【偵察】(ていさつ)

reconnaissance(偵察行為) / scout(偵察する者)

情報を収集するための機動展開
特に近代軍隊はその性質上、動向の不明な敵に対する偵察を全ての行動の基礎に置く。

偵察が不十分では戦術の構築に大きな制約を受け、極端な場合は行動すらできない部隊や兵器も存在し得る。
如何に早く・如何に精密な情報を得るかがそのまま戦況における行動の可否、戦果や損害、及びその程度に大きく反映されるため、非常に重要視される。
この為、偵察には高価な特殊機材や能力の優れた人員が投入されることも多く、兵器開発におけるハイテクノロジーの定番分野でもある。
また、兵科を問わず偵察技術を習得していない人間は戦闘員として活動する事は不可能と言えるほど基本的な素養でもある。

サルート(SALUTE)

兵士が偵察して敵を発見した際、報告すべきとされる6種類の情報を、それぞれの英単語の頭文字をとって「SALUTE」と呼ぶ。*1
以下に詳しく示す。

  • Size:敵の規模、人数ないし占有する敷地面積。
  • Activity:敵が行っていた行動。
  • Location:発見した位置。敵が移動していた場合は進行方向・移動手段・速度も。
  • Unit:敵の種別、国籍、兵科。
  • Time:発見した日付と時刻。
  • Equipment:敵の所持する装備、乗り物の種類。

類義語

斥候
大規模な部隊展開機動時に、進行経路上を偵察して先導する事。
追跡
戦闘後、撤退中の敵を偵察する事。
監視
定点に留まり、状況に変化がないか観察する事。偵察とは異なり、何かを探して居を移す事はない。
捜索
状況が定かでなく、目標が存在するかどうか不明な段階で行う偵察。
哨戒
防御として行う索敵。奇襲を察知するために敵を捜索する事。*2
探査
敵の妨害を受ける事を想定せず、地形など流動性の低い情報を集める偵察。「下見」とも。
索敵
敵が存在すると断定した上で、その位置や状況を偵察する事。
威力偵察?
敵に発見されて戦闘に移る事を最初から念頭に置く偵察。
隠密偵察
敵に見つかる事が全滅を意味する場合の偵察。
情報の詳細・信頼性よりも報告する事そのもの(殺されずに帰還する事)が優先される。

*1 軍人であれば誰もが知る敬礼(salute)と同じ綴りである
*2 海軍においては「対潜哨戒」の同義として扱われることの多い語でもある。海上においては潜伏する歩兵部隊の如きものは存在せず、船舶や航空機は可能な限り遠くからでも発見できる。となれば、哨戒と呼ぶほどの事が必要なほぼ唯一の存在は潜水艦だけであるからだ。

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