【交戦規定】(こうせんきてい)

Rules of Engagement(ROE).

軍隊司法警察?組織における武器の使用および傷害致死・殺人に関する規定。
基本的には組織の指揮系統に関する内部的な規定であり、法律として明示されるものではない。
通常、軍隊がある状況に対してどのような交戦規定を定めているかは重要な軍事機密とされる。

文民統制の根幹であると同時に、一定の戦略を達成するための作戦方針を反映する。
作戦上必要であれば、発見した敵をあえて攻撃せず見逃すよう命じなければならない場合もある。
また、攻撃は行えば行うだけ物資を損耗するので、誰かが攻撃中止を命令する必要性は常に存在する。

一般的な交戦規定

ある特定の状況における交戦規定は非常に細々とした事務的なものだが、大別すると三段階に分けられる。

Weapons Hold
伝令や偵察など、緊急性・隠密性が求められる場合の規定。
自身および麾下の部隊が攻撃を受けている事が明白である場合にのみ、防御戦闘が許可される。
当面の脅威を排除した事が確認された時点で必ず交戦を停止しなければならない。
任務上必要であれば味方を見捨てて逃げても敵前逃亡ではなく職務上正当な行為と認められる*1
また実際、味方が攻撃を受けていても、自身が巻き込まれていない場合に増援として戦闘に参加してはならない。
Weapons Tight
駐留部隊など、民間人との接触が想定される場合の規定。
部隊指揮官のみが戦闘の開始・終了を判断する権限を持つ。
部隊の隊員はいつでも状況を報告して発砲許可を申請できるが、許可が下りるまで攻撃してはならない。
Weapons Free
事前に詳細な作戦を立案して攻撃を行う場合の規定。
事前に通達された判断基準に則り、各自が自分一人の判断で攻撃を行う事ができる。
ただし交戦報告は義務づけられる。また、事実誤認による誤射・誤爆については軍法会議の対象になる可能性がある。

*1 例えば、4名の歩兵が本隊から離れた場所で警戒を続けていて、そのうちの1名が夜間に至近距離で敵を発見したとする。
  声を出して敵に見つかるのを避けるため、寝ていた残り3名をそのまま放置して本隊に戻り、敵襲を報告し、任務を果たす。
  そして敵が撃退されてから事後の調査を行った所、置き去りにされた3名の歩兵は射殺された遺体で発見された、としよう。
  生き延びた偵察兵個人の懊悩はさておき、この場合に同僚3名を見捨てて逃げた事は敵前逃亡とはみなされない。


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