【AA-8】 †
旧ソ連のモルニヤ?社が開発した、第3世代短射程空対空ミサイル。
NATOコードは、AA-8「エイフィッド(Aphid)」、ロシア軍ではR-60と呼ばれている。
AA-8は前作AA-2「アトール」短射程空対空ミサイルの後継として1960年代後期から開発されたもので、ベトナム戦争や第3次中東戦争等での教訓から近接格闘戦を強化する設計で製作された。
近接格闘戦用のため長い翼弦の三角翼・固定式前翼・可動式制御翼(全て4枚)・ローレロンを追加し機動性(最大8Gで運動中の目標と交戦可能)と安定性を向上させた。
また、弾頭には通常の高性能炸薬(破片型)に加え、最大限の破壊力を得るために劣化ウランを混入している。
誘導方式は赤外線誘導で、初期型は目標後方からの攻撃に限定されるが、後期型は電子光学式信管を装着しておりオールアスペクト発射能力を持っている。
さらにAA-11「アーチャー」の技術を応用しヘルメット・マウンテッド・サイト使用能力を追加、これにより照準軸から大きく外れた目標とも交戦(オフボアサイト能力)出来るようになった。
量産は1973年から始まり、はじめはソ連空軍とソ連海軍用に優先して配備され、その後はアゼルバイジャン・アフガニスタン・アルジェリア・アンゴラ・イラク・ウクライナ・カザフスタン・北朝鮮・キューバ・クロアチア・グルジア・シリア・スーダン・スロバキア・旧ユーゴスラビア(セルビア)・チェコ・中国・旧東ドイツ・ハンガリー・ブルガリア・ベトナム・ベラルーシ・ポーランド・マレーシア・リビア・ルーマニア等に輸出された。
2017年現在生産は行われていないが、未だ多数が現役でありいくつかのアップグレードも提供されている。
ルーマニアとウクライナは独自の改良型を製作しており、ルーマニアのものはA-95と呼ばれている。
Photo:IAF(India air force)
主な搭載機 †
- MiG-21「フィッシュベット」(後期型(SM/MF/MT/SMT/ST/bis/-93/Bison/LanceR))
- MiG-23M/MLD「フロッガー」
- MiG-25PD/PDS「フォックスバット」
- MiG-27「フロッガー」
- MiG-29「フルクラム」
- MiG-31「フォックスハウンド」
- Su-15TM「フラゴン」
- Su-17M3*1/M4「フィッター」*2
- Su-24「フェンサー」
- Su-25「フローグフット」
- Su-27「フランカー」シリーズ
- Yak-38「フォージャー」
- Mi-24V「ハインド」
- SOKO J-22「オラオ」
- L-39ZA「アルバトロス」
- IAR99「ショイム」
- BAe ホーク(フィンランド空軍機)
カタログスペック †
製造社 | モルニヤ社(現ヴィンペル科学製造連合) |
全長 | 2.096m |
直径 | 12cm |
翼幅 | 39cm |
発射重量 | 43.5kg |
射程 | 0.25〜8.0km |
速度 | マッハ3.0 |
飛行高度 | 20,000m |
推進方式 | 固体燃料ロケットモーター |
弾頭 | 連続ロッド式・HE 破片効果(2.7kg*3) |
誘導方式 | 赤外線ホーミング |
誘導装置 | 「コマール(Комар:「蚊」)」赤外線シーカー |
主な種類 †
- R-60(エイフィドA):
初期生産型。
シーカーは非冷却式で、視野角は±12度。
- UZ-62/UZR-60:
訓練用模擬弾。
- UZ-62/UZR-60:
- R-60M(エイフィドB):
後期生産型。
シーカーを窒素冷却式に変更し、視野角を±20度に拡大している。
これにより限定的ながらも全方位交戦能力を獲得した。
また、最小射程距離も200mに短縮され、弾頭重量も3.5kgに増強されている。
- R-60MK:
M型の輸出型。
- R-60MU:
M型の訓練用模擬弾。
- R-60MK:
- A-95:
ルーマニア生産型。
- R-60ウクライナ生産型(形式は不明):
射程が10kmに伸びた型。
- R-60BM:
2017年にベラルーシのBSVTが公開したアップグレード型。
ミサイルの妨害抵抗を大幅に増加させる新しい2レンジシーカーを特徴とし、新しいデュアルモードエンジンやオートパイロットコントロールユニット、レーザー近接信管を備える。
防空ミサイルシステムからの発射も可能となっている。