【超機動】 †
スーパーマニューバー(Super Maneuver)とも。
方向転換を行う前に急減速を行い、旋回してから急加速で元の速度に戻す一連のマニューバーを指す。
ほぼ全ての乗り物や生き物が当たり前のように行う動作だが、航空機で実行するのは非常に危険である。
このため、これを実行可能なSu-27、F-22などは「スーパーマニューバビリティ(超機動性能)」と称され、技術進歩に対する賞賛の対象となっている。
戦闘機に限らずあらゆる機動は、速度が速いほど方向転換が難しくなる傾向にある。
速度が速ければ一定の角度を旋回する間に長い距離を進んでしまい、定点から見ると旋回が遅くなっているように見える。また実際に、速度が速いほど遠心力?や抗力による抵抗も強くなる。
このため、一般にどんなものでも、旋回する際には安全と効率のために一時的に減速する事が望ましい*1。
が、航空機ではこの事情が異なる。
航空機が減速する事は常に失速による墜落につながるため、減速と旋回を可能な限り省略し、できるだけまっすぐ飛んで速度(エネルギー)を維持する事が安全な運行の大原則である。
とはいえ戦闘機が戦闘中に速度を維持したまま直進するのは明らかに自殺行為であり、そのような場合はいかに速度(と、それに変換できる位置エネルギー)を維持しながらマニューバーを行えるかが追求される。
速度を失った状態から素早く回復できる強力な推力はマニューバーの選択肢を広げて高い機動力を保証し、態勢を立て直し反撃に移るチャンスを与えて格闘戦?での生存性を高める効果を持つ。
超機動が可能かどうかで何かが劇的に変わるわけではないが*2、しかし可能であった方が戦闘機が生還する可能性は高い。
特に近年ではミサイルのキルコーンの角度が大きく広がっており、その射程圏から離脱するマニューバーを実現するには高い速度と急旋回の両立が必須事項になってきている。