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【射出座席】 †
炸薬やロケットモーターを備え、座った人間を非常時に椅子もろとも機外へ叩き飛ばす機能を備えた座席。
大抵は座席の股下部分にフックがあり、これを引くことで射出される。
航空機が墜落を避けられなくなった時に使用し*1、機体からの緊急脱出とパラシュートによる着陸を補助する。
着地後の遭難が想定されるため、救難信号ビーコン、サバイバルキット、記録装置*2などを組み込む事も多い。
航空機から空中降下してパラシュートで着地する場合、機体の下側、後ろ側から降りなければならない。
前方や上側から降りようとする場合、尾翼などに激突して死亡する恐れが高いためである。
しかしコックピットは視界確保の関係で必ず機体の最前面に配置されているため、緊急時の脱出は危険を極める。
この問題への対策として、乗員を速やかに機体から離脱させるために開発されたのが射出座席である。
ただし、射出座席でも急加速による強烈なG、航空機の速度で叩き付ける風圧などの危険は已然として残っている。
訓練せずに使用すれば脊椎損傷や骨折などの重傷は避けられず、パラシュートで安全に着地する事もできない。
また、機体操縦を放棄する事が前提となっているため市街地や輸送機での使用も推奨されない*3。
このため、通常は機体とパイロットの損失を避けられない軍用機や曲技機でのみ用いられている。
なお、アメリカ軍では戦闘機などの射出座席を装備する航空機へ搭乗する人間には射出座席の訓練を修了することを義務付けている。
関連:マーチンベイカー ズベズダ設計局? K-36 Su-26
*1 現代では離陸前や着陸直後など、高度ゼロ・速度ゼロの状態で事故が発生してもパラシュートの開く高度まで叩き飛ばせる「ゼロ・ゼロ射出座席」が標準となっている。
*2 偵察機の偵察情報、無線での交信、事故原因分析用の技術情報などを記録する。
*3 墜落した時点で必ず大惨事になる旅客機ではそもそも搭載されていない