【自衛官】(じえいかん)

防衛省職員のうち、自衛隊の隊務に従事する特別職国家公務員。またはその官名。
具体的には自衛隊員のうち、「制服組」と呼ばれる隊員を指す。

採用区分により、大きく以下の通り分けられている。

階級

現在の自衛官の階級区分を以下に記す。
なお、参考までに旧軍における階級との概ねの対比*4を付記する。

区分NATO階級コード
(参考)
呼称陸上自衛隊海上自衛隊航空自衛隊旧帝国陸軍旧帝国海軍*5
国内国外
幹部将官クラスOF-9将(甲)*6陸将(甲)海将(甲)空将(甲)大将大将
OF-8OF-8*7将(乙)陸将(乙)海将(乙)空将(乙)中将中将
OF-7*8少将少将
OF-7OF-6*9将補陸将補海将補空将補(該当なし)
佐官クラスOF-5一佐一等陸佐一等海佐一等空佐大佐大佐
OF-4二佐二等陸佐二等海佐二等空佐中佐中佐
OF-3三佐三等陸佐三等海佐三等空佐少佐少佐
尉官クラスOF-2一尉一等陸尉一等海尉一等空尉大尉大尉
OF-1二尉二等陸尉二等海尉二等空尉中尉中尉
三尉三等陸尉三等海尉三等空尉少尉少尉
曹士曹クラスOR-9准尉*10准陸尉准海尉准空尉准尉兵曹長
OR-8曹長陸曹長海曹長空曹長(該当なし)
OR-7一曹一等陸曹一等海曹一等空曹曹長上等兵曹
OR-6二曹二等陸曹二等海曹二等空曹軍曹一等兵曹
OR-5三曹三等陸曹三等海曹三等空曹伍長二等兵曹
OR-4(該当なし)兵長水兵長
士クラスOR-3士長陸士長海士長空士長上等兵上等水兵
OR-2一士一等陸士一等海士一等空士一等兵一等水兵
OR-1二士二等陸士二等海士二等空士二等兵二等水兵
OR-D自衛官候補生(該当なし)


この他、かつては二士の下に「三士(三等陸海空士)」という階級があり、自衛隊生徒の初任階級として運用されていたが、海自・空自における「生徒」制度の廃止と陸自での「高等工科学校生徒課程」への改編にともなって空位となり、2010年10月31日限りで廃止された。

近年、PKFなどで他国の軍隊と共同で行動する場面が増えていることや幹部自衛官の平均年齢が高くなっていることなどから、上記の階級に加えて「准将」「代将」や「上級曹長」などの導入も必要と考えられているが、現時点では、これに関する具体的な動きは見られない。

幹部自衛官における問題

近年、公務員の中で幹部自衛官が異様な低学歴であることが問題となっている。
しかもそれはアメリカ軍や韓国軍にも劣るレベルだという。

原因は第一に諸外国の軍隊に比べ知性を軽視している事。第二に専門知識や学問に対する軽視*11である。
結果、平和安全法制以後、アメリカ軍などの共同作戦や演習の中で深刻な問題になっているという。
それは高等教育で学ぶ抽象的思考が欠如し、近年のアメリカ軍の作戦コンセプトが抽象的思考を重視する傾向が一層強まっている中、共同作戦や演習のための意思疎通ができなくなり、実際に日米共同の現場で多くの幹部自衛官が限界を感じているという。

第二に根性論の重視。根性論とパワハラ全開の組織運用は人格否定と非効率という歪さに繋がっている。
以上の事から、アメリカ軍を倣って幹部自衛官にも学位を取らせるべきであるし、他省庁と同様に留学させるべきとしている。
自衛隊幹部だけが公務員の中で教育の機会を与えられず、中学校レベルの根性論とパワハラの中で勤務させられるのでは差別的待遇でしかないという。


*1 海上自衛隊では「幹部」と並んで公式にも「士官」の語が用いられている。
*2 旧軍でも、軍医は中尉以上であり、若い軍医中尉はグンチュウと呼ばれた。
*3 この意味で、アメリカ軍及びその同盟国軍の「ROTC」とは性格が異なる。
*4 一般に、制服自衛官の地位は旧軍の軍人に比べ、二階級低いと云われている。
*5 1942年3月以降の最終状態。
*6 統合幕僚長及び陸上・海上・航空の各幕僚長職にある者が任じられる。
*7 陸上総隊司令官、方面総監、自衛艦隊司令官、地方総監(海上保安庁の管区本部よりも格上という兼ね合いから例外的に舞鶴、大湊を含む。)、航空総隊司令官などの職にある者が対外的にOF-8に対応。
*8 師団長、護衛艦隊司令官、航空集団司令官、潜水艦隊司令官、航空方面隊司令官などの職にある者が対外的にOF-7に対応。
*9 旅団長、群司令、航空団司令などの職にある者が適用。
*10 他国の同名階級とは異なり、NATOの統一階級コードでは「OR-9」、アメリカ軍では「(最先任)上級曹長」におおむね相当する。
  なお、現在の自衛隊に「准士官」制度はない。

*11 [http:///www.president.jp/articles/-/26144 自衛隊幹部が異様な低学歴集団である理由]

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