【トップアタック】(とっぷあたっく)

攻撃に際し、装甲化された目標の上面を狙って攻撃する事。

基本的には丘や建物などを占拠するか、航空機を使い、上から狙い撃つ。
これは後述する弱点を狙う意味もあるが、位置エネルギーを利用して破壊力を引き上げる効果もある。

対戦車ミサイル対艦ミサイルの中には高度を調節して自律的にトップアタックを行うものもある。
また、迫撃砲などの間接砲撃も、仮に直撃すればトップアタックだが、滅多に直撃しない。

関連:曳下射撃 エアバースト・グレネード

対戦車戦におけるトップアタック

高射砲は例外として、陸上兵器のほとんどは上から攻撃を受ける事をあまり想定しない。
奇襲にせよ近接航空支援にせよ、トップアタックを受けるような状況に陥った時点で生還は絶望的である。
そうした状況で耐えられるよう上面装甲を強化する事は理論上可能だが、現実的ではない。

輸送可能な重量に限界がある以上、どの面にどれだけの装甲を配するかはトレードオフの問題である。
上面に分厚い装甲を配置すると、その分だけ他の面の装甲が事実上弱体化する。
この事を踏まえた上で、ほとんどの戦闘車両は前面を最優先にし、他の面は比較的装甲が薄い。
実際に撃たれる前に敵を発見して角度を調節し、頑丈な前面装甲を盾にして身を守る運用が想定される。

従って上面は装甲が薄く、しかも車両の構造上、特に上面は投影面積が広い。
トップアタックへの対処は構造的に非常に困難であり、戦車の大きな弱点となっている。

艦隊戦におけるトップアタック

船が船として航行するための機械的機能は、全て喫水線より下に配置されるのが一般的である。
舟形の器に荷物を詰めているという船舶の構造上、上から降ってきた攻撃が船底まで到達する事は難しい。
したがって、トップアタックは単に船を沈没させるための手段としてはあまり適切でない。
船そのものを沈めようとするなら、魚雷機雷で船底を引き裂くのが望ましい。

ただし、戦闘のための設備を備えた戦闘艦艇については話が異なってくる。
戦闘力を支えるレーダー艦載砲ミサイル発射筒などは全て上面に露出しているからだ。
そうした複雑な上部構造物は装甲に間隙を作り、歪みやねじれに弱い接合部を増やす事にもなる。
砲塔とその弾薬庫、機関室に繋がる煙突、艦載機燃料などは特に危険である。

艦艇の上面はまさしくバイタルパートの塊であり、これを破壊するならトップアタックが望ましい。
一撃で撃沈する可能性は極めて低いが、上部構造物を奪う事で艦の戦力を確実に削いでいく事ができる。


トップ 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS