【代理戦争】(だいりせんそう)

 元々の戦争当事国ではない国家が外交的得点、通商路の確保、安全保障、思想や宗教上の要請などの理由から新たに参戦する戦争の事。
 その性質上、新たな参戦国は戦場の領有を主張する国家のいずれかと軍事的協力関係を構築していなければならない。
 一般には冷戦と関連付けてアメリカやソビエトが介入した戦争を指すが、軍事史を紐解くにさほど珍しい事例ではなく、他国からの介入が無意味である場合*1を除く全ての戦争は常に他国の介入によって代理戦争になる可能性を持つ。

 現地の国家から見れば、共同戦線を打診してきた国の資本によって戦争と兵站による経済的負担を軽減する効果が期待できる。
 およそどのような国家でも自国領内での国家総力戦が1年続けば財政が破綻するので、紛争の早期決着に失敗した小国は代理戦争の舞台に選ばれるリスクを承知の上でも同盟国を探す必要性が生じてくる。

 介入する側の国家は、失われる兵士の人命のうちいくらかと、戦禍による国土の荒廃を同盟国に負担させる効果を期待できる。
 もちろんこの恩恵は「そもそも戦争しないなら負担しなくて良い」性質のものなので、代理戦争は近い将来に起こるかもしれない全面戦争に備えた戦略の一部である事が多い。


*1 例えば日本の戦国時代。日本列島で起きていた事変は海外のあらゆる通商路や安全保障と無関係な出来事であり、よって海外のどの国も日本列島に介入する意義を感じていなかった。

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