【スーパーキャリアー】(すーぱーきゃりあー)

Supercarrier
満載排水量が75,000トン以上の航空母艦を示す俗語。
現在の所アメリカ以外にスーパーキャリアーを持つ国はなく、アメリカの軍事的象徴といえる*1
実際、この表現自体がアメリカの国威を誇示する自画自賛的なニュアンスを含んでおり*2、親米国以外では一般的な概念ではない。

その性質上、「75,000トン」の定義も定かでない。
アメリカは度量衡について国際標準を無視して伝統的なヤード・ポンド法を用いる傾向があり、「トン」についても国内表記が国際標準と一致しない。
ヤード・ポンド法を基準において「1トン」という場合、概算しやすいよう「1トン=2,000ポンド(=907.18kg)」という前提で計算される事が多い。
従って、「75,000トン」が国際標準のメートル法での「7500万kg」のことなのか、アメリカ式ヤード・ポンド法での「1億5000万ポンド(=6803万8500kg)」なのかは不明である。

戦略的には、戦略爆撃機を含む大型艦上攻撃機を運用する事を設計意図とする。
実態としてはA-5F-14が運用可能な艦種を指してスーパーキャリアーと呼ぶ事が多い。

「スーパーキャリアー」という表現の初出は1948年。
核攻撃用として計画された「ユナイテッド・ステーツ」が、当時最大級の大型空母よりも巨大であった事に由来する。
ユナイテッド・ステーツの建造は中止されたが、その約10年後に竣工したフォレスタル級が史上最初のスーパーキャリアーとなった*3

関連:フォレスタル キティホーク エンタープライズ ニミッツ(航空母艦) 信濃


*1 かつては、ソ連海軍も大型のウリヤノフスク?航空巡洋艦を計画していたが、ソ連崩壊と共に中断。
  ロシア連邦海軍は、現在に至るまでスーパーキャリアーを配備できていない。

*2 「超大国(Super Power)の空母(Carrier)」を意図した表現とも受け取れる。
  当初のスーパーキャリアーが核兵器の運用を想定した「最終兵器」である事もこの事についての傍証であろう。

*3 異説として、旧日本海軍の「信濃」をはじめとする、というものもあるが、この説には疑問が持たれている。詳しくは項を参照。

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