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【MICA】 †
フランスのマトラ社(現MBDA)が開発した中・短射程空対空ミサイル。
中射程空対空ミサイルのR-530シリーズ、短射程空対空ミサイルのR-550の後継として1982年から開発が開始された。
名称はMissile d'Interception, de Combat et d'Autodéfense(要撃、戦闘および自衛用ミサイル)の頭文字を取って作成されているアクロニムである。
タイプには短射程用の赤外線誘導型(MICA IR)と中射程用のアクティブレーダー誘導型(MICA EM)の2種類があり、どちらも誘導面以外は同じ機体構造で、整備面では複数の種類のミサイルを装備せずに済むため有利になった。
だが、結果的に短射程空対空ミサイルとしてやや大きく、中射程空対空ミサイルとしてはやや小型という中途半端な大きさになってしまった。
しかし、中途半端な大きさの分、このミサイルには中間飛翔時の慣性誘導システムを中射程用のアクティブレーダー誘導型だけではなく、短射程用の赤外線誘導型にも備えており、射程は短射程用としては長いが、中射程用として見れば世界の最新中射程空対空ミサイルと比べると少し短い。
誘導面については、赤外線誘導型はオールアスペクト発射能力を持っており、シーカーにはデコイが発射したフレアを不適正目標として無視する対妨害対策能力を備えている。
また、シーカーは大気の条件が良ければ60km先の目標を探知できる感度を持つため、IRSTのように使用することもできる。
さらに、発射母機が「走査中追跡」機能を持つ機体の場合、複数のMICAを数個の目標に対しても発射出来る。
なお、近年オフボアサイト能力・ヘルメット・マウンテッド・サイト能力を追加装備すると言う計画があったが詳しい事は分かっていない。
アクティブレーダー誘導型の場合は、極度に強い電波妨害下でも使用でき、撃ちっ放し能力を持つため、発射母機は機動を制限されることなく攻撃や離脱ができる。
また、発射後の目標選定及び母機とのリンクによる中間指令誘導が可能である他、ミサイル自体が目標を決定することも可能となっており、その誘導性能はAIM-120に匹敵すると言われている。
実戦配備は1997年からでフランス軍のミラージュ2000-5用に、その後中華民国に少数輸出された。
現在ではカタール、アラブ首長国連邦、ギリシャで採用されている。
また、地対空/艦対空ミサイル型としてVLS発射型であるVL MICA及びVL MICA-M(VL MICA NAVAL)が開発され、オマーンの警備艇に12セルの搭載が予定されている。
内側パイロンの4発はMICA、外側パイロンの2発はR-550。
Photo :中華民国国防部(台湾)
スペックデータ †
全長 | 3.10m |
直径 | 16cm |
翼幅 | 48cm |
発射重量 | 112kg |
推進方式 | 固体推進ロケットモーター |
最大速度 | 空中発射:マッハ4 垂直発射:マッハ3 |
射程 | 空中発射:500m〜80km 垂直発射:1〜20km |
飛行高度 | 0〜9km(垂直発射) |
G限界 | 50G |
弾頭 | HE 破片弾頭 |
弾頭重量 | 12kg |
信管 | 近接及び直撃 |
誘導方式 | 中間誘導:慣性誘導+データリンク 終末誘導: Jバンド・アクティブレーダー誘導(MICA EM/RF) 赤外線画像誘導(MICA IR) |
発射プラットフォーム | 水上艦艇 地上発射機 ラファール ミラージュ2000 ミラージュF1 F-16E Block60 Su-30MKI |
バリエーション †
- MICA EM(MICA RF):
アクティブレーダー誘導型。
- MICA IR:
画像赤外線誘導型。
- VL MICA RF:
アクティブレーダー誘導の地対空ミサイル型。
- VL MICA IR:
画像赤外線誘導の地対空ミサイル型。 - VL MICA-M RF:
海軍向けアクティブレーダー誘導型。VLSから発射可能。
- VL MICA-M IR:
海軍向け画像赤外線誘導型。VLSから発射可能。
- MICA NG:
2018年に開発が発表された発展型。
赤外線誘導型はより高い感度を提供するマトリクスセンサー、電波誘導型はAESAを採用する予定。