【Il-38】(あいえるさんじゅうはち)

1960年代、旧ソ連のイリューシン設計局が開発・生産した四発ターボプロップ対潜哨戒機
NATOコードは「May(メイ)」。

機体は同時期に生産されていたターボプロップ旅客機Il-18をベースにしている*1が、重心位置の変更に伴って主翼は前寄りに取り付けられた。
胴体後端にはMADブーム、機首下部にはマッシュルーム型のレドームが張り出しており、機体各所にESMのアンテナがつけられていた。
武装は対潜魚雷爆雷機雷などをウェポンベイソノブイと共に搭載している他、翼の下にKh-35空対艦ミサイルを搭載することも可能である。

本機の開発は1961年に始まり、1967年から実戦投入された。
西側に存在が知られたのは1970年のことで、当時は北大西洋やバルト海を哨戒していたが、時にはイエメンやリビア、シリアなどの中東にも派遣されていた。
近年では日本近海にも派遣されており、航空自衛隊機によるスクランブルを受けたこともある。

本機と類似のルーツを持つアメリカのP-3は、世界20か国以上に輸出されているが、本機を採用したのはソ連/ロシア海軍以外ではインド海軍のみであった。


*1 これはアメリカのロッキードP-3と似ているため、「ロシアン・オライオン」とも呼ばれていた。

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