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人質救出作戦(HostageRescue,HR)とは、犯人によって拘束されている人質を救出するために行う作戦を言う。
人質事件は概ね建物や航空機、船舶、列車、自動車などの内部に籠城する状況で発生する。人質救出作戦では人質を無事救出することが第一の目的である。
*&ruby(ひとじちきゅうしゅつさくせん){【人質救出作戦】}; [#v58a3ee8]
Hostage Rescue(HR).~
~
犯罪者によって拘束されている人質を救出するために行われる[[特殊作戦]]。~
犯人を制圧・検挙し、人質を無事救出することが第一の目的とされる。

**典型的な手順 [#jb71e52c]

人質事件が発生した場合、警察はまず速やかに現場の包囲網を二重に敷く。内側の包囲網は犯人の逃走防止のためであり、外側の包囲網は作戦遂行の妨げとなるマスコミ、人質の家族、友人、野次馬を排除するためである。さらに狙撃手を視界が確保できる場所に配置し、指揮所を内側の包囲網のすぐ後方に設置しそこで陣頭指揮及び統制を取る。この段階でSOFを投入する計画も準備される。
典型的な人質救出作戦は以下の手順を踏まえて実施される。

次に現場を確保してからはネゴシエーターが犯人と電話で交渉に当たる。事件発生直後は犯人が興奮・発狂しており最も危険な状態にある。ネゴシエーターはこの間も犯人に話しかけ続け、犯人の精神の安定を図る。犯人が正常な精神の持ち主で説得に応じて投降すればこの段階で解決するが、もし精神が錯乱しているなどの理由で説得に応じられず平和的解決が困難な場合はSOFの投入により人質を実力行使して救出する。
***捜索 [#l6157d7a]

人質および犯人を捜索し、その所在地を確定させる。~
最初から事件現場が確定している状態で発覚する場合もあれば、行方不明者を捜索する過程で人質事件だと発覚する場合もある。~
~
捜索が完了次第に包囲に移るが、順調に進まない場合もある。~
犯人側から身代金や政治的主張などの要求などがあった場合、捜索が完了する前に交渉を始めざるを得ない。~
また、発見できないまま捜査が打ち切られて失踪として処理されたり、人質の遺体だけ発見されて犯人を特定できない場合もある。

人質に危害が加わった・またはその危険性が極めて高い・包囲網が攻撃を受けたなどの危険かつ深刻な事態に発展して初めて、SWATなどのSOFが突入し実力をもって犯人を排除し、人質を保護する。
突入する方法は以下の2パターンがある。
***包囲 [#t2625aee]

・⑴ステルス・エントリー
人質と犯人の所在を特定の建物・乗り物まで絞り込めた場合、その周囲を多数の警官隊(戦時なら[[軍隊]])で取り囲む。~
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この包囲網は内側・外側に二重に敷かれるのが通例。~
内側では犯人の逃走を防ぎ、危急の事態において犯人を射殺するための[[狙撃手]]を配置する。~
外側では現場を隔離し、[[マスコミ]]・人質関係者・野次馬・共犯者・[[テロリスト]]などによる作戦妨害を阻止する。

極秘裏にドアや窓から音を立てずに滑り込み、犯人のいる部屋で初めて銃を構え、「警察だ!武器を捨てておとなしくしろ!」などと大声で威嚇しつつ一斉に突入する。相手が単独犯であるときに使うことが多い。
***交渉 [#y8b7a417]
専門技術を持った交渉人が犯人と通信し、または現場に赴いて肉声で犯人と交渉する。~
~
特に重要なのは犯人の情緒的安定を図り、激情や絶望にかられて人質に危害を加えないよう慰撫する事である。~
また、時間が経過して犯人が冷静な現状認識を持った場合、[[投降>降伏]]を促して平和的解決を図る。~
~
人質への危害、包囲網への攻撃、強行突破など危急の事態に陥った場合、交渉は打ち切られて突入に移る。

・⑵ダイナミック・エントリー
***突入 [#y8f5b87a]
犯人と直接交戦し、人質に危害を加えられる前に迅速に無力化する。~
状況に応じて[[特殊部隊>特殊部隊(警察)]]による[[突撃]]・制圧と、[[狙撃手]]による射殺とが使い分けられる。

迅速性を要する場合や犯人が複数個所にいる場合に使われる方法で、SOFはそれぞれ担当を決めてドアや壁、窓を爆薬などを使って破る。この場合、電力会社の協力を得て事前に建物を停電させるなどの攪乱が行われる場合もある。
:隠密突入|秘密裏に至近距離まで接近した上で、大声で威嚇しながら一斉突入し、数秒ほどで全員を制圧する。~
犯人が単独犯であるか、犯人全員が一カ所にいて一網打尽に制圧できる場合に行われる。
:強行突入|[[扉・壁・窓などを破砕>ブリーチング]]して数箇所から一斉に突入、予め決められた経路を通って制圧・前進する。~
犯人が分散しているか所在不明な場合に実施され、隠密突入に比べて[[誤射]]や反撃による死傷の可能性が高い。
:[[狙撃]]|[[特殊部隊>特殊部隊(警察)]]の突入準備が整う前に突発的に危急の事態が生じた場合、犯人を即時無力化するために発砲する事がある。~
また、[[特殊部隊>特殊部隊(警察)]]が突入を仕損じた場合、現場から逃亡を試みる人間が射殺される場合もある。

当初決められた手順で各部屋スタングレネードや催涙ガス、拳銃や短機関銃などを使って掃討していき、人質の身柄を保護し、すべての犯人を発見・拘束もしくは射殺する。
全ての抵抗が掃討された時点で事後処理に移る。

事後処理としてすべての犯人が確認できない場合は徹底的に室内を検索し、人質を作戦の妨げにならないよう拘束してから移動させ、安全を確保し、身元を確認する。
人質の死傷はこの時確認し、必要があれば応急処置を行ったうえで救急搬送する。また事実確認を行い、突入したSOFの死傷者を収容して一般の警察に管轄を委ね、現場を保存しておく。
***事後処理 [#ma0af288]
現場を捜索して全ての人間を確保し、死傷者を応急処置・救急搬送する。~
このとき、現場内の人間は全て拘束し、安全確保した上で身元を確認する(人質に共犯者が紛れ込む場合があるため)。~
~
安全確保が完了した時点で現場を保存し、以降は一般警察(または[[憲兵]])による処理・検証に移る。


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