Last-modified: 2016-09-30 (金) 19:18:36 (298d)

【ハリアー】(はりあー)

Hawker Siddeley Harrier.
イギリスのホーカーシドレー?社が開発したSTOVL*1攻撃機
世界で唯一成功したSTOVL機ともいわれる*2

冷戦時代のにらみ合いにおいて、敵に滑走路を破壊されても運用可能なVTOL機は各国空軍の悲願であった。
世界各国がVTOL機を試作しては失敗する中、本機の原型機「P.1127『ケストレル』」が1960年に初飛行した。

本機における最大の成功要因は、機体中央部に配置されたロールス・ロイス?ペガサス?ターボファンエンジンにあった。
このエンジンは4つの推力偏向ノズルを持ち、前方2つはバイパス流を、後方2つはコア流を噴射する。
VTOL時は下方に、STOL時は斜め後ろに、巡航時は後方に噴射される他、空戦機動時にもノズルを傾けて旋回性能を向上させるVIFFモードを持つ。
また、VTOLモードにおけるダウンウォッシュの影響を避けるため、主翼下反角が大きく面積が小さいことも特徴である。

本機に代わるSTOVL機が長らく登場しなかったため、改良が繰り返され、シーハリアーやハリアーIIなどの発展型が運用され続けている。

アメリカではマクダネル・ダグラスライセンス生産する形で採用されたが、後に発展改良したAV-8B「ハリアーII」を開発した。
この改良型は、機体の素材にカーボン材を使用することで大幅な軽量化に成功し、それまでの大きな欠点であった航続距離ペイロードの大幅な改善に成功した。
このAV-8BにさらにFLIRを搭載し、夜間攻撃能力を付与されたAV-8B(NA)「ナイトアタック」型や、レーダーにF/A-18などと同じAN/APG-65を搭載して高度な目視外射程戦闘能力を持ったAV-8B「ハリアーIIplus」なども生産されている。

harrier.jpg

Harrier GR.7
Photo: RAF

スペックデータ

乗員1名
全長14.12m
全高3.55m
翼幅9.25m
主翼面積22.61
空虚重量6,745kg
運用時重量10,410kg
最大兵装搭載量2,380kg
最大離陸重量14,000kg(STOL時)
9,415kg(VTOL時)
エンジンロールス・ロイス ペガサス105ターボファン推力96.75kN)×1基
P&W F402-RR-401ターボファン(推力99.62kN)×1基(AV-8)
最高速度マッハ0.89
航続距離1,200nm/1,800nm(フェリー飛行時)
上昇率4,485m/min
固定武装GAU-12U「イコライザー」25mm機関砲ポッド×2門(携行弾数300発)
ADEN 30mm機関砲パック×2門(GR.1)
兵装搭載量7箇所のハードポイントに最大5,986kgまでの兵装を搭載可能
兵装
空対空ミサイルAIM-9「サイドワインダー」AIM-120「AMRAAM」
空対地ミサイルAGM-65「マーベリック」
空対艦ミサイルAGM-84「ハープーン」
対レーダーミサイルALARM、AS-37「マーテル」
爆弾/ロケット弾通常爆弾、BL755クラスター爆弾ペイブウェイJDAM、Mk.77、マトラ・ロケット弾ポッド
偵察ポッドDJRP、スナイパーXR?、TIALD


派生型(カッコ内は生産機数)

空軍型

  • GR.1(78機*3):
    RAF向けの初期量産型。
    • GR.1A:
      GR.1の改修型。
      エンジンをペガサスMk.101からペガサスMk.102に換装。

  • T.2(12機):
    RAF向け機種転換用の複座練習機型。
    • T.2A:
      GR.1Aと同様にエンジンのアップグレードを行った複座練習機型。

  • GR.3(40機(新造)):
    GR.1の攻撃力を強化し、センサー機器の改善やエンジンをペガサスMk.103へのアップグレードを行った型。
    フォークランド紛争に投入されたのはこのタイプ。
    GR.1Aもこの仕様に改修された。

  • T.4(14機):
    T.2/2Aのエンジン換装型。
    一部はGR.3と同様の機首になっている。
    • T.4A:
      機首を通常型に戻した機体。
    • T.4N(3機):
      イギリス海軍向け。
      シーハリアー FRS.1のパイロット訓練用。
    • T.4(N)/4A(N):
      空軍からの貸与機の呼称。
    • T.60(4機):
      インド海軍向け。 シーハリアー FRS.51のパイロット訓練用。

  • GR.5(41機):
    AV-8Bの逆輸入型。
    アビオニクスが若干異なる。
    • GR.5A(21機):
      GR.7への繋ぎのため小改良されたモデル。

  • GR.7:
    AV-8B(NA)の逆輸入型。
    機関砲アビオニクスが異なり、レーザー誘導のAGM-65「マーベリック」ペイヴウェイを搭載できるよう改修されている。
    英海軍でのシーハリアー退役に伴って海軍・空軍の統合部隊で運用されるようになったが、2010年に退役した。
    • GR.7A:
      改良されたロールス・ロイス ペガサス Mk.107エンジンを装備した型。

  • T.8:
    T.4のアップグレード型。
    シーハリアー FA.2のパイロット訓練用。

  • GR.9:
    GR.7の電子機器の更新と兵装の強化を行ったモデル。
    GR.7と共に2010年にRAFから退役。
    • GR.9A:
      GR.7Aをアビオニクスと兵装を中心にアップグレードした型。

  • T.10:
    TAV-8Bを参考に設計された逆輸入型。
    GR.7と同等の戦闘能力を持つ。

  • T.12:
    練習型にGR.9と同様のアップデートを施した型。
    • T.12A: GR.7Aに相当する練習型。

  • T.52(1機):
    ホーカー・シドレー社のデモンストレーション用社有機。

海軍型

アメリカ海兵隊

  • AV-8A(102機):
    アメリカ海兵隊向けのGR.1A。
    マクダネル・ダグラスライセンス生産
    AIM-9「サイドワインダー」2発とADEN 30mm機関砲ポッド2基を装備し、ペガサスMk.102/Mk.103エンジンを搭載。

  • AV-8B「ハリアーII」:
    AV-8Aの大幅改良型。
    中止となったAV-16計画の技術を転用しており、ペイロードがほぼ2倍、その他の能力も大幅に強化され、後期型はFLIRを装備している。
    • AV-8B(NA):
      後期型。
      機首にFLIRを装備し夜間攻撃能力を得た。
      ナイトアタック型とも呼ばれる。

  • AV-8B「ハリアーIIplus」:
    アメリカ海兵隊向け。
    機首を改良し、AN/APG-65レーダーを搭載。
    AMRAAM運用能力を獲得している。

  • AV-8C:
    AV-8Aのレーダー警戒受信機チャフフレアなど、防御面を強化したタイプ。
    ハリアーIIが完成するまでの繋ぎとして製作された。

  • TAV-8A(8機):
    T.4のアメリカ海兵隊向け複座練習型。社内呼称ハリアーMk.54。

  • TAV-8B:
    AV-8Bのアメリカ海兵隊向け複座練習型。
    戦闘能力は持たない。

  • AV-8S「マタドール」(11機):
    スペイン海軍向けAV-8A。社内呼称ハリアーMk.55。
    その後タイ海軍に譲渡されたが、現在は交換部品の在庫不足などによりモスボール中。

  • TAV-8S「マタドール」(2機):
    スペイン海軍向けTAV-8A。社内呼称ハリアーMk.58。
    その後タイ海軍に譲渡されたが、現在は交換部品の在庫不足などによりモスボール中。

  • EAV-8B「マタドールIIVA.2/VA.3」:
    スペイン海軍向けのAV-8B(後にplus仕様に改修)及びAV-8B plus。


*1 ただし、フル装備では重量過多でVTOLでの離陸は出来ず、VTOLは燃費も悪いため滑走路が使える状況では殆ど滑走して離陸する。
*2 V-22F-35など、新しい実用VTOL機も登場してきているが、成功した実績を持つのは現状でハリアーが唯一。
*3 先行量産型除く。

添付ファイル: fileharrier.jpg 1805件 [詳細]

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