型。
    機首の三式13mm機銃が廃され、形状が変わっている。
    完成直前に工場被爆により試作のみ。

  • 仮称紫電改性能向上型:
    発動機を二段三速過給器付きの誉四四型に換装した航空性能向上型。計画のみ。

  • 紫電改鋼製型:
    紫電改を製化した型。計画のみ。
    重量増大のため、翼端を延長する予定だった。


*1 これは紫電のものと同じだった。
*2 戦後になってから紫電がGeorge11、紫電改がGeorge21と区別された。

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