【迎え角】(むかえかく)

Angle of Attack (AoA)
主翼が受ける気流の角度のこと。
具体的には翼弦線(前縁と後縁を結んだ線)の方位と、対気速度ベクトルの方位とが成す角度である。
主として昇降舵により制御されるが、ピッチと同一のものではなく、また(機体に対して上下の)気流の影響を受けることにも注意する必要がある。

迎え角は、翼の揚力抗力を決定する重要なパラメーターである。迎え角が大きいと、一般に揚力抗力がともに増大する。
離着陸時など、翼の揚力が小さくなる低速状態では、迎え角を大きく取って揚力を増大させるとともに、抗力も増大させて速度を抑える。迎え角を大きく取りすぎると極端な速度低下や失速に至るおそれがあるため、かわりにフラップなどを使って一時的に揚力を増大させる。近年の飛行機では、過剰な迎え角を抑制するためのリミッター?を備えているものが増えている。
高速で飛行する際には迎え角を小さく取り、抗力を抑える。一般に速度が速ければ揚力も大きくなるため、迎え角を大きく取る必要はない。

また、迎え角は旋回をするためにも重要である。戦闘機ドッグファイトに求められるような、回転半径の小さな旋回をするためには、大きな迎え角を取る必要がある。
これもまた、大きすぎる迎え角による速度低下や失速フラットスピン?などへ陥る危険性を持つ。
T尾翼を持つF-104には、迎え角を制限するための「ノッカー」と呼ばれる機構が備えられていた。これは空力的な状態とは無関係に、機械的かつ強制的に昇降舵の舵角を戻すものであったため、かえって危険な状態になることも多く、パイロットには不評であった。

機体に求められる飛行特性に応じ、あらかじめ主翼を斜めに取り付けて、機体のピッチが小さくてもある程度の迎え角を得られるように設計される。低速用の機体ほど、この取り付け角が大きくなる傾向にある。
F-8のように、取り付け角が可変式のものも存在する。

迎え角を示すには一般的な「度」や「ラジアン」ではなく、「ユニット」と呼ばれる独自の単位を用いる。(ユニットという言葉自体が単位を意味するので、自家中毒的な表現ではあるが)
これはその数値を、翼が適切な揚力を得られるようにする目安とするためである。


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