【民兵】(みんぺい)

militiaman(民兵に類する個人)
militia(民兵組織)

関連:パルチザン レジスタンス 州兵 国民義勇戦闘隊

  1. 市民軍。あるいは義勇軍。
    武装した市民や、それによって組織される武装集団のこと。
    無法状態において、あるいは法に反して武装している市民やその集団を指すことが多い。
    自警団的な役割をすることもあれば、逆にみずから略奪などの無法をはたらくこともある。

  2. 農民兵・屯田兵。
    徴兵制以前の時代における軍制において、納税や労役の一環として戦う兵士。
    平時には訓練を行いつつ農作業などを本業とし、農閑期の副業として*1一定期間の軍事労働に従事する。
    精鋭になれば報償として土地を与えられる事もあり、これが肥大化・統合されて土豪や封建領主となる場合も少なくない。
    戦場では後世の市民軍・義勇軍と同様、自警団的な側面と敵地における略奪者としての側面を強く併せ持つ。
    農繁期には軍事行動を展開できないため、補助戦力または軍の中核として傭兵を必要とする。

  3. ミリシャ。
    合法的な手続きに基づいて武装集合しているものの、国家には属さず、しかし明白に政治的意図を持って活動している集団。
    アメリカ合衆国の州ごとに組織されているもの、中東社会において部族ごとに組織されているものなどがある。
    テロリストやマフィアなどが本国においてこの名目で合法的に武装している場合もある。
    この意味では日本でも「民兵」の表現を用いず、「ミリシャ」または「武装集団」と呼ばれる。

  4. 民兵制度/国民皆兵制度。徴兵制の一種。
    平時は市民として暮らしているが、有事には軍によって招集される兵士のこと。
    制度自体は予備役に似ているが、兵力の主要供給源として期待されているものを指す。
    基本的には災害救助/復旧活動や治安維持に投入するための組織であるが、戦時には予備部隊として戦争に関与する。

    戦況が圧倒的に不利となり、「本土決戦」が現実のものとして想定される末期的状況(第二次世界大戦時におけるイギリス、ドイツ、日本など)で臨時に民兵が組織された事もある。
    そうした臨時の民兵組織は、兵站や指揮系統などに多大な混乱が見られ、無策な指揮官によって死守命令が下される事が多かった。
    そうした組織は、招集にせよ運用にせよ常軌を逸した行動が多く、50代の高齢者を何の訓練もなく前線に投入した例すらある。

*1 たとえ農村で餓死者が出るような飢饉の年であっても、支給された兵糧や略奪した作物で食いつなぐ事ができた。
  また、生産力に対して増えすぎた人口を"戦場で間引く"という側面もある。


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