*&ruby(きしゅう){【奇襲】}; [#sa6a9e45]
surprise

敵が[[防御]]していない場所・時期を見計らって攻撃を行う事。~
当然ながら万全に[[防御]]されている場合よりも容易に損害を与え、[[士気]]をくじく事ができる。

ただし、奇襲された事は必ず発覚するため、敵の増援が[[展開]]する前に攻撃する[[機動力]]が要求される。~
[[機動力]]と正面戦力はおおむね[[トレードオフ]]の関係にあるため、奇襲[[作戦]]には正面決戦ほど多くの戦力を割けない。~
結果、奇襲に失敗すると想定以上の[[防御]]に直面し、不満足な戦力での正面決戦を余儀なくされる。

**[[戦略]]としての奇襲 [#q674368a]
[[戦略]]としての奇襲は、事前の[[作戦]]計画と全く異なる状況で突如として戦争を始める事を言う。~
[[軍事]]に投入できる[[兵站]]資源は常に有限であるため、多くの国家は少数の[[仮想敵国]]への対策に配備を集中する。~
また、複数の国家から同時に襲われるのを避けるため[[同盟国]]を作り、国内に安全地帯を確保しようとする。~
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結果、あまり警戒されていない国家が突如として[[宣戦布告]]した場合には奇襲が成立する。~
[[紛争]]が避けられないと目される場合も、軍事的・政治的常識を無視した"早すぎる"会戦はしばしば奇襲となる。

>例えば、人類史全体を通じて冬の戦争は被害が甚大で、避けるべきものとされる。~
結果、多大な被害を承知の上で冬に[[強襲]]を仕掛ける事で奇襲が成立した例は枚挙に暇がない。~
もちろん、投入された兵士達が[[冬将軍]]の猛威を前にどれだけ生存できたかはまた別の問題だが。

こうした国家規模の大きな奇襲は成功すれば効果も多大な反面、試みる事によって失われるものも大きい。~
しばしば国家間の条約や信頼関係((国家間に真の友人はいない。しかし、国家に属する個人や企業には他国の友人や取引相手がいる。))を無視し、双方の国民感情に多大な悪影響を及ぼすからだ。~
もちろん、戦時体制においてそのような感情は無視されるものだが、戦争の勝敗がどうあれ、戦後には国民と国外の悪感情に直面しなければならなくなる。

**作戦としての奇襲 [#h276ae77]
[[軍隊]]が全体として[[作戦]]方針を立案するに際しても、奇襲を狙う事は多い。~
自軍は奇襲を行わないとしても、敵が奇襲を仕掛けてくる可能性については検討する必要がある。~
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[[作戦]]として奇襲を行う際の要諦は、敵の[[参謀]]に誤った情報分析を行わせる事である。~
しかし、一般論として彼我の[[参謀]]集団の知的能力に劇的な格差があるとは考えにくく、容易なことではない。
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奇襲作戦を成功させる方法の一つは、特定の敵を欺く事だけを目的とした[[参謀]]団を組織する事である。~
これは、[[クーデター]]勢力など軍事的に弱体な集団が勝利を収めた事例に典型的である。~
いわゆる「革命軍」のほとんどは、たった一つの敵性組織を打倒するためだけに組織される。~
よって、通常の[[軍隊]]では非合理な決断を容易に行い、それによって奇襲を仕掛ける事ができる。~
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もう一つの方法は、他国に先んじて[[軍事革命]]を実行し、これを前提とした[[戦略]]を構築する事である。~
古くは[[鉄]]の実用化から、現代の[[データリンク]]まで、科学技術上の優位は明白な有利をもたらす。~
先端軍事技術を自国のみが保持し、敵国は保持していないという時、技術的手段による奇襲は阻止不能である。~
もちろん、それは技術が追い付くか、対抗戦術が構築されるまでの一時的優位に過ぎない。

**戦術としての奇襲 [#s670a7b9]
実際の前線において、奇襲は日常茶飯事である。~
特に[[第二次世界大戦]]以降、無線通信を前提とした[[散兵戦]]はまさに奇襲の連続と言ってよい。~
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[[戦略]]的な視点では単純な正面決戦であっても、こと個々の兵士にとっては暗中模索に近い。~
個々の兵士が把握できる情報には限界があるし、敵を事前に発見できる可能性も決して高くはない。~
巨大な敵集団全体を欺くのは困難でも、数人の見張りを奇襲するのは比較的容易である。~
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正面から撃ち合えば常に死の危険があるのだから、生き延びたければ奇襲を仕掛けるべきである。~
よって、前線の兵士は[[防御]]において奇襲を警戒し、攻撃に際しては常に奇襲を目論む。~


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