Last-modified: 2023-06-15 (木) 21:31:36 (316d)

【通報艦】(つうほうかん)

Dispatch Boat(英)、Aviso(仏).

かつて存在した小型戦闘艦艇の一種で、海戦に至る前の前哨として斥候を行うための艦。

外洋航行能力を持つ小型艦艇に無線機を搭載し、敵艦隊の兵力構成・位置・予想針路などの偵察を行わせていた。
細分すると、艦隊に付属する「艦隊通報艦」と、海外領土や植民地を警備する「植民地通報艦」がある。

発見された際は撤退を念頭に置くため、船体はコルベットフリゲートに近い。
独立した「通報艦」という艦種を設けず、コルベットフリゲートを流用した場合も多い。

20世紀初頭、電信技術が改良され、無線機が艦艇の標準装備となると共に廃れていった。
現代でも海上偵察は必須の作戦行動だが、それはほぼ全ての艦艇で、または艦載機でも実行可能である。
ただし、現代でもコルベットフリゲートを通報艦として運用する向きはある。

主な通報艦

第二次世界大戦前・戦中

  • フランス
    • アミラル・ペレスヴァル
    • アラ級通報艦
    • マルヌ級通報艦
    • アンクル級通報艦
    • ブーゲンヴィル級通報艦
  • 日本
    • 八重山
    • 千島
    • 龍田
    • 宮古
    • 千早
    • 淀型
    • 鹵獲
      • 姉川(元ロシア帝国仮装巡洋艦(後に病院船)「アンガラ」)
      • 満州(旧ロシア帝国汽船(ロシア東清鉄道貨客船)「マニジューリヤ」)
      • 鈴谷(元ロシア帝国二等防護巡洋艦「ノヴィーク」)
  • イタリア
    • エリトリア
  • ドイツ
    • ローレライ
    • ヘラ
  • ポルトガル
    • アフォンソ・デ・アルブケルケ級通報艦

第二次世界大戦後

  • 護衛通報艦
    • フランス
    • ポルトガル
      • ジョアン・ベーロ級フリゲート(退役)
    • ウルグアイ
      • ウルグアイ級フリゲート(元コマンダン・リヴィエル級フリゲート「コマンダン・ブールデ」)

  • コチーニョ級シリーズ
    • ポルトガル
      • ジョアン・コニーチョ級コルベット
      • バッティスタ・デ・アンドラーデ級フリゲート
    • スペイン/エジプト/モロッコ
      • デスクビエルタ級コルベット
  • A69型
    • フランス
      • デスティエンヌ・ドルヴ級通報艦
    • アルゼンチン
      • ドゥルモンド級フリゲート*1
    • トルコ
      • B型コルベット


*1 3隻が就役しているが、うち2隻は当初、南アフリカ海軍向けの「グッド・ホープ」級として建造されていたものが、国連安保理決議418号に基づいた制裁措置により南アフリカへの輸出が差し止められた為、アルゼンチンが購入したもの。

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