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*&ruby(びじねすき){【ビジネス機】}; [#g9876946]

数名〜十数名程度の人員を輸送することを目的とする、比較的小型(([[ボーイング]][[B737]]をベースとした「[[BBJ(ボーイング・ビジネスジェット)>ボーイングビジネスジェット]]」や[[エアバス]][[A319>A320]]をベースとした「ACJ(エアバス・コーポレート・ジェット)」のように、小型[[旅客機]]をベースとした機体もある。&br;  また、エアラインから退役した中古の中型〜大型旅客機を自家用機として使う者もいる。))の[[固定翼機]]。~
主として、企業の(営利を目的としない)人員輸送に用いられるためこう呼ばれている。~
>類似の機体に「コミューター機」「エアタクシー」と呼ばれる小型[[旅客機]]があるが、これらは近距離輸送用のため[[燃料]]搭載量や[[航続距離]]が小さく、いささか異なる。

近年ではほとんどの機体が[[ジェット>ジェットエンジン]](主として[[ターボファン]])推進であることから「ビジネスジェット」「カンパニー・ジェット」「コーポレート・ジェット」「エグゼクティヴ・ジェット」とも呼ばれている。~
数名〜十数名程度の人員を輸送することを目的とする、比較的小型の[[旅客機]](([[ボーイング]][[B737]]をベースにした[[ボーイングビジネスジェット(BBJ)>ボーイングビジネスジェット]]や[[エアバス]][[A319>A320]]をベースにした「エアバス・コーポレートジェット(ACJ)」といった比較的大型な機体もある。&br;  また、エアラインからリタイヤした中古の[[旅客機]]を買い取って自家用機として用いる者もいる。))。~
「ビジネスジェット」「カンパニー・ジェット」「コーポレート・ジェット」「エグゼクティヴ・ジェット」とも呼ばれる((近年の機体はほとんどがジェット([[ターボファン]])推進であるため。))。~
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欧米では[[アメリカ同時多発テロ>9.11事件]]以降、企業や富裕層に属する個人から「[[テロ>テロリズム]]の標的になりにくい」長距離移動手段として需要が高まっている。~
しかし、中東や日本では国情から需要がほとんどなく、その分、エアラインの[[ファーストクラス]]に需要がある。(日本の事情については後述)
[[ペイロード]]が不十分で運賃を求めるには非効率なため、所有者が業務上の経費を費やして運行する。

**主な使われ方 [#f3f5cf9e]
-民間(個人・法人)~
--企業が所有し、幹部や社員の移動手段として用いる場合(社用機)
--富裕層に属する個人が、自らや親族・関係者の移動手段として用いる場合(自家用機)
--[[報道機関>マスコミ]]の取材用として用いる場合
--[[パイロット]]候補生への操縦教育の教材として用いる場合([[練習機]])
:社用機|企業が所有し、幹部や社員の移動手段として用いる。
:自家用機|個人の名義で購入し、家族・親戚や使用人などを載せて運ばせる。
:[[報道機関>マスコミ]]|取材班を急行させるために用いる事がある。原則として航空撮影には用いない。
:要人輸送|政府高官が非公式に移動する際にも用いられる。
:[[捜索救難]]|出動要請後の初動に投入され、要救助者の[[捜索>偵察]]と、救援物資の[[空挺降下]]を行う。~
単体での救助はできないため、初動後は後続の[[ヘリコプター]]の誘導に専念する。
:[[練習機]]|比較的安価に調達できる機体として、[[エビエーター]]の操縦訓練・機上作業訓練に用いられる事がある。~
[[戦闘機]]([[マルチロールファイター]])乗りにはあまり縁がない(([[戦闘機]]は標準的な[[飛行機]]とは全く異なる挙動をするため、ビジネス機の操縦経験がかえって害になる場合がある。&br;  そのため、[[戦闘機]][[パイロット>エビエーター]]候補生の教練には同様の挙動ができる機体が用意される。))。
:[[特殊作戦]]|民間機に偽装し、隠密理に出入国させるために用いる事がある。
:[[司法警察]]・防災機関|密輸・違法入出国・漁船の違法操業・海賊・海上不法投棄などを監視するために用いられる。

-[[軍隊]]・治安・防災機関などの政府諸機関
--要人輸送用~
政府高官の非公式移動などにも用いられる。
--[[捜索救難]]用~
船舶や[[ヘリコプター]]よりも優れた対地速度を生かし、遭難現場に急行して要救助者の位置を特定したり((必要に応じ、非常食・水・救難信号を発信するビーコンや救命筏などで構成される「サバイバルキット」を投下することもある。))、後続の救難ヘリを誘導したりする目的に使われる。
--教育・訓練用([[練習機]])~
[[戦闘機]]・[[攻撃機]]([[マルチロールファイター]])以外の[[固定翼>固定翼機]][[軍用機]]([[輸送機]]・[[哨戒機]]・[[救難機]]・[[戦略爆撃機]]・[[AWACS>AWACS(航空機)]]など)に搭乗する[[パイロット>エビエーター]]候補生の操縦教育や、搭載機器を操作する[[航空士]]の教育・訓練用(機上作業練習機)として用いられる。
--[[特殊部隊]]・[[諜報員>スパイ]]の国外展開用~
民間での普及具合を活用する形で、国外へ隠密に侵入させるのに用いる場合がある。~
その際は軍用機としての塗装・マーキングは行わず、民間機に偽装することが多い。
--(治安・防災機関における)洋上監視・取締~
船舶やヘリコプターと連携し、密貿易・違法入出国・漁船の違法操業・海賊行為・汚染物質の海上不法投棄などの監視・取締を行う。
**需要 [#q1c249d7]
民間用途としての需要は、自家用車や[[鉄道]]利用と競合する。~
当然ながら、車や列車の方が早い状況でビジネス機が手配される事はない。~
~
道路網・鉄道網の整備状況は国ごとに異なるため、需要も当然、国ごとに異なる事情を持つ。~
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国土の広い大陸国家や、貿易への依存度が高い国家では、道路や鉄道を敷くにも限界がある。~
また物理的に移動距離が長い場合、優速な[[飛行機]]が活用される機会も多い。~
アメリカ、ロシア、EU各国などはこうした理由から飛行機を所有する利点が多く、ビジネス機の需要が高い。~
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加えて、政情不安定な場合、大型[[旅客機]]の定期航路は[[テロリスト]]の標的になるとして富裕層に忌避される。~
安全を買うために[[飛行機]]を買う、という発想が現実的なのであれば、やはりビジネス機の需要は伸びる。~
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逆に言うと、国土が狭く、内需に傾倒し、治安の良い国家では上記の逆の現象が起きる。~
整備された道路や鉄道があるのなら、よほど長距離でない限り[[飛行機]]など使うものではない。~
どうしても航空輸送が必要な場合も、緊急性や安全性を求めないのなら定期航路を利用すれば事足りる。~
中東や日本などがこの典型であり、こうした国ではビジネス機の需要は少ない。~
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また、比較的早い段階から交通網の整備を始めた国では、法制度が自動車・鉄道に有利になるよう設定されている事が多い。~
[[航空機]]に特有の危険があるのは事実だが、この危険性に対する[[管制]]の過敏さは国ごとに温度差がある。~
自家用機を比較的気軽に運行できる国もあれば、数日前に飛行計画を提出しなければならない国もある。~
そしてもちろん、[[管制]]が厳格であればあるほど、ビジネス機を私有する利点は失われていく。

**日本での事情 [#q1c249d7]
前述のように、欧米では幅広く普及しているビジネス機であるが、日本では民間市場にほとんど需要がないのが現状であり、主な販売先は[[防衛省]]・[[海上保安庁]]などの政府機関や一部の大手企業(特に報道機関)となっている。~
これは「国土が狭く、それでいて他の交通手段(道路・[[鉄道]]((特に新幹線が多くの主要都市間を結んでおり、利便性・定時性などの面でビジネス機が不利な状況にある。)))が高度に発達していること」や「[[航空法]]などの諸法令や[[空港]]の設備・運営が大手航空会社に有利なようになっていること((一部の大規模空港で「フライトプランを飛行の数日前に提出する義務がある(突発的な飛行ができない)」ことや、「最大離陸重量が5,000kg以上の機体を運用するには『運航管理者』を置かねばならない」ことなど。))」などが主な要因と見られている。


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