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【誉】 †
中島飛行機が製作し、旧陸海軍に納入した航空機用の空冷エンジン。
誉は海軍での名称で、陸軍名称はハ-45?。
主な搭載機は紫電、紫電改、疾風、烈風、銀河?、流星など。
零戦?や隼?等に搭載された栄?エンジンをベースに、2000馬力級のエンジンとして開発され、試作段階ではめざましい性能を発揮した。
同クラスのエンジンとしては極めて小型・軽量であり、日本で作れた事自体奇跡に近いエンジンであった。
その高性能から、軍はこぞって採用した。
だが、いざ量産態勢に入ると精巧な作りが災いし、当時生産現場の第一線を占めていた動員学徒などの臨時工の手に負えず粗製濫造されてしまい、また、粗悪なガソリンと相まって、所定の性能が全く発揮出来ず、搭載機の足を引っ張り続けた。
戦後、本エンジンを搭載した陸軍の四式戦闘機「疾風」が、アメリカ軍の手で最大689km/hを記録し、その潜在的な高性能が証明された。
だが、それはアメリカ軍の高い整備技術と良質なガソリンを使用することで達成できた記録であり、日本でその性能を発揮出来ないのでは何ら意味は無かった。
結果として、本エンジンは1940年代の日本の工業技術力の限界を証明することになってしまった。
搭載機 †
バリエーション †
- 海軍型
- 誉11型:初期生産型。疾風(初期生産型)に搭載。
- 誉12型:11型の過給機の減速比を変更し性能向上を図った型。銀河と流星に搭載。
- 誉21型:回転数・ブースト圧を上げて出力を向上させた最多量産型。紫電、紫電改、彩雲、疾風といった実用機に搭載された。
- 誉22型:21型のプロペラ減速比を変更し、強制冷却ファンを装備した型。彩雲などに搭載された。
- 誉23型:21型に中島式低圧燃料噴射方式を採用した型。紫電三二型に搭載試験中に終戦を迎えた。
- 誉24型:22型に低圧燃料噴射装置を搭載した型。
- 誉24型ル:24型に排気タービン過給機を追加した型。試製彩雲改に搭載。
- 誉25型:クランクシャフトの形状を改善した型。試験中に終戦を迎える。
- 誉26型:プロペラ減速機構にVDM方式を採用した型。試作のみ。
- 誉31型:出力向上(離昇2,200hp)を狙い、21型に強制冷却ファンを追加し、さらに高回転・高ブースト化した型。計画段階で中止された。
- 誉41型:過給機を2段3速に変更し、強制冷却ファンとインタークーラーを設けた型。試作のみ。
- 誉42型:41型の出力向上型。離昇出力2,200hp。試作のみ。
- 誉44型:41型と同じく2段3速の過給機を備えるが、インタークーラーを省き出力を控えめにした型。離昇出力1,810hp。試験中に終戦を迎える。
- 誉52型:排気タービン過給機、燃料直接噴射装置、強制冷却ファンを装備した型。
- 誉61型:推進式の機体向けに延長軸と強制冷却ファンを装備した型。
- 陸軍型
- ハ-145:2段3速過給機を備えた40番台に相当する陸軍仕様の型。二式単座戦闘機「鍾馗」三型に搭載され試験が行われていた。
- ハ-245:高高度性能の向上を図ったとされる陸軍向けの型。
性能諸元 †
- 誉11型
タイプ 空冷星形複列18気筒(9気筒2列) 全長 1,690mm 直径 1,180mm 乾燥重量 830kg ボア×ストローク 130mm×150mm 排気量 35,800cc 圧縮比 7.0 バルブ挟み角 75度 過給機 水エタノール噴射装置付き遠心式スーパーチャージャー1段2速 離昇出力 1,800HP/2,900rpm/+400mmHgブースト 公称出力 一速全開:1,650HP/2,000m/2,900rpm/+250mmHgブースト
二速全開:1,460HP/5,700m/2,900rpm/+250mmHgブースト
- 誉21型
離昇出力 2,000HP/3,000rpm/+500mmHgブースト 公称出力 一速全開:1,860HP/1,750m/3,000rpm/+350mmHgブースト
二速全開:1,620HP/6,100m/3,000rpm/+350mmHgブースト
- 誉22型
最大出力 1,990馬力