【超地平レーダー】(ちょうちへいれーだー)

Over-The-Horizon Rader.

「OTHレーダー」「超水平線レーダー」とも。
地平線・水平線よりも遠い場所を走査できるレーダー。
周波数や機械的要件が異なるため、通常のレーダー機器とは互換性がない。

上空に向けて短波帯の電波を照射し、これを電離層F層(高度200〜400km付近)で反射させて地上へ届ける。
物体にぶつかって反射した電波は上空に戻り、再び電離層で反射されて受信機まで戻ってくる。

レーダー全般に言える事だが、電波送信機と受信アンテナが一対になっている必要はない。
特にOTHレーダーは分解能が低いため、同じ発信源からの電波を多数のアンテナで受け取るようになっている。

探知距離は3000kmにも達する反面、分解能はきわめて低い。
艦艇にさえ搭載できないほど巨大なアンテナ群が必要不可欠で、それでもなお物体の輪郭はほとんど識別できない。
このため、物体の存在とおおよその位置・動きだけで事態を類推できる状況で運用する必要がある。

主たる監視対象はミサイルサイロ(大陸間弾道ミサイル)・空域(UFO・気象)・海域(密輸・不審船)など。

ウッドペッカー・ノイズ

OTHレーダーは無線・ラジオ放送に一般的に用いられている短波帯の電磁波を用いている。
このため、OTHレーダーはラジオや無線機を混信させ、キツツキ(ウッドペッカー)が木を叩くような独特のパルス音を生じさせる。
また、OTHレーダーを妨害するためのジャミングが行われると、それによって短波帯の無線通信・放送も妨害される。


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