Last-modified: 2021-10-10 (日) 09:20:25 (9d)

【E-6】(いーろく)

Boeing E-6 "Mercury(マーキュリー)*1".

アメリカ海軍*2が、潜水艦と地上との通信中継に用いるため、B707旅客機をベースに改造した機体(TACAMO*3機)。

海中に潜む潜水艦と地上との通信は、水上の船舶のように短波や超短波を用いては海中での減衰が激しく、実用的な信号を送れないため、波長が長く減衰の少ない超長波(VLF)が用いられる。
しかし、超長波の通信施設を陸上に設置するとどうしても施設が大きくなり*4、攻撃に対して非常に脆弱である。
そこで、通信施設一式を航空機に搭載することが考えられた。

アメリカ海軍は、1960年代からこの任務に、C-130輸送機を改造した「EC-130G/Q」を用いてきたが、同機が老朽化したため、その代替として1980年代に本機が生産された*5
本機は、新品*6のB707-320をベースに通信機材の搭載、胴体上部へのフライングブーム空中給油受油用リセプタクルの付加、F108ターボファンへの換装により、推力強化と燃費向上が行われた。
また、急旋回に対応するため、一部胴体の強度が強化された。
機体上部にはMILSTAR用のEHF衛星通信アンテナ、翼端のフェアリングにはESM・HFアンテナが装備されている。

通信機材として、VLF通信用の1,220mと7,925mのアンテナ線(重しを兼ねる吹き流し付き)を搭載しており、これを機体後部から展開させて定点を旋回飛行しながら通信を行う。

スペックデータ(E-6B)

乗員22名
全長46.61m
全高12.93m
翼幅45.16m
翼面積26.33
空虚重量78,378kg
最大離陸重量155,129kg
エンジンCFMインターナショナル F108-CF-100(CFM56-2A-2)?ターボファン×4基
推力110kN(24,000lbf))
最高速度980km/h
巡航速度843km/h(高度12,192m)
航続距離12,200km
戦闘行動半径11,760km
滞空時間10時間30分(給油なし)
28時間54分(給油1回)
最大72時間(複数回給油)
上昇限度12,000m
推力重量比0.281
アビオニクスAN/ARC-182 VHF/UHF無線機
AN/ARC-190 HF無線機
AN/AIC-32クルーインターコム
triplex Litton LTN-90
LTN-211 VLF/Omega
Smiths SFM 02 デジタル/アナログ フライトマネージメントシステム
AN/APS-133気象レーダー


派生型

  • E-6A:
    初期型。

  • E-6B:
    EC-135「ルッキング・クラス」の退役に伴い、戦時におけるアメリカ戦略軍空中指揮機(コマンドポスト)の任務が付与された型。
    通信機材の更なる増強などが行われている。
    2003年までに全機がB型に改装された。


*1 以前の愛称は「ハーミーズ」だったが搭乗員から不評だったため、1991年に現在の愛称に変更された。
*2 現在は海兵隊及び空軍との統合任務部隊で運用されている。
*3 Take Charge And Move Out.
*4 波長がきわめて長いため、アンテナだけでも巨大な施設を必要とする。
*5 本機やE-3などを生産するため、B707の生産ラインは1982年に民間型の生産が終了した後も1991年まで稼働を続けていた。
*6 この他、元TAPポルトガルの中古機である「TC-18E」なども用いられた。

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