*&ruby(えんめちーどぅえちぇんとどぅーえ){【M.C.202】}; [#jccda4f5]
Macchi M.C.202 (C.202) "Folgore"~
~
[[第二次世界大戦]]期にマッキが開発、[[イタリア空軍]]で運用された[[単発>単発機]][[単葉]]、[[引き込み脚]]を備える[[レシプロ>レシプロエンジン]][[戦闘機]]。「C.202」とも呼称される。~
愛称の「''&ruby(フォルゴーレ){Folgore};''」は「稲妻」の意。~
名称の"M"はマッキ(Macchi)、"C"は設計士のマリオ・カストルディ(Mario Castoldi)を意味する。~
**開発 [#y39b2ec3]
1930年代後期、[[イタリア空軍]]で最も先進的な機体として実用化していた「[[M.C.200]]」戦闘機のエンジンをより高出力なものに換装、性能向上を計って開発された。~
試作機は1940年8月に初飛行、良好な飛行性能を発揮し制式採用が決定、生産が開始された。~
**特徴 [#hc7ca0fd]
-''エンジン''~
ドイツのダイムラー・ベンツ社製[[液冷エンジン]]「[[DB 601 Aa>DB 601]]」、もしくは同エンジンのアルファロメオ社製ライセンス生産版「R.A.1000 R.C.41-I」を搭載する。~
これらのエンジンは高度4,100 mで出力1,000 PSを発揮した。~
ラジエーターオイル冷却用の吸気口は機首下部と胴体下部に配置されている。~
~
-''主翼''~
主翼厚は原型機のM.C.200と同様に薄く、速度性能の向上に貢献した一方で、高速飛行中の旋回で失速しやすいという欠点があった。~
また、プロペラによって発生するトルクモーメントを抑えるための設計として左の主翼が右の主翼と比較して21cm長くなっている。~
~
-''武装''~
初期型で機首部12.7mm機銃×2挺、後期型で翼内7.7mm機銃×2挺が加えられたものの、同時期の単発戦闘機としては貧弱な武装であり、[[搭乗員>エビエーター]]達に不評だった。~
また、前線では威力の期待できない 7.7mm機銃を非搭載とし機体重量を軽減、飛行性能を向上させようとする事例があった。~
~
-''無線機''~
信頼性が低く、基本的には取り外された状態で運用された。~
このため、機体間の意思疎通は[[第一次世界大戦]]期と同様に手や旗を使って実施された。~
**戦史 [#zbdf6977]
試作機は1940年8月に初飛行、翌年の1941年5月ごろからイタリア空軍に配備が開始されたが、初期の運用で発覚した尾翼操舵の欠陥、異常振動、可変プロペラの非稼働、防塵フィルターの不備、酸素供給装置の不具合などの問題を解決するため、しばらくの間は前線に送られなかった。~
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1941年後期からは地中海や北アフリカで実戦投入され、[[ハリケーン]]や[[P-40]]によって構成される[[連合軍>連合国（第二次世界大戦）]]航空部隊を優れた飛行性能で圧倒、同時期の戦果損害比は最大で22:1に達した。~
>北アフリカで活動していたRAF戦闘機隊の隊長で、[[P-40]]に搭乗していたデニス・H・クラーク(Dennis Harry Clark)はM.C.202の性能について「'''P-40に対し、全面的に優位であった。'''」と評している。~
その後も[[スピットファイア Mk.V>スピットファイア（戦闘機）]]や[[P-38]]に対して互角以上の戦果を挙げ続けたが、戦局は次第に[[枢軸国]]側の不利となり、戦線後退に伴う撤退中に多数の稼働機が放棄された。~
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1943年には[[DB 605]]相当のエンジンを搭載の発展型「M.C.205」が実用化したものの、連合国軍によるイタリア本土への大規模空襲により工場の生産能力が低下、1943年9月のイタリア降伏時点で残存していたM.C.202は総生産数1,150機中186機((内稼働機は約100機。))となっていた。~
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休戦後は枢軸国のイタリア国家空軍、[[ルフトバッフェ]]（ドイツ）及びクロアチア空軍、連合国のイタリア共同交戦空軍（イタリア王国）でM.C.205と併せて引き続き運用された。~
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戦後はイタリア空軍で練習機として1947年まで運用された。~
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**性能諸元 [#o46b1ba6]
|型式|CENTER:M.C.202|
|乗員|CENTER:1名|
|全長|CENTER:8.85 m|
|全幅|CENTER:10.58 m|
|全高|CENTER:3.49 m|
|翼面積|CENTER:16.82 ��|
|空虚重量|CENTER:2,491 kg|
|全備重量|CENTER:2,929 kg|
|[[エンジン]]|CENTER:R.A.1000 R.C.41-I [[液冷>液冷エンジン]]倒立V型12気筒×1基|
|出力|CENTER:1,175 PS / 863 kW @ （海面高度、連続1分）&br;1,050 PS / 735 kW（高度4,100 m、連続30分）|
|最高速度|CENTER:600 km/h（高度5,600 m）&br;498 km/h（海面高度）|
|巡航速度|CENTER:430 km/h（高度6,498 m）|
|[[上昇率]]|CENTER:18.1 m/s|
|[[実用上昇限度>上昇限度]]|CENTER:11,500 m|
|[[翼面荷重]]|CENTER:174 kg/��|
|[[馬力荷重]]|CENTER:294 W/kg|
|航続距離|CENTER:765 km（通常）|
|>|CENTER:固定武装|
|機首|ブレダ-SAFAT 12.7mm機銃×2挺（各400発）|
|翼内|ブレダ 7.7mm機銃×2挺（各500発）|
|>|CENTER:追加装備|
|翼下|50 / 100 / 160 kg爆弾×2発|
|~|100 / 150 L[[増槽]]×2基|
**型式 [#w7547845]
-M.C.202（1機）~
試作機。武装は機首部にブレダ-SAFAT 12.7mm機銃×2挺。格納式尾輪。~
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--serie I（100機）~
1941年7月から1942年4月までブレダ社で生産。基本的には試作機と同等だが、固定式尾輪。~
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--serie II（10機）~
1941年5月から1942年4月までマッキ社で生産。serie Iと同等。~
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--serie III / M.C.202AS（140機）~
1941年5月から1942年4月までマッキ社で生産。ASは北アフリカを意味する「Africa Settentrionale」の略。~
エンジン吸気口に砂塵対策の防塵フィルター装備。~
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--serie IV（50機）~
1941年11月から1942年8月までSAIアンブロジーニ社で生産。serie IIIと同等。~
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--serie V（50機）~
1942年5月から1942年7月までSAIアンブロジーニ社で生産。サン・ジョルジアC型光学式照準器装備。~
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--serie VI（50機）~
1942年春にブレダ社で生産。~
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--serie VII / M.C.202CB（100機）~
1942年4月から1942年7月までマッキ社で生産。CBは戦闘爆撃機を意味する「Caccia Bombardiere」の略。~
翼内にブレダ 7.7mm機銃×2挺が搭載され、翼下に160kgまでの爆弾×2発、もしくは150Lまでの増槽×2基が装備可能となった。~
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--serie VIII（50機）~
1942年4月から1942年7月までブレダ社で生産。~
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--serie IX（100機）~
1941年9月から1942年2月までブレダ社で生産。~
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--serie X（100機）~
1942年7月から1942年9月までブレダ社で生産。~
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--serie XI（150機）~
1942年11月から1943年4月までブレダ社で生産。水平尾翼の設計が変更された。~
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--serie XII（150機）~
1943年5月から1943年9月までブレダ社で生産。serie XIと同等。~
~
-M.C.202EC（5機）~
武装強化型。~
ECは機関砲試験型を意味する「Esperimento Cannoni」の略。~
翼内7.7mm機銃及び翼下の追加装備を廃し、ドイツ製20mm機関砲 MG 151/20×2門を翼下に懸架方式で搭載した。搭載弾数は1門あたり200発。~
試作のみ。~
~
-M.C.202RF（不明）~
偵察機型。~
RFは偵察機を意味する。~
ごく少数機が生産された。~
~
-M.C.202D（1機）~
試験型。~
ラジエーター吸気口を機首下部に開口した。(([[P-40]]と類似する。))~
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-M.C.202 AR.4（1機）~
[[SM.79]]爆撃機の無人特攻機を運搬する発射母機型((ドイツの[[ミステル]]に類似する。))。試作のみ。~
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-[[M.C.205]]（262機）~
発展型。~
1,475 PSを発揮するドイツのダイムラー・ベンツ社製[[液冷エンジン]]「[[DB 605>DB 605]]」、もしくは同エンジンの社製ライセンス生産版「RA.1050 R.C.58 ティフォーネ((Tifone：台風、ハリケーンの意。))」を搭載する。~
主要生産型のヴェルトロは最高速度642 km/h（高度7,200m）を発揮した。~
