*&ruby(さいうん){【彩雲】}; [#qa882964]
中島 C6N「彩雲((虹色に輝く雲を意味する吉兆天象の事。[[瑞雲]]（ずいうん）、慶雲・[[景雲]]（けいうん）、[[紫雲]]（しうん）とも。))」。~
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[[第二次世界大戦]]中の1940年代、日本の中島飛行機製作所（現在の[[SUBARU]]）が開発し、[[日本海軍>日本軍]]に納入された[[艦上>艦上機]][[偵察機]]。~
[[アメリカ軍]]によるコードネームは「&ruby(マート){Myrt};」であった。~
また、第二次世界大戦当時の機体としては唯一の「[[航空母艦]]から運用される（純然たる）[[偵察機]]」でもあった。~
また、第二次世界大戦世代の機体としては唯一の「[[航空母艦]]から運用される（純然たる）[[偵察機]]」でもあった。~
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それまで、日本海軍では[[艦隊]]における前方海面の[[偵察]]には[[水上機]]や[[飛行艇]]・[[陸上攻撃機]]((この他、[[陸軍]]の[[九七式司令部偵察機]]の海軍型である「九八式陸上偵察機」も少数投入された。))が、[[航空母艦]]を擁する艦隊では[[艦上攻撃機]]が[[偵察機]]の役割を兼務するのが普通であった。~
>とはいえ、[[艦上>艦上機]][[偵察機]]が作られなかったわけではなく、大正時代には「一〇式艦上偵察機（C1M）」、昭和時代には「九七式艦上偵察機（C3N）」が製作されたこともあったが、それぞれ「一三式艦上攻撃機（B1M）」「[[九七式艦上攻撃機（B5N/B5M）>九七式艦上攻撃機]]」で代替された((これは、[[航空母艦]]の狭い格納庫スペースを有効活用するという理由では妥当な判断でもあった。))ため大量生産されなかった。
しかし、作戦海域が広大になるにつれて、[[航空母艦]]から発進して高速偵察を行える艦上偵察機が必要となり(([[艦上攻撃機]]には（敵目標発見後の戦闘に備えて）[[爆弾]]や[[航空魚雷]]を搭載するため、その分、速度が犠牲になっていた（当時の日本には、非力な1000馬力級エンジンしかなかった）。))、1942年の[[ミッドウェー海戦]]では[[艦上爆撃機]]として試作されていた[[彗星]]を「二式艦上偵察機」として採用するとともに、中島飛行機で「N-50」として試製が予定されていた機体を「十七試艦上偵察機」として発注することにした。~
しかし、作戦海域が広大になるにつれて、[[航空母艦]]から発進して高速偵察を行える（専任の）艦上偵察機が必要となり(([[艦上攻撃機]]には（敵目標発見後の戦闘に備えて）[[爆弾]]や[[航空魚雷]]を搭載するため、その分、速度が犠牲になっていた（当時の日本には、非力な1000馬力級エンジンしかなかった）。))、1942年の[[ミッドウェー海戦]]では[[艦上爆撃機]]として試作されていた[[彗星]]を「二式艦上偵察機」として採用するとともに、中島飛行機で「N-50」として試製が予定されていた機体を「十七試艦上偵察機」として発注することにした。~
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これにこたえ、中島は1942年6月から試作に着手。~
1943年に完成した試作機は速度性能を満たせなかったため、エンジンを改良するとともに層流翼などを取り入れた改良型は試験飛行時に639km/hの速度を記録し、当時の日本海軍航空機の中では最高速度を記録した。~
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1944年半ばに「艦上偵察機『彩雲』」として[[制式]]採用されたが、そのころには[[海軍]]の空母運用方針が変更されていたため、[[陸上基地>飛行場]]から運用する偵察機として用いられた。~
>デビュー当初、メジュロ環礁やウルシー環礁、サイパン島などへの偵察に出向いた際、本機がその高速性を生かして迎撃してきた[[F6F]]を振り切った際に打電したとされる「我に追いつく[[グラマン]]なし」((「我に追いつく敵機なし」とも。))という電文は有名である。
本来の用途である[[艦載機]]として挙げた戦果はないが、本機は戦争末期のマリアナ諸島東方や房総半島南方海域の[[哨戒>偵察]]に活躍している。~
>この頃、[[連合国軍>連合国（第二次世界大戦）]][[艦隊]]の探知に有効な手段が本機や特設監視艇による哨戒と強行偵察しかなくなっていた。
また、本機は高高度性能もよかったため、[[B-29]]迎撃用に斜め銃を搭載した機体も作られた。~
末期には本機の高速性能を生かした[[特攻機]]としての運用が考えられ、運用部隊として第723海軍航空隊が編成されたが、終戦により実施されなかった。~
末期には本機の高速性能を生かした[[特攻機]]としての運用が考えられ、運用部隊として[[第723海軍航空隊>スコードロン]]が編成されたが、終戦により実施されなかった。~
>なお、爆装状態では時速500km/hを出すのが精一杯だったと言われ、[[運動性]]も大きく下がり本機の高速性能を生かせなかった。
1945年8月の終戦時、本機は173機が本土に残存していた。~
これは総生産数398機の半数近い値である。~
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現在では[[夜間戦闘機]]型（C6N1-S）((終戦後、技術的評価のために日本からアメリカに送られた145機の1機。))がアメリカ・国立航空宇宙博物館に保存されている。~
日本ではミクロネシア・ウエノ島で回収した残骸が、河口湖自動車博物館・飛行館に保存されている他、[[エンジン]]のカウリング部分が愛知県半田市の部品メーカー輸送機工業(([[富士重工業>SUBARU]]の子会社。かつては[[中島飛行機>SUBARU]]の半田製作所であった。))で保存されている。~
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日本ではミクロネシア・ウエノ島で回収した残骸が、河口湖自動車博物館・飛行館に保存されている他、[[エンジン]]のカウリング部分が愛知県半田市の部品メーカー・輸送機工業(([[富士重工業>SUBARU]]の子会社。かつては[[中島飛行機>SUBARU]]の半田製作所であった。))で保存されている。~
**スペックデータ [#l3831214]
|乗員|3名|
|全長|11m|
|全高|3.96m|
|翼幅|12.5m|
|翼面積|25.5��|
|翼型|root：K151、tip：K159|
|空虚重量|2,968kg|
|総重量|4,500kg|
|最大離陸重量|5,260kg|
|[[発動機>エンジン]]|[[中島>SUBARU]] [[誉一一型>誉]][[空冷>空冷エンジン]]星型18気筒×1基（出力：1,991馬力/1,485kW）|
|[[プロペラ]]|ハミルトン定速3枚翅|
|最高速度|610km/h（高度6,100m）|
|[[巡航速度]]|390km/h|
|[[フェリー>回航]][[航続距離]]|5,300km（補助タンク付き）|
|[[上昇限度]]|10,470m|
|上昇力|6,000mまで8分9秒|
|[[翼面荷重]]|176kg/��|
|パワー/マス|0.33kW/kg|
|武装|一式7.92mm[[機関銃]](([[ラインメタル]][[MG15]] 7.92mm[[機関銃]]の[[ライセンス生産]]型。))×1挺（後方旋回）|
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**バリエーション [#z4054ee9]
-十七試艦上偵察機/試製彩雲（C6N1）：~
プロトタイプ。~
[[プロペラ]]は初期型は4枚翅だが、後期型は3枚翅のものが装備された。~
[[エンジン]]は[[誉ニ二型>誉]]を搭載（試作6号機は誉二一型を搭載）。~
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-彩雲一一型（C6N1）：~
量産型。[[誉二一型>誉]]（公称1,825馬力）発動機を搭載。~
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-彩雲二一型（C6N1-B）：~
[[雷撃機]]への転用型。計画のみ。~
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-彩雲一一型（夜間戦闘機型）（C6N1）：~
[[夜間戦闘機]]への改造型。~
斜銃として五式30mm機関砲×1門を搭載した型と九九式20mm機関砲×2門を搭載した型があった。~
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-試製彩雲改/彩雲一二型（C6N2）：~
4枚翅[[プロペラ]]、[[誉二四ル型>誉]][[発動機>エンジン]]（1,980馬力）を搭載した試作機。~
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-試製彩雲改一（C6N3）：~
高高度夜間戦闘機型。20mm連装機関砲を装備。計画のみ。~
高高度[[夜間戦闘機]]型。20mm連装機関砲を装備。計画のみ。~
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-試製彩雲改二（C6N4）：~
[[排気タービン]]付の[[三菱>三菱重工業]] [[ハ43一一ル型>ハ43]][[発動機>エンジン]]（2,200馬力）搭載型。~
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-試製彩雲改三（C6N5）：~
[[雷撃機]]への転用型。提案のみ。~
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-試製彩雲改四（C6N6）：~
機体を全木製化した型。計画のみ。部分木製化の計画もあった。~
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IP:2400:4150:4c2:7400:e0b7:a081:7805:7cd2 TIME:"2024-03-30 (土) 09:57:50" REFERER:"https://mmsdf.sakura.ne.jp/public/glossary/pukiwiki.php" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (Windows NT 10.0; Win64; x64) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko) Chrome/123.0.0.0 Safari/537.36"
