*&ruby(でーべーぜくすはんだーとふゅんふ){【DB605】}; [#je5b8a43]
Daimler-Benz DB605.~
~
ドイツのダイムラー・ベンツで開発、製造された航空機用[[液冷>液冷エンジン]]V型12気筒エンジン。~
主に[[第二次世界大戦]]期の[[ドイツ空軍>ルフトバッフェ]]主力[[戦闘機]]である[[Bf109]]後期型に搭載された。~
また、ドイツの同盟国、友好国であったイタリアやスウェーデンでは[[ライセンス生産]]、ルーマニアやフィンランドには供与機に搭載され、各国で運用された。~
~
基本設計は[[DB601>DB 601]]のものながら、シリンダー内径を4mm拡大、排気量を増加することやその他改設計で、原型と遜色ないサイズのまま(重量は増えている)最大回転数を増加し出力向上を果たしている。~
しかし、本エンジンが運用された大戦中盤から終盤にはドイツの[[燃料]]事情は悪化の一途を辿り、[[ノッキング]]対策などが原因で性能を完全に発揮できない状況となっていた。~
そこで、生産中期から短時間ながらブースト圧と回転数を増大し大出力を得られる「MW 50」[[水メタノール噴射]]装置が装備可能となった。~
こうした装備はエンジンの耐用時間を減らす、使用後はその機構が重量物となるなどの欠点があったものの、多数かつ強力な[[連合軍>連合国(第二次世界大戦)]]機に対抗するべく、末期には頻繁に使用された。~

**主な搭載機 [#d43b4c0c]

-DB 605系統
--[[メッサーシュミット]] [[Bf109G/K>Bf109]]
--メッサーシュミット [[Bf110G>Bf110]]
--メッサーシュミット Me210/410 
--[[サーブ]]18
--サーブ21
--IAR 471
--VL ピョレミルスキ~
~
-DB 610
--ドルニエ Do317B
--ハインケル He177「グライフ」(A-3とA-5に搭載)
--メッサーシュミット Me261V-3~
~
-RA.1050 RC 58I 「ティフォーネ((Tifone:台風の意。))」
--フィアット G.55「チェンタウロ」
--マッキ C.205「ヴェルトロ / オリオーネ」
--レッジャーネ Re.2005「サジタリオ」
--サヴォイア・マルケッティ SM.91/92~
~
**性能諸元[#rd0e60ab]

|型式|CENTER:''DB605AM''|
|タイプ|[[液冷>液冷エンジン]]倒立V型12気筒(開度60°)|
|ボア×ストローク|154mm×160mm|
|排気量|35.7L|
|全長|2,303mm|
|直径|845mm|
|重量|730kg|
|1シリンダ当たりのバルブ数|吸気×2、排気×2&br;(排気バルブはナトリウム冷却、バルブ駆動はOHC)|
|[[燃料]]供給方式|直接噴射式|
|圧縮比|7.5:1(87オクタン燃料使用時)&br;8.5:1(100オクタン燃料使用時)|
|[[過給器]]|遠心型機械式1段無変速(流体継手を採用)&br;(オプションでMW50やGM-1のようなブースト装置を装備可能)|
|出力|1,800PS / 2,800rpm(離昇時、MW-50使用)&br;1,700PS / 2,800rpm(高度4,000m、MW50使用)&br;1,080PS / 2,300rpm(高度5,500m、巡航時、MW-50不使用)|

**派生型 [#qd6a073e]

***ダイムラー・ベンツ [#x1fe07d4]
-DB605A:~
離昇1,475PS/2,800rpm~
ただし、1943年6月8日までは初期不良により離昇1,310PS/2,600rpmに制限。~

--DB605AM:~
MW50を装備した605A。~
MW50出力増強装置使用時:離昇1,800PS~
~
-DB605B:~
DB605Aと同等の性能ながら、ギア比を[[重戦闘機]]や[[爆撃機]]向けに変更したもの。~

--DB605BM:~
MW50を装備した605B。~
~
-DB605AS:~
605Aに[[DB603>DB 603]]の[[過給器]]を搭載した高高度性能向上型。~
離昇1,455PS/2,800rpm~
--DB605ASM:~
MW50を装備した605AS。~
MW50使用時:離昇1,800PS~
--DB605ASB(M):~
大戦末期にオクタン価87の燃料用に605ASを改修した型。~
MW 50使用時:離昇1,800PS~
--DB605ASC(M):~
大戦末期にオクタン価100の燃料用に605ASを改修した型。~
MW50使用時:離昇2,000PS~
~
-DB605BS:~
DB605ASと同等の性能ながら、ギア比を重戦闘機や爆撃機向けに変更したもの。~
--DB605BSM:~
MW50を装備した605BS。~
~
-DB605D(M):~
Dシリーズの初期型。標準でMW50が装備可能となった。~
MW50使用時:離昇1,700PS~
--DB605DB(M):~
オクタン価87の燃料用に605Dを改修した型。~
MW50使用時:離昇1,800PS~
--DB605DC(M):~
オクタン価100の燃料用に605Dを改修した型。~
MW50使用時:離昇2,000PS~
~
-DB610:~
DB605Aを二つ組み合わせて1本のプロペラシャフトを回すようにした特別仕様型。~
He177のエンジンとして開発。離昇2,950PS。~
~
***フィアット [#zd06523c]
-RA.1050 RC 58I「ティフォーネ」:~
DB605Aのライセンス生産型。
離昇1,475PS/2,800rpm~
~

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