Last-modified: 2022-10-14 (金) 09:29:27 (53d)

【Ju87】(じぇいゆーはちなな)

Junkers Ju 87.

1930年代にユンカースが開発し、ドイツ空軍で運用された急降下爆撃機
急降下爆撃機の代名詞的な存在で、「シュトゥーカ(Stuka)」の通称で知られる。

ドイツ語の「急降下(Sturz)爆撃(Kampf)(Flugzeug)」を略して"Stuka"。本来はその種の機体全般の呼称ながら、最も活躍した本機のイメージが強い。

試作初号機V1の初飛行は1936年。直後にA型が少数ながらスペイン内戦に参加、反復爆撃*1によって活躍した*2
第二次世界大戦初期のドイツ軍電撃戦では、本機の精密な対地支援がドイツ軍全体の戦略判断に多大な影響を与えるほどの戦果を挙げ、戦局に寄与した*3
主として西部戦線・東部戦線・アフリカ戦線に投入され、特に東部戦線においては敵対するソ連軍の陸軍規模もあり、絶大な対地攻撃能力を発揮した。

反面、鈍重・低速かつ航続距離も短く、敵戦闘機に捕捉されると為す術がなかった。
この弱点が最初に痛手となったのは西部戦線のバトル・オブ・ブリテンで、イギリス軍が温存していた高性能な迎撃戦闘機によって壊滅的被害を受けた。
同様に東部戦線・アフリカ戦線においても、連合軍側が体制を立て直し、次世代戦闘機を投入した時点でJu 87の戦略的価値は喪われた。
ルフトバッフェは改良・転用などして機体延命を図ったものの、確たる成果を上げる事はなく、そのまま陳腐化していった。
事実上の後継機種としてFw190F/G戦闘爆撃機が存在する。

関連:ユンカース ジェリコのトランペット ハンス・ウルリッヒ・ルーデル

スペックデータ

Ju 87 B-1
乗員2名
全長11.10m
全高4.01m
翼幅13.805m
主翼面積31.900
翼型Göttingen 256
空虚重量2,712kg
空装備重量2,760kg
最大離陸重量4,336kg
発動機ユンカース Jumo 211 Da 液冷V型12気筒×1基
出力離陸:1,200PS(890kW)
高度1,500m:1,100PS(820kW)
プロペラユンカース 3枚翅定速プロペラ
最高速度339.6km/h(海面上)
383km/h(高度4,087m)
巡航速度209km/h(高度4,572m)
航続距離595.5km(500kg爆弾搭載時)
789km(爆弾無し)
実用上昇限度8,100m
上昇率2.3m/s
高度到達時間1,000mまで2分
2,000mまで4分18秒
3,176mまで12分
武装MG 17 7.92mm機銃×2挺(翼内)
MG 15 7.92mm機銃×1挺(後方旋回)
爆装最大500kgまでの爆弾を搭載可能
(250kg爆弾×1発(胴体下)、50kg爆弾×4発(主翼下))


Ju 87 D-1
乗員2名
全長11.50m
全高3.90m
全幅13.80m
主翼面積31.90
空虚重量2,810kg
最大離陸重量5,720kg
発動機ユンカースJumo 211 J-1 液冷V型12気筒×1基
出力離昇1,410PS
速度
(最高/巡航)
410km/h(高度3,800m)/ 300km/h程度
実用上昇限度7,300m
航続距離1,500km
武装MG 17 7.92mm機銃×2挺(翼内)、MG 81 Z 7.92mm連装*4機銃×1基(後方旋回)
爆装最大1,800kgまでの爆弾を搭載可能
(500kg/1,000kg爆弾×1発(胴体下)、50kg爆弾×4発(主翼下))


主な派生型

  • Ju 87 V:
    試作機、及び各型式の原型機。製造順にV1〜V47の番号が付与された。

  • Ju 87 A:
    生産前機。スペイン内戦に参加した。
    エンジンはユンカースJumo210を搭載し、500kg爆弾×1発の爆装能力を各種機器と後部銃手を除いた時に発揮した。
    しかし、スペイン内戦では最大爆装量250kg爆弾×1発に制限された。

    • Ju 87 A-0:
      最初期生産型。
      全金属製の機体で、密閉式コックピット、Jumo210C(離昇640PS)を搭載。
      生産性を向上させるために主翼先端が直線化され、補助翼の形状が前後がなだらかな形に修正された。

    • Ju 87 A-1:
      初期生産型。
      A-0のエンジンをJumo210D (離昇680PS)に、より大きな直径3.3mのプロペラへ換装した。
      また、翼内にMG 17 7.92mm機銃×2挺、後方旋回機銃としてをMG 15 7.92mm機銃を搭載。

    • Ju 87 A-2:
      A-1のエンジンをJumo210E (離昇680PS)に換装。

  • Ju 87 B:
    最初の本格的な量産型でエンジンはJumo211系統に更新された。
    スペイン内戦における短期間の実戦でその実力を証明、大量生産が決定された。
    第二次世界大戦初期のドイツ軍攻勢では、連合国陸上戦力に大きな打撃を与えた。

    • Ju 87 B-0:
      A型の機体を流用した型。後に少数が海軍向けのC型またはE型に改造された。

    • Ju 87 B-1:
      風防形状や主脚形状、尾翼等を再設計した型。エンジンはJumo211D(離昇1,200PS)。
      また、翼下に50kg爆弾を2発ずつ計4発が搭載可能となった。
      「ジェリコのラッパ」と呼ばれるプロペラの風切り音を利用した威嚇用吹鳴機(サイレン)を装備する機も多数存在した*5

    • Ju 87 B-2:
      B-1と同等だが、着陸装置にスキーを装備したタイプやJu87B-2/tropと呼ばれるエンジンに防塵フィルターを装備したタイプ(砂漠仕様)などが存在する。
      イタリア空軍でも運用された。

    • Ju 87 R-1:
      Ju87Bの長距離型。B-1を原型とする。
      主に対艦攻撃用で主翼内に240Lの燃料タンクを追加装備し、翼下に300Lの増槽を2個搭載可能。
      代わりに翼下搭載の爆弾は装備不可となった。
      燃料満載状態での最大爆装量は250kg爆弾×1発。

    • Ju 87 R-2:
      B-2を原型とする。
      R-1より航続距離が360km延長された代わりに重量が約700kgほど増加し、最高速度や実用上昇限度が低下した。

    • Ju 87 R-3:
      グライダーを牽引できるようにした型。
      牽引ロープを使用して乗組員とグライダーの乗員とが通信できるように、特殊な無線機が装備されていた。

    • Ju 87 R-4:
      R-2を元に、エンジンをJumo211J(離昇1420PS)へ換装した型。

  • Ju 87 C:
    Ju 87B-0を原型にした、ドイツ海軍の航空母艦「グラーフ・ツェッペリン」艦載機用として計画されていた艦上機型(急降下爆撃機雷撃機)。
    投棄可能な降着装置や折り畳み機構を持つ主翼、着艦フック等を装備。

    • Ju 87 V10:
      固定翼の試作機。

    • Ju 87 V11(Ju 87 C-0):
      主翼の折り畳み機構を備えた試作機。量産は本機を原型として行われる予定だった。

  • Ju 87 D:
    Jumo 211系列エンジンを搭載、オイルクーラーやラジエーターの配置の見直し、コックピット周りの改良の上、防弾装備を強化した型。
    胴体下には従来の250kg、500kg爆弾に加えて1,000kg爆弾の積載も可能となった。

    • Ju 87 D-1:
      Jumo211J(離昇1,420PS)エンジンを搭載し、最大1,800kgまでの爆弾を搭載可能。
      翼内にMG 17 7.92mm機銃×2挺、後方旋回機銃としてMG 81 Z 7.92mm連装機関銃を装備した。

    • Ju 87 D-2:
      中古のD-1のフレームを流用し、機体構造を強化、グライダー曳航用フックを装備したグライダー牽引型。
      地上からの対空砲火から乗員を守るために重装甲が施されていたが、性能は極めて低下、空軍から生産の価値なしとされた。

    • Ju 87 D-3:
      D-1に対空砲火からの防御力向上のため装甲を増加装備した型。

    • Ju 87 D-4:
      D-3を原型とした雷撃装備試作機。
      PVC 1006 Bラックと750〜905kgの魚雷を搭載し、航空母艦「グラーフ・ツェッペリン」で運用される予定だった。

    • Ju 87 D-5:
      D-3の設計をもとに翼幅を0.6m拡大した型。
      翼内武装がMG 151/20 20mm機関砲×2門に換装された。

    • Ju 87 D-7:
      D-5をベースに作られた夜間攻撃機型。
      増加装甲、延長した主翼を標準装備する。

    • Ju 87 D-8:
      D-3型をベースとして製作された多用途型。

  • Ju 87 E:
    プランのみ。

  • Ju 87 F:
    プランのみ。

  • Ju 87 G:
    東部戦線に現れた大量のソビエト戦車部隊に対抗すべく開発された対戦車攻撃機のひとつ。
    翼内武装、翼下ダイブブレーキ及び爆装装備を廃止、対戦車武装としてFlak18 37mm機関砲と給弾装置を一体化したBordkanone BK 3.7ガンポッドを両翼下に1基ずつ装備した。
    「グスタフのタンクキラー」や「カノーネンフォーゲル(Kanonenvogel:大砲鳥)」と呼ばれ、活躍はしたものの、戦局には寄与しなかった。

    • Ju 87 G-1:
      翼幅の延長されていないD型前期を原型とする。

    • Ju 87 G-2:
      大多数が翼幅の延長されたD-5を原型とし、ごく少数はD-3を原型とする。

  • Ju 87 H:
    D型をベースとした複座練習機。


*1 出撃、爆撃、帰投のルーティン。
*2 この時、敵側はJu87が大量に投入されていると誤認した。
*3 これ以降敗戦に至るまで、ルフトバッフェは全ての攻撃機や類似する爆撃機急降下爆撃能力を求めるようになった。
*4 二挺の機銃が連結されている。
*5 装備した場合、速度性能は20〜25km/h犠牲となった。

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