Last-modified: 2022-10-20 (木) 15:20:16 (47d)

【4号戦車】(よんごうせんしゃ)

第二次世界大戦期のドイツ軍中戦車
3号戦車と同時に構想・開発されたもので、3号戦車が対戦車戦闘を主体とするならば、こちらは対歩兵戦闘を主体とする。

基本的な設計は3号戦車と同一で、砲塔の主砲以外は内部構造もほぼ同様である。外見も非常に似通っているが、比較した場合に車体が少しばかり大きく、履帯の転輪数が2個多い事で見分けが付く。

当初は短砲身で榴弾火力に優れる対軟目標向け、7.5 cm KwK 37を主砲としていたが、段階的に長砲身で対戦車徹甲弾の運用が可能な対戦車砲、7.5 cm KwK 40換装の車両生産に移った。
余裕ある設計のため主砲も3号戦車より強力なものに換装可能で、7.5 cm KwK 40の装甲貫徹力は連合国軍の戦車砲と同等であった。
しかし、装甲や生存性においては基礎設計の古さが災いし、明確に劣位だった。

当初から対戦車戦を意識した設計ではない上、時代的には戦間期の車両であるため第二次世界大戦勃発時点ではすでに旧式化していた。
しかし近代化改修に耐える設計的余裕があったため、長らくドイツ軍戦車部隊の主力であり続けた。
大戦後期には5号戦車6号戦車に引き継がれドイツ陸軍内でも旧式化したが、それらの生産数は伸び悩み、4号戦車は終戦まで戦い続けた。

スペックデータ

乗員5名(車長・射手・装填手・操縦手・通信手)
全長7.02m
車体長5.9m
全高2.67m
全幅2.7m
重量25t
懸架方式リーフスプリング方式(ボギー型)
エンジンマイバッハ HL120 TRM V型12気筒ガソリンエンジン(出力300馬力(224kW))
速度
(整地/不整地)
38km/h / 16km/h
行動距離210km(初期)
320km(中期以降)
主砲A〜F型:KwK37 L/24 24口径7.5cm砲×1基(砲弾70〜122発)
F2〜G型:KwK40 L/43 43口径7.5cm砲×1基(砲弾77発)
H〜J型:KwK43 L/48 48口径7.5cm砲×1基(砲弾77発)
副武装MG34? 7.92mm機関銃×2挺(銃弾3,150発)
装甲50mm(砲塔前面)
80mm(駐退機前面)
30mm(側面・後面)
16〜25mm(上面)
70mm(車体前面)
30mm(車体側面)
20mm(車体後面)
15mm(車体上面)


IMG_5335.jpg

4号戦車D型

各型式

  • A型:
    初期生産型。
    マイバッハHL108TRガソリンエンジン(230hp)、武装は榴弾運用に適した7.5cmKwK37を主砲とし、7.92mm機関銃×2挺、車体前面装甲14.4mm、砲塔前面装甲20mm、重量17.3t、最高速度30km/h。

  • B型:
    先行量産型。
    砲塔と車体形状を変更した他はA型と同一。

  • C型:
    B型の小改造型。
    車体前面装甲を30mmに強化、砲塔同軸機銃にスリーブを装着、エンジン換装(マイバッハHL120TRM)等。
    最高速度35km/h。

  • D型:
    砲塔防盾を変更し、前面に30mm、側面に20mmの増加装甲を追加した。
    また、車体構造が変更され、履帯幅が400mmに増加した。

  • E型:
    キューポラ砲塔形状を新設計とし、車体前面を50mmの一枚板装甲板に変更した。
    足回りの変更により最大速度が向上している(42km/h)。

  • F1型:
    支援戦車の最終モデル。
    車体を新型とし、総て一枚板の装甲板とした(前面50mm、側面30mm)。
    ボールマウント式機銃を装備している。

  • F2型:
    主砲を長砲身、対戦車戦闘向けの7.5cmKwK40に換装したタイプ。

  • G型:
    最初から7.5cmKwK40を搭載したタイプ。
    基本的にはF2型と同一だが、砲塔および装填手席の覗視穴を廃止、新型の砲口制退機を採用し、一部の車両に前面に30mmの増加装甲を追加している。

  • H型:
    主砲をそれまでの43口径から48口径に延長し貫徹力の向上した7.5cmKwK40に換装した主力型。
    前面装甲を一枚板の80mmに変更し、新型変速機を採用した。
    また、シェルツェンを装備。

  • J型:
    H型の簡易生産型で最終型。
    シェルツェンを一枚板から金網に変更している。
    また、砲塔旋回用エンジンを廃止し、弾薬搭載量が増加した。
    装甲は砲塔上面前部に20mm、後部に18mmの増加装甲を装備している。

    注:1942年8月以降、前線より修理に戻ってきた車両は、総てその時の最新型に合わせた改造を受けている。

派生型

  • 4号潜水戦車(Tauchpanzer 検法
    イギリス本土上陸作戦「ゼーレーヴェ(アシカ)」用に製作された潜水戦車。
    D型/E型をベースに防水シールを施し、エンジンに逆流防止弁が付いた吸排気用チューブを付けたもので、水面下15mの海底を5km/hで進むことが出来た。
    後にゼーレーヴェ作戦は中止となったが、ソ連への侵攻作戦であるバルバロッサでのブーク川渡河で実戦投入された。

  • 4号指揮戦車(Panzerbefehlswagen 検法
    中隊長以上向けの指揮戦車型。
    修理のため工場に戻された長砲身型に長距離用無線機やアンテナ、各種周辺機器を追加した。
    代わりに砲弾の搭載数が15発減らされている。

  • PzBefWg? 7.5cmKwK:
    増加無線装置を搭載した指揮戦車。
    主砲はそのまま搭載した。

  • 4号観測戦車(Panzerbeobachtungswagen 検PzBeobWg? 検法法
    砲兵支援用の観測戦車。3号観測戦車の後継。
    キューポラが突撃砲用の物に代わり、閉めたままのハッチ前端の小ハッチを開けて砲兵鏡(シザースペリスコープ)を突き出し、観測任務を行うことができた。
    無線機は3基搭載され、砲塔同軸機銃は撤去されている。

  • 4号突撃戦車 ブルムベア?(Sturmpanzer , Brummbär ,Sd.Kfz.166):
    4号戦車の車体に大型の戦闘室を設け、150mm榴弾砲を備えた自走砲型。
    歩兵部隊への直接火力支援を目的として作られた。

  • 4号突撃砲?(Sturmgeschütz , Sd.Kfz.167):
    4号戦車の車体に3号突撃砲の戦闘室を据え付けたもの。詳しくは項を参照。

  • 4号駆逐戦車?(Jagdpanzer , Sd.Kfz.162):
    48口径の75mm砲を搭載した駆逐戦車型。詳しくは項を参照。

    • 4号戦車 L70(V) ラング(Panzer /70(V), Sd.Kfz.162/1):
      4号駆逐戦車に70口径7.5cm砲を搭載したもの。

    • 4号戦車 L70(A)(Panzer /70(A), Sd.Kfz.162/1):
      J型の車台に4号戦車/70(V)の物に似た戦闘室を搭載した駆逐戦車。

  • ホルニッセ/ナースホルン(Hornisse / Nashorn, Sd.Kfz.164):
    3/4号戦車車台*1にPak 43/1 71口径88mm砲を据え付けた対戦車自走砲。

  • フンメル(Hummel, Sd.Kfz.165):
    3/4号自走砲車台にsFH18 L/30 150mm榴弾砲を据え付けた自走榴弾砲

  • メーベルワーゲン(Möbelwagen, Sd.Kfz.161/3):
    4号戦車をベースにFlak 4.3/1 37mm対空機関砲1門を搭載した対空戦車。
    後継の開発が遅れたため終戦まで主力対空戦車として活躍した。

  • ヴィルベルヴィント(Wirbelwind, Sd.Kfz.161/4):
    対空戦車型。
    専用の砲塔にFlakvierling38 20mm対空砲を装備。
    砲塔以外は4号戦車と共通である。

  • オストヴィント(Ostwind):
    対空戦車型。
    設計はヴィルベルヴィントに似ているが、より大火力のFlak4.3/1 37mm対空砲を搭載。

  • クーゲルブリッツ(Kugelblitz):
    機関砲を収容した部分だけが上下する特殊構造(揺動式)の砲塔に高初速、高火力のMK 103 30mm機関砲を搭載した対空戦車型。
    「Gerät556(556器材)」または「Flakpanzerwagen604/4(対空戦車604/4)」とも呼ばれた。
    少数生産に終わる。

  • 4号c型装甲自走砲架(Panzer Selbstfahrlafette c(Pz.Sfl.c)):
    マジノ線?攻略に備えて対地支援用に開発されていたもの。
    主砲に「クルップ 56口径8.8cm FlaK 18」を搭載する予定だった。

  • 8.8cm高射砲搭載試作対空戦車(Versuchsflakwagen(VFW)):
    主砲をより高初速、長射程の、「ラインメタル 74口径8.8cm FlaK 41」に変更した対空戦車型。
    試作3両のみ。

  • 4号戦車G型 8.8cm Flak36高射砲搭載自走砲(8.8cm Flak36 auf Pz.Kpfw. Ausf.G):
    4号戦車G型から砲塔を撤去して、車体上部中央を下げ、そこに88mm高射砲をそのまま載せた急造車両。
    少数生産。

  • 「カール」自走臼砲砲弾給弾車(Munitionsträger):
    D・E・F型の車台を利用した弾薬運搬車。
    砲塔を取り去り、4発の60cm砲弾又は54cm砲弾を運搬できる装備と大型クレーンを搭載。
    カール自走臼砲1両につき2両が割り当てられ、1両の予備車両があった。

  • 4号弾薬運搬車(Munitionsträger 検法
    D・F・G型の余剰車両から改造して製作された弾薬運搬車。
    砲塔を取り外してターレットリング部分を大型のハッチのついた装甲板で塞ぎ、戦闘室内に弾薬ラックを設置した。

  • 4号回収戦車(Bergepanzer 検法
    F・G型の車台を利用した戦車回収車。
    砲塔を取り外した車体に組み立て式のクレーンや各種回収機材を搭載した。

  • 4号架橋戦車(Brückenleger b / c):
    B型またはC型の車台を利用した架橋戦車。
    砲塔を外した車体に繰り出し式の展開装置と全長最大9m、最大通過重量28tの金属製橋梁を搭載している。
    少数が改装された。

  • 4号突撃橋戦車(Brückenleger s(Sturmstegpanzer 検法法
    C型をベースにして制作された架橋戦車の一種。架橋車輌というよりは「はしご車」というべきものである。
    4号架橋戦車と同じく砲塔を外した車体に歩兵用の伸縮式突撃橋を搭載した。
    突撃橋は最大伸長時には50mまで伸ばすことができた。

  • PzF:
    車台を舟型フロートで覆った装甲フェリーボート。
    試作のみ。

*1 3号戦車と4号戦車の部品を組み合わせたもの。

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