【トップガン】(とっぷがん)

  1. アメリカ合衆国カリフォルニア州ミラマー海軍航空基地にある、アメリカ海軍戦闘機兵器学校(Naval Fighter Weapons School: NFWS)の通称。
    海軍航空隊で戦闘機に搭乗するエビエーターの中から、特に技量に優れた人材*1を入校させて空中戦の技術を高レベルで教導し、卒業後にこれを原隊の同僚に教導させることで空中戦技術の維持・向上を図ることを目的としている学校である。

    本校が設立された経緯は、20世紀後半の一時期において世界の航空戦術の趨勢だったミサイル万能論の破綻とこれに対するアメリカ海軍の反省からきている。
    朝鮮戦争当時、アメリカ軍戦闘機キルレシオは12:1であった。
    この当時は第二次世界大戦を戦ってきたパイロットエビエーター)もまだ多数が現役にあった上、戦闘機の搭載兵装も機関銃が主であったことも大きな要因だった。
    しかし、1960年代になるとそうした「空中戦を知り尽くした」パイロットの多くが現役を去ったためにノウハウの伝承が断絶し、また、戦闘機の搭載兵装も空対空ミサイルが主となったこともあって、パイロットがミサイルに頼り切るようになってしまった。
    その結果、ベトナム戦争の初期にはこれが3:1にまで低下してしまうことになった。

    この調査結果を受け、失われた空中戦技術の再習得を目的として設立されたのが本校である。
    生徒には海軍航空隊のエビエーターから技量に優れた1%の人材が抜擢され、空中戦のノウハウを徹底して叩き込まれた。
    そしてこの訓練を終えた卒業生は原隊に復帰し、同僚に対して空中戦技術の教導を行った。
    結果、ベトナム戦争末期にはキルレシオが再び12:1に回復。その訓練が無駄では無かった事を実戦で証明した。

    ここから転じた慣用表現として、技量に優れたパイロットに敬意を込めて「トップガン」と呼ぶ場合もある*2

    関連:ランダル・H・カニンガム ベストガイ

  2. 1986年に公開された、1.を主な舞台とした映画のタイトル。
    トニー・スコット監督、主演トム・クルーズ。
    F-14エビエーターである、トム・クルーズ演じる「ピート・ミッチェル大尉(TACネーム:マーベリック)」のトップガンでの訓練、恋愛、訓練中での親友の死を乗り越え、実戦を通し、単なる孤高なエビエーターからチームワークを知る優秀なエビエーターへと成長してゆく姿を描く。
    ストーリーはありきたりであるものの、その迫力ある映像とサウンドは圧巻。
    米海軍のみならず、世界中で戦闘機パイロット志望の青年が増大した。

    最後のシーンで6機のMiGの内、4機が撃墜され、2機が離脱してゆく。
    なお、主人公の乗る機体はF-14、敵機はF-5扮するMiG-28という架空機体だった。

    関連:ベストガイ

*1 入校できる資格者は海軍の全エビエーター中で1%、という。
*2 これは本校に題材を取って1986年に製作された同名の映画「トップガン」の影響が大きい。

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