• バックアップ一覧
• 差分 を表示
• 現在との差分 を表示
• ソース を表示
• 無反動砲 へ行く。
  • 1 (2004-10-30 (土) 12:20:28)
  • 2 (2005-05-30 (月) 17:43:48)
  • 3 (2005-05-31 (火) 18:05:15)
  • 4 (2005-06-04 (土) 01:48:45)
  • 5 (2006-01-06 (金) 17:11:15)
  • 6 (2006-03-28 (火) 21:12:59)
  • 7 (2006-09-14 (木) 19:27:38)
  • 8 (2007-03-12 (月) 06:26:48)
  • 9 (2007-06-05 (火) 21:25:52)
  • 10 (2007-09-12 (水) 22:41:29)
  • 11 (2009-01-15 (木) 23:21:51)
  • 12 (2010-04-11 (日) 22:47:32)
  • 13 (2010-04-11 (日) 22:48:22)
  • 14 (2012-09-19 (水) 14:01:23)
  • 15 (2012-09-20 (木) 22:13:37)
  • 16 (2012-09-21 (金) 03:35:36)
  • 17 (2012-09-21 (金) 14:34:24)
  • 18 (2019-11-29 (金) 21:09:11)
  • 19 (2020-08-27 (木) 11:22:43)
  • 20 (2020-08-27 (木) 15:42:47)
  • 21 (2021-09-04 (土) 11:49:32)
  • 22 (2022-12-13 (火) 19:43:10)
  • 23 (2023-10-29 (日) 05:25:13)

---

【無反動砲】(むはんどうほう) †

Recoilless rifle*1

野戦砲の一種で、発射時の反動を少なく抑え、制退器や砲架などに固定せずに運用できるようにしたもの。
口径は小さなもので40mm、最大では主力戦車に匹敵する120mmまで。
同口径のカノン砲よりも小型軽量な反面、命中精度や有効射程で劣る。

この性質のため、砲兵の管轄ではなく歩兵砲としての運用を想定して作られる。
特に機械化歩兵において車載兵器として運用される事が多く、主に車両への攻撃や陣地への制圧射撃に使用される。
近年では対戦車ミサイルにシェアを奪われているが、対戦車ミサイルより安価で多目的に使用できることから、未だ歩兵支援火器の主流の一つである。
また、煙幕弾・信号弾・照明弾などの非破壊的な砲弾の運用にも用いられる。

関連：バズーカ

反動低減のメカニズム †

そもそも反動とは砲弾の初速に対する反作用であり、砲身が後ろに押される事で発生する。
従って、反作用を砲身で受け止めず、そのまま後方に逃がしてしまえば反動は発生しない。

実際の所、装薬の爆発は全方位に広がるため、完全に反動を逃がす事はできない。
また、エネルギーが後方に逃げていく事で相当なロスが発生し、砲の性能を落とす事になる。
とはいえ、後方に爆風の逃げ道を作る事で反動がかなり軽減されるのは確かである。

無反動砲は、砲弾と同時に何かを後方に発射・噴射する事で反動を減少させている。
当初の無反動砲では、砲弾と同質量の油脂と鉛の塊（バラスト）を後方に撃ち出していた。
近年では装薬の発射ガスを後方に噴射する方式が主流となっている。
また、プラスティックや木製のチップ（カウンターマス）を用いるものもある。

無反動砲の基本原理とはあまり関係ないが、砲弾にロケット弾を用いるものもある。
後からロケットで加速する事で、装薬の量を減らしてさらに反動を低減できる。

何れにせよ、発射すると砲身の後方から高熱・高速の気流「バックブラスト(back blast)」が発生する。
砲の真後ろ数メートル以内に人がいた場合、その人間はまず間違いなく死亡する*2。
同様の理由から、砲身を上に向けたり、すぐ後ろに壁がある屋内で使用するのは極めて危険である。

近年ではトーチカや市街地での運用を想定し、バックブラストを抑える工夫が施されている。

60式106mm無反動砲（陸上自衛隊）

各国の主な無反動砲 †

第二次世界大戦中 †

• アメリカ
  • T9 105mm無反動砲
  • T4 155mm無反動砲
  • M4 4.2インチ無反動迫撃砲*3
  • M18 57mm無反動砲
  • M20 75mm無反動砲
  • M27 105mm無反動砲
    
• イギリス
  • オードナンスRCL 3.45インチ無反動砲
  • オードナンスRCL 3.7インチ無反動砲
    
• スウェーデン
  • カールグスタフ pvg m/42 20mm対戦車ライフル*4

• ソビエト連邦
  • 76mm BLK
  • 76mm MPK
  • APK-4 76mm航空無反動砲
  • APK-8 102mm航空無反動砲
  • DRP-76（76mm DRP）
  • 152mm DRP
  • 305mm DRP

• ドイツ国
  • パンツァーファウスト
  • 7.5cm LG40
  • 10.5cm LG40
  • 10.5cm LG42
  • 10.5cm LG43
  • 15cm LG42
  • Düka88 8.8cm航空無反動砲
  • SG104 35.6cm航空無反動砲
    
• 日本
  • 試製八十一粍無反動砲
  • 試製十糎半無反動砲
  • 試製五式四十五粍簡易無反動砲
    

第二次世界大戦後 †

• アメリカ
  • M40 106mm無反動砲
  • M67 90mm無反動砲
  • M63/M64 120mm/150mm核弾頭無反動砲
    
• アルゼンチン
  • M1968 105mm無反動砲
    
• イギリス
  • BAT 120mm無反動砲
  • L2 BAT 120mm無反動砲
  • L4 モンバット（MoBAT）120mm無反動砲
  • L6 ウォンバット（WOMBAT）120mm無反動砲
  • L7 コンバット（KONBAT）120mm無反動砲
    
• イタリア
  • ブレダ フォルゴーレ 80mm無反動砲
    
• クロアチア
  • RT-20 20mm対物ライフル（"Düsen Kanone"方式に類似した反動軽減機構を持つ）
    
• スウェーデン
  • カールグスタフ 84mm無反動砲
  • Pvpj 1110 90mm無反動砲
    
    
• ソ連/ロシア
  • B-10 82mm無反動砲
  • B-11 107mm無反動砲
  • SPG-82
  • SPG-9 73mm無反動砲
    
• チェコスロバキア
  • T-21「トラスニス」 82mm無反動砲

• フィンランド
  • 55S55 88mm無反動砲*5
  • 95S58-61 95mm無反動砲
    
• ユーゴスラビア/セルビア
  • M-60 82mm無反動砲
  • M-65 105mm無反動砲
    
• 中華人民共和国
  • 52式57mm無反動炮 ※米M18のコピー生産品
  • 56式75mm無反動砲 ※米M20のコピー生産品
  • 75式105mm無反動砲 ※米M40のコピー生産品
  • 65式82mm無反動砲
  • 78式82mm無反動砲
    
• 中華民国
  • 36式57mm無反動砲 ※米M18のライセンス生産品
  • 43式75mm無反動砲 ※米M20のライセンス生産品
  • 51式106mm無反動砲 ※米M40のライセンス生産品
    
• 日本
  • 60式106mm無反動砲 ※米M40のライセンス生産品
    
    

---

*1 『無反動砲』は誤訳であり、『Recoilless』は『低反動』『小反動』と訳すべきだという見解もなくはない。
　　実際、訓練されていない射手が扱えば転倒してもおかしくない程度には反動がある。
*2 減衰が激しいとはいえ、40mm以上の砲の直撃と同等のエネルギーである。
　　手足や首が千切れ飛んでも不思議はない。
*3 迫撃砲の名称だが作動形式はガス噴出式の無反動砲。
*4 ライフルの名称だが作動形式はガス噴出式の無反動砲。
*5 作動方式としてはパンツァーファウストやRPG-2に準じる。