*&ruby(びーさんじゅうろく){【B-36】}; [#e16a90e0]
Consolidated Vultee B-36 "&ruby(ピースメイカー){Peacemaker};"((他にも「コンカラー (Conqueror)(征服者の意)」や「ビッグスティック(Big Stick)((直訳すれば"棍棒"の意味だが、特にアメリカ合衆国大統領セオドア・ルーズベルトの掲げた「棍棒外交」を指す。))」などとも呼ばれた。)).~
~
アメリカのコンソリデーテッド・ヴァルティ(コンベア)社が1940年代に開発し、[[アメリカ陸軍航空隊>USAAF]]→[[空軍>アメリカ空軍]]で使用していた[[六発>多発機]]の超大型[[爆撃機]]([[戦略爆撃機]])。~
それまで「超重爆撃機」と呼ばれていた[[B-29]]に替わる大型機で、6基の[[レシプロエンジン]]を後ろ向きに取り付けた([[プッシャー式]])独特の形状をしていた。~
>その後、改良型では[[ターボジェット]]4基を翼端に懸架方式で増設、「[[10発機>多発機]]」になっている。

本機は当初、アメリカ本土から大西洋を横断してヨーロッパを[[戦略爆撃]]できる機体として構想された((当時は米国の同盟国である英国がドイツに敗れてしまう可能性が存在し、そうなった際に既存の[[B-17]]や[[B-24]]ではヨーロッパ大陸への反攻が不可能となるからであった。))。~
開発そのものは「テン・テン・ボマー(Ten・Ten・Bomber:10,000ポンド(Ten thousand、4.5トン)の爆弾を搭載し、往復10,000マイル(Ten thousand、16,000km)を無着陸で飛べる爆撃機)」として[[第二次世界大戦]]中に始められていたが、開発中に対戦相手の[[枢軸国]]が[[降伏]]したため完成は急がれず、[[初飛行]]は1946年になった。~
量産機の部隊配備は1948年から始められた((並行してジェット爆撃機の[[B-47]]も実戦配備されている。))が、現場では機体の規模に対して不足した[[推力]]・[[速度>対地速度]]((これについては、B-47と同型の[[ターボジェット]]エンジンを追加で増設して「10発機」とすることで解決しようとしていた。&br;  しかし、それでも、[[水素爆弾]]の炸裂によって起きる爆風や衝撃波から逃げるには遅いといわれていた。))などから評判はあまり芳しくなかった。~
>この頃、空軍は[[海軍>アメリカ海軍]]と「[[核兵器]]の[[プラットフォーム]]には何が適任か」というテーマで論争をしており、海軍の主張する「[[ユナイテッド・ステーツ]]」級[[大型空母]]のカウンターパートとして本機が担ぎ出されていた((海軍は[[第二次世界大戦]]中に大量建造された[[エセックス級>エセックス]][[正規空母]]が全艦生き残っており、その上で更にユナイテッド・ステーツを建造することは認められず、この論争は空軍の勝利に終わっている。))。
>この頃、空軍は[[海軍>アメリカ海軍]]と「[[核兵器]]の[[プラットフォーム]]には何が適任か」というテーマで論争をしており、海軍の主張する「[[ユナイテッド・ステーツ]]」級[[大型空母]]のカウンターパートとして本機が担ぎ出されていた((海軍は[[第二次世界大戦]]中に大量建造された[[エセックス級>エセックス]][[正規空母]]が全艦生き残っており、その上で更にユナイテッド・ステーツを建造することは認められず、この論争は空軍の勝利に終わったが、これによって「提督たちの反乱」と呼ばれる内紛が起きてしまっている。))。

部隊配備中に[[朝鮮戦争]]が起きていたが、[[核戦争]]の勃発に対する備え([[戦略哨戒]])が必要とされていた((当時の[[核兵器]]はまだまだ大きくかつ重く、特に[[水素爆弾]]は本機にしか搭載できなかった。&br;  また、[[弾道ミサイル]]による戦略哨戒が実現するのは本機退役後の1960年代になってからであった。))ことと、レシプロ推進の[[B-29]]や[[B-50]]が共産軍のジェット戦闘機・[[MiG-15]]に翻弄され、多数撃墜されていたこともあって「戦術爆撃機」としての実戦投入は見送られた((なお、本機と並行して配備されていた純ジェット推進の[[B-47]]も、2,000機以上が生産されたにもかかわらず朝鮮戦争には参加しなかった。))。~
その後、[[亜音速]]で飛行可能、[[機動力]]に優れる純ジェット推進の[[B-47]]や[[B-52]]が登場すると居場所を失い(([[寄生戦闘機]]の搭載母機に改造されたり、[[爆弾搭載量>ペイロード]]を減らして偵察カメラを積んだ「[[長距離偵察機>偵察機]]」に改造された機体もあった。))、1959年に全機が退役した。~

**スペックデータ(B-36J-掘 [#a99c6529]
|乗員|13名|
|全長|49.42m|
|全高|14.25m|
|翼幅|70.12m|
|翼面積|443.5|
|翼型|root:NACA 63(420)-422&br;tip:NACA 63(420)-517|
|空虚重量|75,530kg|
|戦闘重量|119,318kg|
|最大離陸重量|186,000kg|
|[[発動機>エンジン]]|[[P&W>プラット&ホイットニー]] [[R-4360-53「ワスプ・メジャー」>ワスプ]][[空冷>空冷エンジン]]4重星型28気筒×6基&br;[[GE>ジェネラルエレクトリック]] [[J47]][[ターボジェット]]×4基|
|エンジン出力/[[推力]]|R-4360-53:3,800hp(2,835kW)(離昇)&br;J47:23.2kN(5,200lbf)|
|[[プロペラ]]|カーチス・エレクトリック社製3枚翅定速プロペラ|
|最大[[速度]]|672km/h|
|[[巡航速度]]|370km/h|
|[[戦闘行動半径]]|6,415km|
|[[フェリー>回航]][[航続距離]]|16,000km|
|[[上昇限度]]|13,300m|
|[[上昇率]]|10.1m/s|
|武装|M24A1(イスパノ・スイザ HS.404)20mm[[機関砲]]×2門&br;(尾部遠隔操作[[ターレット>砲塔]]に搭載、弾数1,200発)&br;爆弾搭載量:39,000kg(重量制限付き)/32,700kg(通常)|
~
**派生型(カッコ内は生産・改修機数) [#n1fe86b7]
-試作型
--XB-36(1機):~
非武装の試作原型機。~
エンジンはR-4360-25(3,000馬力)6基を搭載。~
この機体のみ突出しない操縦席[[風防]]を持つ。~
~
--YB-36(1機):~
増加試作機。~
機首形状が改良され、[[コックピット]]は上方に突き出した形状となった。~
~
--YB-36A:~
YB-36の[[降着装置]]をシングルタイヤ式から4輪式に改装したもの。~
後にRB-36Eに改装された。~
~
--YB-36C:~
B型にR-4360-51エンジン(4,300馬力)を6基搭載し、プロペラを牽引式とした機体。~
計画のみ。~
~
--B-36A(22機):~
初期生産型。乗員訓練および試験用の機体で非武装。~
後に地上試験用の初号機を除き、RB-36Eに改装された。~
~
--B-36C:~
YB-36の量産型。B-36Bとなり、製造されず。~
~
-爆撃機型
--B-36B(62機):~
引き込み式銃座を搭載した改良型。~
エンジンはR-4360-41(3,500馬力)を6基搭載。~
一部発注機体はRB-36D、もしくはB-36Dとして完成した。~
後にB-36Dへ改装された。~
~
--B-36D(26機/B型67機):~
B型にJ47-GE-19[[ターボジェット]]4基を追加装備した型。~
[[ジェットエンジン]]は主翼端に2基ずつ[[ポッド]]装備された。~
~
--B-36F(34機):~
D型のエンジン換装型。~
R-4360-53エンジン(3,800馬力)6基およびJ47-GE-19ターボジェット4基を搭載。~
~
--B-36H(83機):~
[[コックピット]]内を改装した型。~
搭載[[レーダー]]と内部システムを改良した。~
他はF型と同等。~
~
--B-36J(33機):~
最終生産モデル。~
固定武装を生産時から尾部銃座のみに変更し、燃料タンクを増設して搭載燃料増大、降着装置強化などを実施した。~
尾部銃手以外の[[銃手>ガナー]]が削減されたため、乗員数も減少している。~
~
-[[偵察機]]型
--RB-36B(39機):~
航空カメラを臨時に搭載した偵察型。~
~
--RB-36D(17機/7機((B型より発注切り替え。))):~
[[戦略偵察機>偵察機]]型。~
[[第1爆弾倉>ウェポンベイ]]が与圧カメラ区画であり、ほかに電子偵察機材も搭載していた。~
当初は核爆撃能力を有さなかったが、後に改装により付与された。~
~
--RB-36E(21機):~
YB-36AおよびB-36AをRB-36D相当に改装した型。~
~
--RB-36F(24機):~
RB-36Dと同様の[[戦略偵察機>偵察機]]型。後に核爆撃能力付与。~
就役後には固定武装を尾部銃座のみとする改修が行われた。~
~
--RB-36H(73機):~
偵察型の最終モデルでRB-36Dと同様の戦略偵察機型。~
後に核爆撃能力付与。~
~
-実験機型
--DB-36H:~
GAM-63「ラスカル」[[空対地ミサイル]]搭載試験機。~
~
--GRB-36D(10機):~
「FICON(Fighter Conveyor,戦闘機運送機)」計画のため搭載母機として改装された型。~
[[寄生戦闘機]]([[偵察機]])として[[GRF-84F「サンダーストリーク」>F-84]]を胴体下に搭載した。~
~
--GRB-36F(YRB-36F)(1機):~
B-36Fから改装された機体。母機能力以外の部分はGRB-36Dと同等。~
試験用として改装された。~
~
--JRB-36F(1機):~
「FICON」計画に並行して行われていた[[寄生戦闘機]]開発計画である「トム・トム(Tom-Tom)」計画のために改造された機体。~
[[寄生戦闘機]]([[偵察機]])として[[RF-84F「サンダーフラッシュ」>F-84]]を翼端同士で繋げる方式だった。~
JRB-36Fから1機が改造されて試験に用いられたが、問題が多く、危険性が大きいとして計画は中止された。~
~
--NB-36H:~
[[原子力飛行機]]の実証研究機。~
「P-1」[[加圧水型原子炉]]が搭載され((ただし、飛行中の動力としては使用せず、着陸後、地上で試運転されていた。))、[[放射線]]遮蔽シールドのテストに用いられた。~
~
--X-6:~
原子力推進航空機の実験機。~
機内にP-1原子炉を搭載するほか、胴体下に[[J47]]を改造したX39原子力[[ターボジェット]][[エンジン]]4基を装備する。~
技術面とコスト面から1953年に計画中止となった。~
~
-その他派生型
--YB-36G/YB-60(2機):~
純ジェット化した次世代型。~
エンジンは[[P&W>プラット&ホイットニー]] [[J57-P-3>J57]][[ターボジェット]]を8発搭載した。~
競争試作で[[B-52]]に敗れ採用されず。~
~
--XC-99(1機):~
B-36の主翼を流用して製作された[[超大型貨物輸送機>輸送機]]。~
試作機1機のみが製作されたが輸送部隊に実戦配備された。~
~

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