【MiG-21】(みぐにじゅういち)

旧ソビエトのミグ設計局が開発した小型戦闘機
NATOコードFishbed(フィッシュベッド)

MiG-15の改良型として設計され、アフターバーナー推力6.5トンのターボジェットエンジンを持つマッハ2級の機体。
中射程空対空ミサイルが装備できないもののAA-2AA-8短射程空対空ミサイルとGSh-23L 23mm機関砲を装備する。
ベトナム戦争ではアメリカ軍F-4と互角に戦いその高性能を見せ付けた。

1956年の初飛行以来、コピーを含めると13,000機を越える製造実績があり、中国やロシアでは小規模ながら改良型の生産が続いている。
使用国は旧ソビエトの連邦国を初めとする共産圏が主だが、冷戦期に大量に軍事援助として供与されたため、また冷戦崩壊後には多数の中古が流出したことから、わかっているだけでも40ヶ国近くの国で使用されている。
今となっては相当旧式な部類に入る機体であるが、大量に生産された事による調達の容易さや旧式ゆえに高度な整備技術が必要がないなど、小国においては貴重な空軍力となっている。
また、MiG-21の運用に慣れた国では独自に改修を施すなどして機体寿命の延長や性能を向上させていることから、当分の間は現役でありつづけると思われる。

現在の各国での保有数(2003年 推測)

  • アフリカ地域
    • アルジェリア空軍:57機(MiG-21PFM/bis/UB)
    • アンゴラ空軍:19機(MiG-21bis/UB)
    • コンゴ空軍:10機(MiG-21bis/UB)
    • エジプト空軍:40機(MiG-21PF/PFM/MF/UB)
    • エチオピア空軍:29機(MiG-21MF/UB)
    • ギニア空軍:5機(MiG-21PFM/UB)
    • リビア空軍:40機(MiG-21bis/UB)
    • マダガスカル空軍:8機(MiG-21bis/UB)
    • マリ空軍:10機(MiG-21MF/UB)
    • モザンビーク空軍:25機(MiG-21bis/UB)
    • ナイジェリア空軍:12機(MiG-21MF/UB)
    • ウガンダ空軍:6機(MiG-21bis/UB)
    • ザンビア空軍:13機(MiG-21MF/UB)
  • アジア地域:
    • カンボジア空軍:15機(MiG-21bis/UB)
    • インド空軍:235機(MiG-21-93/bis/M/MF/I/FL/UB)
    • 北朝鮮空軍:130〜160機(MiG-21PF/PFM/UB)
    • ラオス空軍:12機(MiG-21MF/UB)
    • シリア空軍:160機(MiG-21PF/MF/bis/UB)
    • ベトナム空軍:120機(MiG-21bis/UB)
    • イエメン空軍:58機(MiG-21MF/bis/UB)
    • イラク空軍:不明(MiG-21MF/bis/UB)
  • 東ヨーロッパ地域:
    • ブルガリア空軍:74機(MiG-21MF/bis/UB)
    • クロアチア空軍:28機(MiG-21bis/UB)
    • スロバキア空軍:44機(MiG-21MF/UB)
    • チェコ空軍:32機(MiG-21MF/UB)
    • ポーランド空軍:103機(MiG-21bis/M/MF/UB)
    • ポーランド海軍:21機(MiG-21bis/UB)
    • ルーマニア空軍:100機(MiG-21M/MF/UB・ランサーA/B)
    • セルビア・モンテネグロ空軍:30機(MiG-21bis/UB)
  • ユーラシア地域:
    • トルクメニスタン空軍:3機(MiG-21)
    • アゼルバイジャン空軍:不明(MiG-21)
  • 北アメリカ地域:
    • キューバ空軍:40機(MiG-21MF/bis/UB)

MiG-21の主な種類。

  • MiG-21F-13
    最初期型でレーダーを装備していない昼間戦闘機型。
    NR-30 30mm機関砲を装備している。

  • MiG-21PF
    TsD-30TP(RP-21)レーダーを装備したかわりに機関砲を装備していない全天候戦闘機型。

  • MiG-21PFS
    PF型に主翼フラップの吹き出しを加え、離着陸距離が短くなった型。
    R-11F2S-300エンジンを搭載。

  • MiG-21PFM
    レーダーをTsD-30TP(RP-21)に新型化し、GP-9機関砲が装備されたPFSの改良型。

  • MiG-21S
    燃料容量を増大し、パイロンを2個増設した型。
    新型のサプフィール22(RP-22)レーダーとR-11F2S-300エンジンを搭載。

  • MiG-21R
    背部燃料タンクを大型化し、胴体下面にセンサーポットを搭載した前線偵察機型。

  • MiG-21RF
    R型の輸出型でコックピットの下に偵察カメラを積んだ型。
    偵察ポットも搭載できる。

  • MiG-21SM
    S型の改良型で、エンジンをP-13-300に強化し機関砲もGSh-23 23mm機関砲にされた型。
    MiG-21シリーズの中で最も多くの機体が製作されたとされる。

  • MiG-21M
    SM型のダウングレード輸出型。
    電子機器能力が落とされ、レーダーは一世代前のRP-21MLを搭載している。

  • MiG-21SMT
    SM型の改良型で、胴体背部に大型の燃料タンクを装備し、ふくらみが大きくなっている。

  • MiG-21MF
    SMの輸出型だが、サプフィール22(RP-22)レーダーやR-13-300エンジンを搭載するなど能力は落とされていない。

  • MiG-21bis LAZUR
    エンジンやレーダーを強化したSM型の能力向上型。

  • MiG-21-93
    ロシアのミグが開発したMiG-21bisの近代化改修型。
    アビオニクスを改修した他HUDチャフフレアディスペンサーを追加装備。
    装備面ではR-77 RVV-AE(AA-12アッダー)中射程空対空ミサイル・R-27(AA-10アラモ)中射程空対空ミサイル・AA-11アーチャー短射程空対空ミサイル・Kh-25(AS-10MPカレン)?対レーダーミサイル・Kh-31P(AS-17Pクリプトン)?対レーダーミサイルKh-35(AS-20ウラン)?空対艦ミサイル・Kh-17(AS-17Aクリプトン)?空対艦ミサイルKAB-500Kr?TV誘導爆弾等を運用出来るようになった。
    現在ではインドが既にロシアと契約を交している。

  • MiG-21U
    複座の練習機型。NATOコードモンゴルA。

  • MiG-21US
    U型に吹き出しフラップを追加した型。NATOコードモンゴルB。

  • MiG-21UM
    US型の能力向上型、翼下パイロンを装備し電子機器が改良されている。

  • MiG-21-2000
    イスラエルIAI社による近代化改修型。
    MiG-21-93と同等の改修がされているが、アビオニクスは西側規格である。

  • MiG-21FL
    インドでライセンス生産された型、性能はPF型と同じ。

  • ランサーA
    ルーマニア軍所属MiG-21MFの近代化改修型。
    対地攻撃用に使用され、アビオニクスはエルビット社・アエロスター社が担当。精密誘導兵器の搭載が可能となった。

  • ランサーB
    ルーマニア軍所属MiG−21UM/USの近代化改修型。
    ランサーAの機種転換訓練機として使用され性能はランサーAと変わらない。

  • ランサーC
    ルーマニア軍所属MiG-21MFの近代化改修型。
    防空用の迎撃専用機として使用されロシア製AA-11アーチャーやイスラエル製パイソン3と言った短射程空対空ミサイルを搭載できる。

  • ランサーIII
    エルビット社・アエロスター社が現在提案しているMiG-21bisの近代化改修型。

  • MiG-21PD
    試作V/STOL機。

  • 西安殲撃7
    F型の中国でのコピー型。詳しくは殲撃7項を参照。

  • L-17
    ユーゴスラビア軍?使用の型で、性能面はMiG-21bisとほぼ同じだがチャフフレアディスペンサーを追加装備している。

  • LN-16
    L-17の複座型、性能面はMiG-21UMと同じ。

    MiG-21.jpg

Photo:Russia Air Force

関連:MiG-15 MiG-19 殲撃7


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