【格安航空会社】(かくやすこうくうがいしゃ)

Low Cost Carrier(LCC).

旅客機を運航する航空会社の一形態。
明確な定義はないが、利用料金の安さを経営戦略の中核に位置づけている航空運輸業者を指す。
また、大半は航空業界再編の中で近年出現した新興企業である。

大手航空会社に比して資本・技術で比較劣位にあり、大手に伍するサービスを提供できない。
このため、半ば以上意図的にサービスの質を落とし、価格競争で生き残りを図るのが特徴。

安全性・信頼性についての疑念から、富裕層・大企業・旅行代理店などからは忌避される。
また、顧客の要求に応えられない場面(設備やノウハウの不備)が多々あるため、契約交渉において著しく不利である。
中小企業・若者・移民などの低所得層が主な顧客となる。

安全性について言えば、実際のところ、風説で言われているほど危険ではない(おおむねは)。
ほとんどの先進国は航空運輸の安全性について厳重な規制を設けており、違反が発覚すれば重大な制裁を受ける。
また、同業他社より突出して重大事故発生率が高いような格安航空会社は、早晩信用を喪って倒産に至る。
とはいえ、「重大事故が原因で倒産した格安航空会社」は過去に相当数存在し、これから出現しないとも言い切れない。

コスト節減法

低運賃で経営を成立させるためになされる「経費節減」の方法としては以下のようなものがある。

  • 自社フリートの構成を可能な限り1〜2機種程度に統一
  • 自社で航空機を所有せず、リース契約で機体を借りて運行する
  • 燃料消費量の多い長距離路線を避け、国内線・近距離国際線に特化する
  • 混雑している大規模空港を避け、周辺の中小空港に乗り入れる
  • 空港の施設使用料を抑える
  • 社員の人件費削減*1
  • 機内サービスの省略
    • 機内食やドリンクを無料サービスではなく割高な別料金とする
    • 機内誌・機内放送・音楽サービスなどを提供しない
    • 座席がエコノミークラスしか存在しない
    • 座席指定できない定員制自由席
    • 手荷物の「無償持込枠」がないか、あっても小さく、それを超える分については貨物料金を別途請求する

使用される主な機材

主として、客席数50〜200内外の小型・狭胴機を採用して多頻度運航をすることが多いが、B767B787などの中型・広胴機を採用する会社もある。

格安航空会社一覧(現在運航中のもの)

アジア
日本スカイマーク
ピーチ・アビエーション*2
ジェットスター・ジャパン
春秋航空日本
韓国エアプサン
ジンエアー
済州航空
ティーウェイ航空
イースター航空
中国春秋航空
台湾タイガーエア台湾
香港香港エクスプレス航空
インドIndiGo?
エア・インディア・エクスプレス
エア・デカン
ジェットライト
スパイスジェット
ゴーエア
インドネシアインドネシア・エアアジア
シティリンク
ライオン・エア
シンガポールシルクエアー
ジェットスター・アジア航空
タイガーエア
スクート
スリランカミヒンランカ航空
タイタイ・エアアジア
ノックエア
オリエント・タイ航空
タイ・ライオン・エア
パキスタンエアブルー
エアロアジア国際航空
フィリピンセブパシフィック航空
エアアジア・ゼスト(旧ゼストエアウェイズ)
エアフィル・エクスプレス
ベトナムジェットスター・パシフィック航空
マレーシアエアアジア
エアアジア X
ファイアフライ
トルココレンドン航空
サンエクスプレス
アフリカ
南アフリカ共和国クルラ
マンゴ
ベルベット・スカイ
フライ・ゴーエア
モロッコアトラス・ブルー
ジェットフォーユー
ケニアジャンボジェット
アメリカ
アメリカ合衆国ヴァージン・アメリカ
エアトラン航空
サウスウエスト航空
ジェットブルー航空
スピリット航空
フロンティア航空
カナダウエストジェット航空
エア・トランザット
ブラジルゴル航空
アジュールブラジル航空
メキシコアボラール
インタージェット
クリック・メキシカーナ航空
ボラリス
オセアニア
オーストラリアヴァージン・オーストラリア
ジェットスター航空(カンタス航空の子会社)
タイガーエア・オーストラリア
ニュージーランドジェットスター・ニュージーランド
サモアヴァージン・サモア
中東
アラブ首長国連邦エア・アラビア
フライドバイ
クウェートジャジーラエアウェイズ
サウジアラビアサマエアラインズ
Nasエア
バーレーンバーレーンエア
イスラエルUP
ヨーロッパ
アイルランドエアリンガス
ライアンエアー
イギリスイージージェット
グローブスパン
ジェット2
トーマス・クック航空
Bmibaby
Flybe
モナークエアライン
イタリアウィンドジェット
ヴォラーレ・エアラインズ
エア・イタリー
エアワン
ブルー・エクスプレス
マイ・エアー
メリディアナ
ベルギーVLMエアラインズ
ブリュッセル航空
オランダトランサヴィア
スイスバブー
ヘルヴェティック・エアウェイズ
スペインクリックエアー
ブエリング航空
ドイツTUI航空
インタースカイ
エア・ベルリン
ジャーマンウイングス
オーストリアニキ航空
ポーランドセントラルウィングス
ハンガリーウィズエアー
ルーマニアブルーエアー
デンマークスターリング航空
ノルウェーノルウェー・エアシャトル
フィンランドブルーワン
アイスランドアイスランド・エクスプレス
ラトビアエア・バルティック



*1 この方針はいわゆる「ブラック企業」的な不徳を疑われる(大手航空会社のロビー活動によるネガティブキャンペーンかもしれないが)。
*2 2019年10月、バニラ・エアと経営統合。

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