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*&ruby(えむえすよんまるろく){【MS.406】}; [#hfbf465f]
Morane-Soulnier M.S.406.~
*&ruby(えむえすきゃとるさんしす){【MS.406】}; [#hfbf465f]
Morane-Soulnier M.S.406((MS406))~
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フランスのモラン・ソルニエ((モラーヌ・ソルニエと読むことがある。))が[[第二次世界大戦]]前に開発した[[戦闘機]]で、同大戦中のフランス空軍の主力機であった。~
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フランスのモラン・ソルニエ((日本語表記は一定しておらず、モラーヌ・ソルニエなどと呼ばれることもある。))が[[第二次世界大戦]]期に開発した[[単発]][[レシプロ]][[戦闘機]]で、同大戦中の[[フランス空軍>フランス軍]]の主力機。~
**開発 [#e200c3bb]
フランス航空省の空軍近代化計画から1934年7月に提示された単座戦闘機の仕様に基づき、モラン・ソルニエで試作された「MS.405」は1935年8月に[[初飛行]]した。~
設計は[[低翼]]で[[単葉>単葉機]]、引き込み脚、密閉[[風防]]等の先進的な点と、[[羽布>布]]張りの後部胴体等の旧来的な点が組み0合わさったもので、イスパノ・スイザ製[[液冷エンジン]]を搭載、そのモーターカノン武装として20mm機関砲が装備された。~
設計は[[低翼]]で単葉、引き込み脚、密閉[[風防]]等の先進的な点と、[[羽布>布]]張りの後部胴体等の旧来的な点が組み合わさったもので、イスパノ・スイザ製[[液冷エンジン]]を搭載、そのモーターカノン武装として20mm機関砲が装備された。~
また、上下可動式のラジエーターが特徴的であったが構造が複雑となり、整備性を損ねた。~
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1936年7月の他社製機との比較試験により採用が決定したMS.405は1937年4月から先行量産型として少数が生産されたが、1938年にはエンジンを換装した「MS.406」が登場、主要な生産型となった。~
運用中、20mm機関砲の信頼性不足や高高度での飛行性能低下、武装の凍結、エンジンの冷却不足等様々な問題が判明した。また、周辺国の近代的戦闘機が1,000馬力級エンジンを搭載する中、本機にはそれがなかったため、性能は見劣りするものとなっていった。~
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それでも、[[第二次世界大戦]]序盤、ドイツによるフランス侵攻が始まると、[[ルフトバッフェ]]主力戦闘機[[Bf109E>Bf109]]に対して速度性能で大きく劣りながらも[[運動性能>運動性]]で勝り、空中戦で十分な戦果を挙げた。~
運用中、20mm機関砲の信頼性不足や高高度での飛行性能低下、武装の凍結、エンジンの冷却不足等様々な問題が判明した。~
また、周辺国の近代的戦闘機が1,000馬力級エンジンを搭載する中、本機にはそれがなかったため、性能は見劣りするものとなっていった。~
**戦史 [#j8b7282a]
[[第二次世界大戦]]序盤、ドイツによるフランス侵攻が始まると、[[ルフトバッフェ]]主力戦闘機[[Bf109E>Bf109]]に対して速度性能で大きく劣りながらも[[運動性能>運動性]]で勝り、空中戦で十分な戦果を挙げた。~
しかし、地上戦で大敗したフランスは[[降伏]]、本機は多数が地上で破壊された。~
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一方、フランス侵攻以前に輸出や[[ライセンス生産]]契約によって本機を入手したフィンランドやスイス等の中立国では戦中を通して運用された。~
以降も残存機は引き続きナチス傀儡政権のヴィシーフランスやクロアチアで、フランス侵攻以前に輸出や[[ライセンス生産]]契約によって本機を入手したフィンランドやスイスでは戦中を通して運用された。~
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特に、フィンランドではMS.406にソ連のラヴォーチキン[[LaGG-3]][[戦闘機]]から[[鹵獲]]したクリーモフ[[M-105P>M-105]]（1,100PS）((イスパノ・スイザ系列エンジンのため互換性があった。))エンジンを搭載、ラジエーターの改変及び固定化、モーターカノン武装の装備変更等の改造を施した「メルケ((フィンランド語で「お化け」の意。))・モラーヌ（Mörkö Morane）」もしくは「ラグ・モラーヌ(([[LaGG-3]]と同じエンジンを搭載したことから。))」が運用された。~
原型から200[[馬力]]以上のエンジン出力強化がなされたことで最高速度は525km/h、[[上昇率]]は25m/s、実用上昇限度12,000mと大きな性能向上を果たした本機は、MS.406系列の機体で最高の性能を発揮した。~
フィンランドではMS.406/410にソ連のラヴォーチキン[[LaGG-3]][[戦闘機]]から[[鹵獲]]したクリーモフ[[M-105P>M-105]]((イスパノ・スイザ系列エンジンのため互換性があった。))エンジンを搭載、ラジエーターの固定化、モーターカノン武装の変更等、大改造を施した「メルケ((フィンランド語で「お化け」の意。))・モラーヌ（Mörkö Morane）」もしくは「ラグ(([[LaGG-3]]と同じエンジンを搭載したことから。))・モラーヌ（LaGG Morane）」が運用された。~
原型から200[[馬力]]以上のエンジン出力強化がなされたことで性能は大きく向上した。~
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全ての型式を合計した総生産数はフランス製造のもので約1,176機、スイス製造のもので約300機となる。~
**スペックデータ [#x96400cd]
|型式|CENTER:''MS.406''|
|乗員|1名|
|全長|8.17m|
|全高|3.25m|
|翼幅|10.61m|
|翼面積|16��|
|空虚重量|1,895kg|
|全備重量|2,540kg|
|[[エンジン]]|イスパノ・スイザ 12Y-31 [[液冷>液冷エンジン]]V型12気筒×1基|
|出力|離昇830PS/610kW（2,520rpm、海面上）&br;760PS/567kW（定格出力2,400rpm、海面上）&br;公称860PS/641kW（定格出力2,400rpm、高度3,150m）|
|[[エンジン]]|イスパノ・スイザ12Y-31[[液冷>液冷エンジン]]V型12気筒×1基|
|出力&br;(仏[[馬力]]/キロワット)|離昇830PS/610kW（2,520rpm、海面上）&br;760PS/567kW（定格出力2,400rpm、海面上）&br;公称860PS/641kW（2,400rpm、高度3,150m）|
|[[燃料]]消費率|0.265kg/kWh|
|オイル消費率|0.008kg/kWh|
|[[プロペラ]]|3翅可変ピッチプロペラ（プロペラ直径：3m）&br;Chauvière 351M（MS.406 C1）&br;Ratier 1607（プロペラ直径：3.1m）（MS.406 C1）&br;イスパノ・スイザ 270（プロペラ直径：3.1m）（D3801）&br;Śmiglo WiSz 61P（プロペラ直径：3m）（MSv Mörkö Morane）|
|[[プロペラ]]|ショウヴィエール 351M（可変3翅、直径3.0m）|
|~|ラティエ 1607（可変3翅、直径3.1m）|
|最高[[速度]]|452km/h（高度2,000m）&br;483km/h（高度4,000m）&br;490km/h（高度4,500m）&br;476km/h（高度6,000m）&br;440km/h（高度8,000m）|
|[[失速]]速度|160km/h&br;135km/h（[[フラップ]]展開時）|
|[[航続距離]]|1,100km（スロットル66％開）|
|[[戦闘行動半径]]|720km|
|実用上昇限度|高度9,400m|
|[[実用上昇限度>上昇限度]]|9,400m|
|飛行時間|2時間20分30秒（平均的な戦闘任務）|
|[[上昇性能>上昇率]]|2,000mまで2分32秒（13.16m/s）&br;4,000mまで5分16秒（12.66m/s）&br;4,500mまで6分16秒（11.97m/s）&br;6,000mまで9分3秒（11.05m/s）&br;8,000mまで14分52秒（8.97m/s）&br;9,000mまで21分37秒（6.94m/s）|
|[[翼面荷重]]|159kg/��|
|[[馬力荷重]]|249W/kg|
|[[離陸]]/[[着陸]]滑走距離&br;（高度8m基準）|270m/340m|
|武装|モーターカノン：イスパノ・スイザHS.404 もしくは HS.9 20mm[[機関砲]]×1門&br;（装弾数60発）&br;翼内：MAC 1934 7.5mm[[機銃]]×2挺（装弾数各300発）|
|>|固定武装|
|モーターカノン|イスパノ・スイザ HS.404/HS.9 &br;20mm[[機関砲]]×1門（装弾数60発）|
|翼内|MAC1934 7.5mm[[機銃]]×2挺（装弾数各300発）|
~
**{【主要な型式】}; [#p3cefb7b]
-MS.405 : ~
木金混合の試作機で、一号機はイスパノ・スイザ Ygrs (860PS)を搭載し、二号機はイスパノ・スイザYcrs (900PS)を搭載、443km/hを発揮した。~
生産機の一部は第二次世界大戦時にも戦闘機として運用された。
|型式|CENTER:''メルケ・モラーヌ''|
|乗員|1名|
|全長|8.17m|
|全高|3.25m|
|翼幅|10.61m|
|翼面積|16��|
|空虚重量|2,210kg|
|全備重量|2,787kg|
|エンジン|クリーモフM-105P[[液冷>液冷エンジン]]V型12気筒|
|出力&br;(仏[[馬力]]/キロワット)|離昇1,100PS/809kW|
|プロペラ|スミロ WiSz 61P（可変3翅、直径3.0m）|
|最高速度|510km/h（高度4,000m）|
|[[上昇率]]|17m/s（0〜3,000mまで）|
|[[翼面荷重]]|174kg/��|
|[[馬力荷重]]|290W/kg|
|武装|モーターカノン：MG151/20 20mm機関砲×1門（装弾数150発）&br;もしくは ベレジンUB 12.7mm機関銃×1挺&br;翼内：MAC1934 7.5mm[[機銃]]×2/4挺&br;（装弾数各300/500発、原型の型式によって搭載数と装弾数が異なる）|
~
-MS.406 : ~
主翼軽量化、可動ラジエーターの改設計等を行った本格量産型。生産途中から生産途中でイスパノ・スイザ 12Y-31 (860PS)搭載機が登場した。~
**主要な型式 [#d5069546]
''フランス''~
-モラン・ソルニエ~
--MS.405 : ~
試作機。~
木金混合型が2機製造され、一号機はイスパノ・スイザ Ygrs（出力860PS）を搭載、二号機はイスパノ・スイザYcrs（出力900PS）を搭載して443km/hを発揮した。~
15機の生産機は第二次世界大戦時にも戦闘機として運用された。~
~
--MS.406 : ~
主翼の軽量化、可動ラジエーターの改設計等を行った本格生産型。~
生産途中から生産途中でイスパノ・スイザ 12Y-31（出力860PS）搭載機が登場した。~
急降下での速度は730km/hに達した。~
~
-MS.410 : ~
MS.406の運用中に判明した問題点をフィードバックした機体で、主翼強度向上、可動式ラジエーターを廃して固定化、翼内機銃をベルト給弾化して計4挺へ変更、機銃の凍結を防ぐ機構、エンジン排気を推力に組み込める排気管への改装など、多彩な変更点か存在する。~
最高速度は509km/h(高度4,000m)を発揮したが、ドイツの侵攻により少数生産に終わった。~
--MS.410 : ~
MS.406の運用中に判明した問題点をフィードバックした機体。~
主翼強度の向上、可動式ラジエーターを廃して固定化、翼内機銃をベルト給弾化して計4挺へ変更、機銃の凍結を防ぐ機構、エンジン排気を推力に組み込める排気管への改装など、多彩な変更点か存在する。~
最高速度は509km/h（高度4,000m）を発揮したが、ドイツの侵攻により少数生産に終わった。~
~
--MS.411 :~
イスパノ・スイザ 12Y-45（出力1,000PS）搭載の試作機。一機のみ生産。~
~
--MS.412 :~
イスパノ・スイザ 12Y-51（出力1,050PS）搭載の計画機。~
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--MS.450 :~
イスパノ・スイザ 12Z（出力1,300PS）搭載の試作機。MS.410原型の一機のみ生産。~
~
--MS.430 :~
複座練習機。~
サルムソン9AG（出力390PS）[[空冷>空冷エンジン]]星型9気筒エンジンを搭載。~
~
--MS.435 :~
複座練習機。~
ノーム・ローン9K「ミストラル」（出力550PS）空冷星型9気筒エンジンを搭載。~
~
''スイス''~
-ドフルグ~
--D-3800 :~
1939年11月に完成したスイス・EKW社での[[ライセンス生産]]機。~
MS.405と同様の主翼設計ながら、搭載エンジンはMS.406のイスパノ・スイザ12Y-31を搭載、翼内武装のMAC機銃はスイス国内で生産されるベルト給弾式のフリーガーMG29 7.5mm機銃に換装されている。~
また、[[主翼]]下のドラム弾倉による膨らみを無くしたことで、空気抵抗が軽減、機銃の凍結問題が解決された。最高速度は443km/h。~
1944年まで残存していた機体はエンジン以外の部分がDH-3801の仕様へ改装された。~
終戦後は[[練習機]]として1954年まで使用された。~
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--D-3801 :~
スイスの独自改良機体。スイス・ドルニエ社→ドフルク社で生産。~
MS.412の計画に沿ってイスパノ・スイザ12Y-51 (出力1,060PS) を搭載、プロペラをイスパノ・スイザ 270（可変3翅、直径3.1m）としながらも、MS.411の設計を取り込み、D-3800と同様に翼内武装を国産のものに変更した。~
1941年に量産を開始し、500km/hの最高速度を発揮した。~
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--D-3802 :~
MS.450の計画をスイスが独自に進行させ、サウラーYS-2（出力1,250PS）エンジンを搭載した機体。~
運用上の欠点がいくつかあったものの、1944年に試作機が[[初飛行]]し、574km/hの最高速度を発揮した。少数生産。~
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--D-3803 :~
サウラーYS-3（出力1,500PS）エンジンを搭載し、風防から胴体後部の設計を大きく変更して後方視界を広げ、翼内武装をH.S.404 20mm機関砲×2門に換装、200kgまでの爆弾、ロケットの搭載を可能とした試作機。~
最高速度は630km/hを発揮したが、[[P-51D>P-51]]導入の目処がついたため開発は中止された。~
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''フィンランド''
-航空機設計者アーネ・ラコモア（Aarne Lakomaa）
--メルケ・モラーヌ/ラグ・モラーヌ :~
冬戦争の際にフランスから送られたものと、フランスを征服したドイツとの協力関係によって手に入れた46機のMS.406、11機のMS.410のうち1944年まで残存していた機体を原型として、ソ連のイスパノ・スイザ系エンジンのクリーモフ[[M-105P>M-105]]（出力1,100PS）をエンジン周辺の新規設計の上に搭載、モーターカノン武装をドイツの[[MG151/20>MG 151]] 20mm[[機関砲]]かソ連のベレージン[[UB]] 12.7mm[[機関銃]]へ換装、MS.406原型機のラジエーター固定化、オイルクーラーを同時期に運用していた[[Bf109G>Bf109]]のものと同一とする等、大規模な改造を施した機体。~
資料によってカタログ性能は異なるが、おおむね最高速度は500km/h台前半、実用上昇限度は12,000m周辺、上昇性能は15m/s〜25m/s程度に向上した。~
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