【トップガン】 †
概要 | |
創設 | 1969年 |
所属国 | アメリカ合衆国 |
部隊編制単位 | 学校 |
兵種、任務、特性 | アドバーサリー |
上級部隊 | NSAWC(海軍打撃・航空作戦センター) |
所在地 | ファロン航空基地(ネバダ州) |
Naval Fighter Weapons School: NFWS (海軍戦闘機兵器学校)
アメリカ海軍航空隊のアドバーサリー飛行隊。「トップガン」の敬称で呼ばれる事が多い。
一般には映画「トップガン(1986)」「トップガン マーベリック(2021)」の題材になった事で有名。
というより、映画の知名度によってのみ有名になっている。
言葉としては有名だが、NFWSの部隊としての実態は知名度が低い。
現代で「トップガン」と言えば、それは単に精鋭のパイロットを指す慣用表現である事が多い。
主任務は海軍航空隊における空中戦技術の維持・向上。
海軍航空隊の戦闘機エビエーターから、特に技量に優れた人材(海軍の全エビエーター中1%程度)を招集し、高度な空中戦技術の訓練を行う。
そしてこの訓練を終えた卒業生(これも「トップガン」と呼ばれる)は原隊に戻るか機種転換訓練に移行し、同僚に対して技術の教導を行う。
発足当初はカリフォルニア州サンディエゴにあるミラマー海軍航空基地に所在。後にネバダ州ファロン海軍航空基地に移転。
1996年に海軍打撃作戦センター(NSWC)傘下に移籍し、同センター傘下の海軍攻撃・航空作戦センター(NSAWC: Naval Strike and Air Warfare Center)の一部門として活動を続けている。
関連:ランダル・H・カニンガム ベストガイ アグレッサー 飛行教導群
設立の経緯 †
朝鮮戦争当時、アメリカ軍戦闘機のキルレシオは12:1であった。
しかしこれが、ベトナム戦争の初期には3:1にまで悪化した。
原因は大きく分けて二つある。
一つは、第二次世界大戦を経験した精鋭パイロットが世代交代して現役を退いた事。
もう一つは、ミサイル万能論を信じてドッグファイトを軽視する戦術思想を採用した事である。
機材に至っては機関砲を装備しないミサイリアーであったため、MiG-17やMiG-21といった旧世代機の機関砲で撃墜される有様だった。
この調査結果を受け、失われた空中戦技術の再習得を目的として設立されたのがトップガンである。
事実、教導修了者が各自の原隊に復帰した後、ベトナム戦争末期にはキルレシオが再び12:1まで回復している。
使用機 †
- F/A-18A/B
- F-16A/B/N
当初はアドバーサリー専用機としてN型(F-16C/DのBlock 30前期型に相当)を導入。
しかし主翼に欠陥が見つかったため1995年に使用停止、廃棄された(この欠陥は空軍の基準では許容されていたが、海軍の基準では問題とされた)。
その後、パキスタン向けに製造されたが輸出がキャンセルされたA/B型を導入して用いている。 - F-5E/F/N/T-38
当初はMiG-21の飛行特性をシミュレートするアドバーサリーとして導入。
近年はスイス空軍から退役したE型(スイスでライセンス生産されたもの)を購入・レストアしてF-5Nとして用いている。 - F-14
F/A-18と共に主力として活躍したが、2003年に退役。 - A-4
MiG-17の飛行特性をシミュレートするアドバーサリーとして用いられていた。