【固体燃料ロケット】(こたいねんりょうろけっと)

ロケットエンジンのうち、推進剤が可燃性の固体であるもの。
推進剤に点火し、その燃焼ガスを圧縮・放出する事で推進力を得る。

合成ゴムなどの酸化剤と過塩素酸アンモニウムなどの燃料を混ぜたものを推進剤とするのが一般的。
モデルロケットのような小型のものでは黒色火薬を用いる場合もある。
最近では燃料のみが固体で、液体の酸化剤をポンプで送り込む新型の固体燃料ロケットの研究が進められている。

推進剤が固体であるため、タンクやターボポンプなどの複雑な部品を必要せず、安価に製造できる。
液体燃料ロケットよりも比推力が低く、ペイロードに比して多くの燃料を必要とする。
また、ロケット内部が燃焼による高温高圧にさらされるため、あまり大出力のロケットには適さない。

その構造上、いったん燃料に点火されると燃え尽きるまで推力を調整できない*1
飛行中の速度制御が必要な場合、事前に燃料の配置を整える事によって火力を調整する。
この事は飛行中のアクシデントからの生還を極めて困難にしており、有人飛行には著しく不適格である。

主な用途はロケット弾ミサイルなどロケットエンジンを使い捨てる機器である。
また、宇宙ロケット打ち上げ用の補助動力として固体燃料ロケットブースター(SRB:Solid Rocket Booster)を使う事も多い。

日本の宇宙開発組織「JAXA(宇宙航空研究開発機構)」が運用していた学術調査用ロケット「ミュー5型(M-V)」でも用いられている。
これは世界でほぼ唯一の「固体燃料エンジンのみで月面に到達可能なロケット」であったが、2006年に運用を終了*2している。

関連:巡航ミサイル 対艦ミサイル ミューロケット イプシロンロケット


*1 消火装置や圧力開放弁などを取り付ける事は可能だが、運用上あまり現実的ではない。
*2 その後、同機の後継となるイプシロンロケットの開発が進められ、2013年9月に第1号機が打ち上げに成功した。

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