【黒鉛炉】(こくえんろ)

原子炉のうち、減速材として黒鉛*1を使うもの。
最も安価な技術的投資で実用化できる原子炉だが、効率・性能において最も劣悪な原子炉でもある。

黒鉛は入手が容易であり、また未精製の天然のウラニウムを核燃料に使用できる。
反面、黒鉛はかさばり、また別途に冷却材も用意しなければならないためさらにかさばる。
この点で出力あたりの体積が非常に大きく、エネルギーを得る手段としては他種の原子炉に劣る。

当初は原子爆弾用のプルトニウムを精製するために実用化された。
最初期の原子力発電所としても稼働していたが、軽水炉重水炉の実用化に伴って廃れていった。
現存する黒鉛炉は主にプルトニウム精製施設として稼働しており、炉の出力は副産物に過ぎない。

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*1 グラファイト。日本名は鉛の一種と誤解されていた時代の名残であり、実際は炭素分子の一種である。

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