Last-modified: 2024-02-23 (金) 16:53:37 (63d)

【ロータリー・レシプロエンジン】(ろーたりー・れしぷろえんじん)

航空黎明期に一時期用いられていた航空用レシプロエンジン空冷エンジンの一種。回転式エンジンとも。
第一次世界大戦後、エンジンの放熱に関する基礎技術が成熟すると共に廃れていった。

主軸を胴体に固定し、燃焼室ごとエンジン本体を回転させているのが特徴。
(一般的なレシプロエンジンはこれとは逆に燃焼室周りを固定し、主軸を回転させる)

エンジン自体が回転する事で多くの外気に触れ、効率よく冷却できる。
また、エンジン自体の回転が弾み車のように作用して負荷を緩和するため、エンジン全体を軽量化できる。

反面、エンジン全体を回転に耐えられるように設計すると内部機構が複雑化する。
また、重いエンジンの回転によるジャイロ効果が生じ、旋回に際して意図しない機体挙動を引き起こして操舵を阻害する。
特に離陸着陸時に機首を振り回すのは構造上の重大な欠陥であり、墜落・死亡事故を多発させた。
また、この欠点はエンジン自体が大重量・高回転であるほど深刻化するため、回転式エンジンで実装できる出力には事実上の上限があった。

第一次世界大戦後には、熱伝導率の高い素材、シリンダーとシリンダーヘッドの分離、緻密な冷却フィンなど放熱に関する諸発明が集積。
また、回転式では実現できないほど高出力のエンジンが求められた事もあり、以降の空冷エンジンは燃焼室を固定する方式に改められていった。


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